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社会は液状化し、人生はハードモードになっていきます

「お一人様の時代」なんて言われ始めて、もう随分になります。実際、単身で生活している人の数が本当に増えました。僕の周りにも結婚していない人がたくさんいますし、離婚して1人で暮らしている人もたくさんいます。

僕が生まれ育った昭和にはほぼ全員は結婚していたことを考えると、本当に信じられないような変化です。かつて家族といえば、お父さんとお母さん、そして子供が2〜3人で、おまけに祖父母が一緒に住んでいる家がざらにありました。「サザエさん」や「ちびまる子ちゃん」のような家族構成です。ちなみに「ちびまる子ちゃん」の作者のさくらももこ氏は僕と同学年ですから、当時の日常を描いた漫画がこのような家族構成になったのはごく自然な成り行きでしょう。

しかし、そんな時代はとうの昔に過ぎ去ってしまいました。昭和28年(1953年)には5人だった一世帯あたりの平均世帯人数も、今では2.47人にまで下がっています。その一方で増加したのが世帯数で、なんと倍以上に増えています。要するに、一世帯あたりの人数が減った分、総世帯数が増えたというわけです。

こちらは世帯構成ですが、顕著な変化が見てとれます。昭和61年(1986年)には単独世代がわずか13.1%だったの対し、今では26.4%にも達しています。またもう一つ際立つのが、三世代世帯の減少です。1986年には44.8%をも占めていたのに、今ではなんと11%にまで落ち込んでいます。つまり、「サザエさん」や「ちびまる子ちゃん」のような世帯は、もう遠い昔の風景ということです。

厚生労働省:「平成29年 国民生活基礎調査の概況」より

また、高齢者が増えているのに三世代世帯が減っているということは、高齢者が一人、あるいは夫婦だけで暮らしている世帯が増えたということなんでしょうね。

つまり、老いも若きも、単身または夫婦だけで暮らすのが、現在の日本での平均的な世帯の姿といえそうです。

社会の粒がより細かくなった

さて、この「一世帯あたりの人数が減った」とことを別の言い方で表現すると、社会を成す最小単位である世帯の粒が、より細かいものになったと言えそうです。コーヒー豆やお茶っぱも細かく砕いて粒状にすると、引っ掛かりが減ってサラサラと流動性が高まりますが、社会もまた、世帯の粒がより細かくなることで、流動性が高まります。

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