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カナダでのマリファナ合法化で思うこと

※この記事は有料マガジンの土日版です。というわけで本日は無料です。

最近カナダでマリファナが合法化されたことが日本でも話題になっています。また、アメリカの各州でも次々と麻薬の合法化が進んでいます。僕が住んでいるカリフォルニアも2018年から合法化されたので、21際以上の大人であれば、誰でもマリファナを購入し、これを楽しむことができます。

さてこのマリファナですが、2018年以前もすでに、マリファナをやっていても逮捕されることはなくなっていました。最近だとオバマ夫人が自伝の中でマリファナをやったことあることを公にし、イーロン・マスクが番組の生中継中にマリファナを吸って話題になりました。イーロン・マスクのマリファナ動画は一時期テスラの株価を随分下げましたが、彼がマリファナを吸った云々よりも、そのあまりにストレスに満ちた表情と自暴自棄な雰囲気が株価低迷を招いたように思います。

なお、その後テスラの四半期の業績が発表されると、株価が一気に前よりも上がりました。あのタイミングで買っておけばよかったです。ちぇ。

こちら、しけた顔してマリファナを吸うイーロン・マスク。笑えます。


実はいいことづくめのマリファナ合法化

こんなこと言うと奇妙に聞こえるかもしれませんが、実際のところ、マリファナ合法化はいいことづくめです。いくつかメリットを列挙してみましょう。

アングラ組織の大きな資金源が一つ確実になくなる
これは非常に重要です。アメリカ国内でもメキシコでもギャング間の抗争が絶えませんが、彼らの大きな資金源の一つが非合法マリファナなのです。合法になってしまえば、アングラ組織にお金が回りようがありません。

州(カナダの場合は国家)の税収が上がる
マリファナを真っ先に合法化したコロラド州では、2017年のマリファナの売り上げが14億ドル(1570億円)にも上りました。消費税10パーセントとしたって、これだけで150億円以上の税収というわけです。ちなみにコロラド州のマリファナの売り上げは下の表のような感じで実に順調に(?)伸びています。ちなみにコロラド州の人口はたった500万人で、神奈川県の半分です。それでもここまで売り上げが立ちます。

なお、マリファナへの課税は州によってまちまちですが、多い州だとワシントンの37パーセントで、低い方だとネバダ州の10パーセント、その他の州は15〜17パーセントくらいですね。なので、相当な税収が見込めるわけです。

雇用が増加
また、これだけの一大産業が「表」の産業になると言うことは、それだけ雇用も増えるわけです。たった1州で売り上げ1400億円の産業が雇用を増やさないわけはありません。ちょっと古い数字しか見つからなかったのですが、2016年の時点で、コロラド州内だけでも18,000人の雇用を生んだという記事があります。すでに、軽く数万人の雇用は生んだでしょう。

販売がコントロールできる
さて、マリファナの合法化と言うとなんかもう滅茶苦茶にその辺で売り買いできるようなイメージを持つかもしれませんが、実は、キチンと許可を得た販売店だけが販売できるのです。お酒やタバコの販売と同じようなイメージです。

一定の質が保証されるようになる
またマリファナは要するに農産物ですから、他の農産物と同様の規制を受けるわけです。このため、一定の質が保証されるのは間違いないでしょう。以前のようにその辺のギャングから何を買っているんだかわからない頃から比べたら、よほど安全とも言えるわけです。

警察はより重大な犯罪の捜査に集中できる
また警察も、より重大な犯罪捜査に集中することができます。警察が隠れてお酒を飲んでいる人を捕まえているのをイメージしてください。そんなことより、強盗だの殺人だの強姦だのをやってる人を捕まえて欲しいわけです。

医療用に使える
カリフォルニアは1994年から医療用のマリファナが許可されていましたが、実はマリファナには様々な治癒効果が認められおり、医療用のマリファナが合法になっている州では、医師がこれを処方できるのです。次のような効用が期待できるとされています。

鎮痛
吐き気を抑える
筋肉の痙攣を抑える
不安症の緩和
食欲不振
睡眠障害
自閉症
てんかん

中には、抗がん作用があるとする研究さえあります。僕の友人のお子さんが重度のてんかんを患っている人がいるのですが、このカップル、治療のためにわざわざ医療用マリファナが許可されている州に引っ越しました。痙攣が大幅に減り、本人も親もやっと安心して眠れるようになったと言っています。

もちろん、反対意見もある

なお、みんなが諸手をあげて賛成というわけでもなく、反対している人もかなりいます。現在、マリファナの合法化に賛成している人は62パーセント、反対は32パーセントと言われています。三人に一人は反対というわけですね。

反対理由ははおおよそ2つに大別されます。

マリファナは「ゲートウェイ・ドラッグ」
一つは「マリファナはゲートウェイ・ドラッグ」だ、というものです。ゲートウェイ・ドラッグというのは要するに、他の薬物に興味を持つ引き金になる、というものです。このため、マリファナを許可すれば、他の、よりハードなドラッグな常習者が増えていくというわけです。

ネズミなどを使った動物実験でも、これはある程度実証されています。特に若いうちにマリファナに触れると、その後、他の薬物の中毒になりやすいことが実証されているのです。

ところが、です。実は別にこれマリファナに限らず、お酒でもニコチンでも全く同じことが起こるのです。タバコを吸っている人がみんなLSDを吸いだすわけでもありませんし、お酒を嗜んでいる人がみんなアル中になり、その後ヤク中になるわけでもありません。もしも「ゲートウェイ・ドラッグ」であることを根拠に違法にするのであれば、タバコもお酒も取り締まらないと辻褄に合わないのです。

副流煙の問題
もう一つの反対意見は副流煙です。パーティなどで誰かが吸ってれば、吸いたくなくても吸い込んでしまうというわけです。確かに最もな意見です。その辺を散歩してるとよくマリファナの匂いがしてきますが、全くどうしたものかと思います。

しかし、です。これもまた、タバコと何が違うのでしょうか? 日本なんか飲食店でもいまだに喫煙が禁止されていませんから、吸いたくもないタバコの副流煙を吸いまくりです。マリファナだろうがタバコだろうが、とにかく公共の場所での喫煙は全て禁止にしてもらいたいです。

実際の法律

さて、現実の法律ですが、実は結構規制されています。別にカナダやカリフォルニアやコロラドが麻薬天国になったわけではありません。ざっくりとこんな感じです。

- 所持や販売が許可されるのは21才以上に限る。その量は28グラム以下の乾燥大麻、あるいは8グラム以下の濃縮したマリファナとする

- 家庭での栽培も可能だが、数量は大きく限定される

- タバコの喫煙が許可されていないところでは、マリファナも吸うことはできない

- 保育園や幼稚園、小学校の300メートル以内での喫煙は許可されない

- 運転中のマリファナ使用は禁止

- 電車やバスなどの乗り物の中での使用は禁止

- 販売は認可された店舗に限定される

ご覧の通り、そこそこきちんと規制もあるわけで、別に誰でも彼でもマリファナ吸い放題というわけでもないんですね。正直言って、合法化で特に大喜びしてる人とかも見かけません。ま、2018年以前も事実上解禁されていたので、ようやく現実に法律が追いついてきたような感じです。

日本は何がしたいんでsしょうかね?
カナダでのマリファナ合法化を受けて、外務省が「日本の法律では禁じられています」というお達しを改めて出したようです。以下、外務省のホームページに追記された記載です。

https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure_222.html

・ カナダでは,2018年10月17日から,大麻(マリファナ)の所持・使用が合法化されています。一方,日本では大麻取締法において,大麻の所持・譲受(購入を含む)等については違法とされ,処罰の対象となっています。この規定は日本国内のみならず,海外において行われた場合であっても適用されることがあります。在留邦人や日本人旅行客におかれましては,これら日本の法律を遵守の上,日本国外であっても決して大麻に手を出さないでください。

こちらはバンクーバーの日本領事館のサイトに掲載された内容です。

https://www.vancouver.ca.emb-japan.go.jp/itpr_ja/00_000921.html

カナダにおける大麻の合法化について
本年6月21日に成立しました「カナダにおける大麻に関する法律」が10月17日より施行されることに伴いまして、邦人の皆様に対し以下の注意点について改めてお知らせいたします。

1. カナダでは、本年10月17日から、大麻(マリファナ)の所持・使用が合法化されます。

2. 一方、日本では大麻取締法において、大麻の所持・譲受(購入を含む)等については違法とされ、処罰の対象となっています。

3. この規定は日本国内のみならず、海外において行われた場合であっても適用されることがあります。

4. 在留邦人や日本人旅行客におかれましては、これら日本の法律を遵守の上、日本国外であっても大麻(大麻を含んだ食品・飲料についても同様)に手を出さないように十分注意願います。

つまり、カナダ滞在中でも使ってはいけませんよ、というわけです。

じゃあ何ですかね? カナダ人がマリファナ日頃マリファナを合法的に吸っていたら、日本に来れないんですかね? それともカナダ人とアメリカ人はオッケーなんでしょうか? 日本人だけに適応ですか? 日本で販売や使用が禁止されているもの医薬品から化粧品に至るまでは他にも色々ありますが、それはいいんでしょうか? マリファナだけ別扱いという根拠はどこからやってくるのでしょうか? カナダで医療行為の一環としてマリファナを医師から処方されらどうなんでしょうか? 

こういう意味不明な実行不可能なことは書かずに、「日本国内には持ち込まないでくださいね」だけでいいような気がするんですけどね。

「建前と本音」というわけなんでしょうが、こういうダブル・スタンダードはやめたほうがいいんじゃないかと思いますけどね。

少子化対策に有効??

なお、医療用のマリファナが認可された33の州においては、出産が増えたというウォールストリート・ジャーナルの記事もあります。日本もマリファナ合法化したほうが、少子化対策の一助になるかもしれません。

Medical-Marijuana Legalization Leads to Baby Boomlet, Paper Says

さて、今日はここまで。それでは良い週末をお過ごしください。

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