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[2024/05/08] 首都移転でジャカルタの運命は?~ジャカルタ特別州法の成立を受けて~(松井和久)

~『よりどりインドネシア』第165号(2024年5月8日発行)所収~

2024年3月28日、国会はジャカルタ特別州法案を可決し、大統領の署名の後、4月25日付で2024年法律第2号としてジャカルタ特別州法が成立しました。このジャカルタ特別州法は、首都がヌサンタラへ移転することに伴い、ジャカルタ首都特別州(Provinsi Daerah Khusus Ibukota Jakarta: Provinsi DKI Jakarta)からジャカルタ特別州(Provinsi Daerah Khusus Jakarta: Provinsi DKJ)へ変更するためのものです。

ジャカルタ特別州法が成立したことで、巷ではジャカルタは首都ではなくなった、でもヌサンタラは建設中、いったいインドネシアの今の首都はどこなのか、とあたふたする報道も見受けられました。でも、現時点での首都はまだジャカルタです。ジャカルタ特別州法の移行規程を定めた第73条には、「本法はジャカルタからヌサンタラへの首都移転が大統領決定(Keputusan Presiden)で決められたときに有効になる」とあり、大統領決定が出るまではジャカルタが首都のままなのです。

ジャカルタ北海岸のショッピングモールの夕暮れ(筆者撮影、2019年10月7日)

今回は、このジャカルタ特別州法をもとに、首都でない今後のジャカルタはどうなるのかについて、少し考えてみたいと思います。

まず、「特別地域」の概念について説明した後、ジャカルタの特別性について考えます。次に、ジャカルタ特別州へ移行後の注目点をいくつか提示します。さらに、地方自治の観点から考慮すべき問題点をいくつか指摘してみます。最後に、ジャカルタからヌサンタラへの首都移転プロセス計画とその現状について触れ、首都移転後のジャカルタの在り方を展望してみたいと思います。


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