見出し画像

【房総探検記】 極東に死す ①

 いま、地球平面説を調べている。そのきっかけとなったのは、

「地球は本当に球体なのだろうか?」

 という素朴な疑問である。
 生来、老生の脳内あたまの構造は、ひとつのコトに疑問をもつと、そこから新たな疑問が次から次へと立ち現われるように出来ている。そして、それら疑問の数々は御釜の底にこびり付くオコゲの如く、脳内あたまから離れなくなる。疑問Questionsがスルリ滑って耳の穴からこぼれ落ちるようなテフロン加工にはなっちゃアいないのノダ。吾が脳髄は。
 だから、ひとたび「地球の形状」に疑念を抱くと、

「地球は宇宙に浮かぶ扁たい円盤ではないか?」
「星は球体でなければならないのか?」
「平坦な天体はないのか?」
「どのようにして天体は生成されるのか?」
「そもそも宇宙とは、何ぞや?」

 と、“友達の輪”が世界に拡がるように「ハテナマークの輪が脳内あたまの中に拡がりはじめる。そしたら、どうやって入れたか判らない地下鉄が脳内あたまの中に開通して、夜も眠れなくなってしまうのじゃ。だから、しばらく電話なんかしないでよね♪。
 されど、もし「地球は球体なのか?」という疑問文を、“アカデミズム”が支配する公の場で発したならば、即座に、
「地球は球体まるいに決まっているだろ。宇宙から撮った写真を見たことがないのか!」
 と、物知り顔の御仁らがこぞって“変人”のレッテルを貼って、老生を抹殺に掛かるだろう。じゃがな──、

 変人上等!

 なぜなら、太古の昔から世界は“変人”たちによって切り拓かれたからだ。
 例えば、千年前の平安貴族が飛行機という“文明の利器”を想像し得たであろうか。歴史の“ある時点”で、「人間を空に飛ばす」という素頓狂すっとんきょうな妄想に取り憑かれた“変人”が現れたからこそ、現代いまの航空業界があるのではないか。ダ・ビンチ然り、リリエンタール然り、奇天烈斎きてれつさいさまも又然り。

 変人こそが開拓者パイオニア

 閑話休題それはともかく得意顔ドヤガオしている常識人アカデミズムに、敢えて問いたい。「あなたは、ご自分の目で・・・・・・地球の全容を見たことがあるのか? ──と。
 大抵の“地球人”は地球の実体を己のまなこ直接・・見た経験コトはないだろう。
 得意顔人ドヤガオじんが根拠とする「地球は球体まるい」という宇宙からの写真だって、所詮、宇宙に行ったとされる人たちからの間接的な情報だ。それを盾にして物申すから、性格タチが悪い。他人ひとからの情報を鵜呑みにしての彼是あれこれの言動は、流言デマに右往左往して無闇矢鱈とトイレットペーパーを買い込むのと、さして変わりはないだろう。五十歩百歩。だから、老生は常識人アカデミズムを挑発する。
 この世には「百聞は一見にしかず」という言葉がある。だから、己のまなこで見ないことには、どうにもこうにも、お尻の下がムズムズするようで落ち着かない。丸和太郎まるわたろうに「ペッタン!」されそうじゃ。
 尚、常識人アカデミズムのたまう“地球が球体である根拠”のひとつに、「海の彼方から近付いてくる帆船ふねは帆柱のてっぺんから見えてくる」という現象がある──が、どうも胡散臭い。遥か彼方の沖合にある船影をそこまで細かく画像解析できるものだろうか? もし解析できたといたら、地球はかなり小さな球体になりゃせんだろうか。「地球球体説」が誕生した頃の地球は、現在いまとはサイズが違っていたのだろうか? 膨張する地球。
 かつて、あまりに視力が良過ぎて、他人ひとの服が透けて見えると豪語していたアフリカ出身のタレントがいたが、彼の目力めぢからをもってしても「沖合の帆柱のてっぺん」を見極めるのは至難の業であろう。「帆柱のてっぺん」説は取ってつけた屁理屈のように感じられてならない。
 さて、世界初の有人宇宙飛行を成功させた旧ソ連の宇宙飛行士ユーリイ・ガガーリンは、「空はとても暗かった。一方、地球は青みがかっていた」という言葉を宇宙開発史に遺している。
 ガガーリンの発言は“地球の色味いろ”を強調してはいるが、“地球の球体まるさ”には言及していない──と思われる。「地球が球体まるい」は公然の事実だから、敢えて言わなかったのか。それとも球体まるくはない地球”を見てしまったから言えなかったのか。世間サマアカデミズムから“変人”扱いされることを恐れて……。
 地球は球体か、それとも平坦な円盤か。
 その真相はわからない。
 ならば、これは“世界の果て”まで行って見てくるしかない。まさに「百聞は一見にしかず」の実践じゃ。
 そこで、“世界の果て”を見定めるため、かつて江戸の豪商・古帳庵こちょうあん「国のとっぱずれ」と詠み、原住民じもとみんが「隣はアメリカ」という千葉県銚子市に行ってみることにした。鞄に『銚子人』(英治出版)『ことりっぷ 千葉・房総』(昭文社)の2冊を捩じ込んで──。

 いざ、銚子探検に、Let'sらごー!!


《「極東に死す②」につづく……かな?》

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?