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『スタンダードブックストア』の想い出

大阪・天王寺にある、『スタンダードブックストア』さんが、来月の上旬閉店することになった。スタンダードブックストアは昔心斎橋にあって、その頃から気に入っていた店だった。天王寺に移ってからのほうが気に入っていた。お店に行くときは、買う本を5冊までに絞るというマイルールを設けた。じゃないと、財力を越えて買ってしまいかねないから。重たくて、持って帰れないし。

気に入っている本、『聞き書 大阪の食事』も、スタンダードブックストアで買った。戦前の大阪の食事のこと、文化のこと、色々書かれていて、普通にレシピを真似することもあって、そんな本。

スタンダードブックストアには古書コーナーもあって、谷崎潤一郎『台所太平記』、藤本義一『人肉サラダ』など、思い出深い本を色々と買った。

ケイタタさんの『隙ある風景』の展覧会に、行ったこともある。人情味があって、間の抜けた写真を、私はフフフフーっと笑いながら見た。ちょうどケイタタさんが在廊されていて、「どの写真が面白いですか?」と聞いてくださった。「えーっと、コレ!」と私はサラリーマンの写真を指さして、そしたらケイタタさんはその写真がどこで撮られたものとか、そういう解説をしてくださった。目がすごく優しい人で、私はちょっと(好き……)と思ってしまった。この時、マッチングアプリで知り合った人を、なぜかお店に連れて来ていた。遠くで暇そうにしていた。2度と会うことはなかった。

Twitterで公式から閉店のお知らせを見て、「絶対にまたお店に行きます」とリプした。「絶対」、と言ってしまった。「絶対」という言葉は、私にとっては爆弾で、抱えていると辛いものだ。プレッシャーに負けそうになる。実は今、自分の精神状態があまりよくなく(うつ病などあります)、すぐに頭が混沌を極めてしまう状況にある。

だから、Webサイトでゆっくりと本を見て、最後の買い物をした。マイルール、5冊を守って。今日届いた。本を書店から直接買うことはこれまでにも多いが、毎回、めちゃくちゃワクワクして、包みを1回撫でまわしたり抱きしめたりする。

・マリヲ『世の人』
・カル・フリン『人間がいなくなった後の自然』
・『三人の日記 集合、解散!』
・清水美穂子『月の本棚』
・『ライムスター宇多丸とマイゲーマイライフ』

全部読むのが楽しみ、『世の人』はもう読んでいて、これはもうすごい本というので、出逢えてよかった。

「出逢えてよかった」という気持ちをたくさん体験させてくれた、スタンダードブックストアさん。辺鄙な場所だっていい、小さな場所だっていい。またいつかお店を再開してくれるなら、私はまた通います。

P.S ブロッコリーナイトというイベントに参加できなかった、1人で参加する勇気がなくて。すごく心残りです!


matsuki

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