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マーケティング観察 #008 ネットショップ作成サービス「BASE」(後編)


こんにちは。matsumotoo(@matsumotoo988)です。

前回はネットショップ作成サービス「BASE」の全体像を見ていきました。今回は前編で気になったところを深掘りできればと思います。

前提:BASEの市場成長余地を再確認する

BASEは流通金額非公開ですが、こちらによると、推定150億円だそうなので、Futureshopなどの他サービスと比較しても低いことがわかります。

(出典:【2017年EC流通総額ランキング】国内13・海外18のECモール・カート・アプリの流通総額から見る市場トレンド

次にBASEのターゲットとなる小売業の未EC化率を見てみます。経済産業省の資料だと、2017年時点で5.79%なので、サービス創業時と変わらず成長の余地があると考えられます。ちなみに2017年時点では、16兆5,054億円規模で、全体の伸び率は昨対比9.1%なので、来年以降も右上がりで伸びていく可能性が高そうです。

(出典:平成 29 年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)


なぜBASEではサブスクモデルを採用しなかったのか?

最初に結論からいうと、ネットショップ市場拡大のため、できる限りハードルを下げた説が有力です。

まずは前提となるBASEの情報を整理します。

■サービスについて
新しい経済活動の拠点になりたい、という想いがサービス名の由来
「お母さんも使える」というコンセプト

■サービスの戦略
日本の小売業のEC化率EC化率は4.75%(平成27年時点、経済産業省調べ)
→残りの約95%が市場として、市場を開拓する(参考記事

■ターゲット
一般ユーザー(非IT業)でネットショップを持っていないけど、ものを売りたい人

その上で以下資料をベースに仮説立てを行いました。BASEは一番左下の「売上規模×機能拡張性」が最も低いポジションに配置されています。位置的にSTORES.jpが競合になる可能性が高そうです。

(出典:eコマース業界カオスマップ2016 - ショッピングカート編

また想定ターゲットであれば、サービスサイトの表現でもSTORES.jpが競合になりそうです(以下参照)

仮説なのですが、初めてネットショップを開設するユーザーは、「ITリテラシー/経済面」の壁を乗り越えられないという説を BASEがもっていた可能性もありえます。つまり、BASEは業界の中で最もハードルを下げ、市場拡大を狙ったサービスという推測です。

※ちなみにBASEはSTORES.jpに比べて後発のため、サブスクだとサービス利用しないユーザーがいる説を立てていた可能性もあり得るかもしれません。

ちなみにこちらのマクロミル調査によると、ネットショプ作成サービス利用率だと、BASEが圧倒的に利用されているデータがありました

(2018年2月19日〜21日、母数1,000人のインターネット調査)

マーケティングの大枠はどうなっているのか?

まずは前提となるBASEの収益構造を見立てみました。基本的に店舗数が増加し、各店舗の売上が向上するほどBASEの収益も上がる仕組みだと考えられます。そのため、施策の方向性としては、店舗数と各店舗の売上向上を狙った施策を打っていくと思われます。

BASE/ECオーナー/顧客のアクションをまとめてみました。

基本的にBASE→ECオーナーのコミュニケーションは、下記指標に貢献し、最終的にサービスの成長に繋がりそうです。

■BASE施策の整理
①新規店舗数増(ECオーナーの発掘、店舗開設支援)
②既存店舗維持(オーナーのサポート)
③店舗売り上げ拡大(オーナーのサポート)

参考までに指標別に施策を整理。

①新規店舗数増施策
新しいECオーナーを発掘する施策です。主にTVCMであったり、セミナーの開催など行い、ECオーナーの発掘をします。

②既存店舗維持
既存店舗の悩み(集客・売上不良)などを解消し、EC運営の継続に繋げる施策です。オウンドメディア中心の施策で、マイナス→0の状態に持っていき、EC店舗の継続をサポートします。

③店舗売上拡大
店舗の売り上げを拡大するための取り組みです。②既存店舗維持と似ているようですが、こちらは売上アップ施策です。スマホアプリやBASE apps(プッシュ通知BASEライブメッセージ)なども含みます。

もし自分がBASEのマーケティング施策を考えるなら・・・

自分なりに調べてみて、もしかしたら効くかもしれないと思った施策をまとめます。

(1)クラウドファンディングサービスとの事業提携(新規出店店舗増加)

これは過去に成功事例のあったものですが、ECオーナーが個人でやっていたようでした。作りたい商品イメージがあったり、試作品はあるけれど、量産ができないECオーナー向けにクラウドファンディングサービスと組んでみてるのは悪くない施策ではないでしょうか...?

(2)SNSで商品訴求ポイントを変更(店舗売上拡大)

現在BASEアカウントでは、EC店舗商品をSNSでPRしていますが、その訴求ポイントの変更提案です。現在だと、出来上がった製品の訴求をしているようですが、例えばフセハツ工業さんのように制作している過程もPRするのはどうでしょうか..?

フセハツ工業さんのtwitterで見る限り、ものづくりの過程は一定数興味のある人がいると想定できるので、認知数増につながり、購入数が増える説です。

まとめ:観察して感じたこと

今回の観察では、主に「なぜBASEではサブスクモデルを採用しなかったのか?」「マーケティングの大枠はどうなっているのか?」などを仮説ベースで深掘りしました。

その中でも気になったところは以下2点になります。

(1)BASEがサブスクを採用しなかった理由
→業界の中で最もハードルを下げ、市場拡大を狙うためだった説

BASEが創業した2012年当時にはすでにショップングカート業界に既存プレイヤーがいる状態でした。そのため、BASEのサービス思想とマッチしたポジショニング獲得のために、この戦略を選んだのかもしれません。

(2)ECオーナー間の間でも口コミが発生していること

前編の顧客間の口コミもですが、ECオーナー間での口コミも興味深かったです。基本的にECオーナーがやりたいこと(本業)で作ったものをすぐ売れることが刺さっているようでした。

1)BASEとは別のECサービス or メールで注文を受注

2)不都合 or 無駄な手間が発生(困る)

3)知り合いからBASEを勧められる

4)すぐに店舗が開設でき、カスタマイズや決済ができる(すぐできる)

5)継続する(リテラシーがなくても、挫折しない簡単さ!)

6)知り合いに進める(3に戻る)

自分なりに解説して見ましたが、もし何かの参考になりましたら、幸いです!

お読みいただき、ありがとうございました。
今後もマーケティングなどを観察していきますので、よかったらフォローください!

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