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日本最大級のまなびのマーケット「ストアカ」 #マーケティングトレース

Web・IT系の勉強会で利用されているサービスというと、「Peatix」「ATND」「Doorkeeper」「connpass」「TECH PLAY」など色々あるのですが、その中で「ストアカ」というサービスが福岡県限定ですがCMをやってるのをみました。

今までこのようなサービスがTVCMを打っているというのにびっくりして、ちょっと調べたら面白いかったので、自分の思ったことをまとめていこうと思います。

運営会社について

ストリートアカデミー株式会社は、2012年7月に創立したスタートアップ企業です。

まなびのマーケット「ストアカ(旧:ストリートアカデミー)」の運営していたのですが、2014年に企業へのスキル研修「オフィスク」事業も開始し、現在は2つの事業運営をおこなっています。

まずは会社概要と考え方を見ていきます。

■会社について
事業内容:まなびのマーケット「ストアカ(CtoC)」、企業へのスキル研修「オフィスク(CtoB)」の運営
従業員:25人

■考え方
ビジョン:人が人をインスパイアするプラットフォームになる
ミッション:まなびの選択肢を増やし、自由に生きる人を増やす
バリュー:「ENJOY THE WAVES(未踏への挑戦を楽しむ)」
     「NO BORDER(枠にこだわらない)」
     「BE PROFESSIONAL(最良を考え抜く)」

ビジョン「人が人をインスパイアするプラットフォームになる」というところだと、創業者の藤本さんが話している「ITの知識が全く無かった会社員の方が、ストアカの学びを生かして起業した」エピソードなどが具現化されているのではないでしょうか..?(以下記事)

サービスについて

「教えたいと学びたいをつなぐまなびのマーケット」のコピー通り、ビジネススキルから自分磨き、モノ作りなど、全170ジャンルの講座とユーザー(生徒)のマッチングプラットフォーム「ストアカ」です。

※運営している「ストリートアカデミー株式会社」は、toB向けのスキル研修サービス「オフィスク」事業もありますが、今回はストアカのみ対象。

2017年7月に公開された「数字で振り返る5年間のあゆみ」でどのような講座が受けられているか?がありましたので、置いておきます。

各カテゴリの人気の講座です。パッと見た感じですが、Excelの講座が10,000回以上受講されており、スキル面の受講割合が高いのが印象的です。


ここからは2019年7月時点(創業より7年目)のデータとなります。大きな数字だけ見ていきますと、以下のような感じです。

・先生登録は2万人以上(上位から東京→神奈川→大阪→福岡)
 └2017年からの2年間で、先生数は約2倍
・全体ユーザー登録数33万人以上
 └ユーザーは女性が64.1%と多め、年齢は男女ともに30-40代で60%over
・登録講座数は3万講座

ストアカが分類される「シェアリングエコノミー」とは?

シェアリングエコノミーとは、主にインターネットを通して「個人が保有する遊休資産の貸し出しを仲介するサービス」です。その中でストアカは「スキル」の分野には区分されています。

人々の消費スタイル文脈だと、単独所有から共同利用へと近年徐々に変化しており、それは個々の生活を飛び越え、シェアリングエコノミー化が社会的に進んでいます。

成立した背景としては、「インターネットやスマートフォン・タブレット端末の普及」「SNSの登場やオンライン上の活動で信頼性を高める仕組みができたこと」により、「見知らぬ人同士がモノを貸し借りできる」環境と信頼性の担保などできるようになったことがあります。

(出典:シェアリングエコノミー検討会議第2次報告書


これからどんどん拡大していくマーケット

こちらはシェアリングエコノミー協会が2019年に公開した資料なので、2018年から「住宅宿泊事業法(民泊新法)」が施行されたあとのデータとなります。

(出典:シェアリングエコノミー 関連調査結果

全体としても各業界としても右上がりに伸びていく傾向にあります。ベースとなるシナリオ、成長の課題となる法制度などが解決した「課題解決シナリオ」を比較すると、全てのカテゴリで非常に影響があるので、これからの制度の整え方で市場自体の成長が非常に揺らぐと思われます。

ちなみに「ストアカ」が属する「スキル」市場だと、2030年度でみると。ベースシナリオ→9,743億円、課題解決シナリオ→19,469億と約1.99倍の差。


ビジネスモデルについて

「講座をする講師」と「講座を受けたい生徒(ユーザー)」をWeb上で結びつけ(マッチング)、売上が発生した際に講師より手数料を得るモデルです。おおよそ1講座数千円~で、講座売上の10~20%が手数料になります。

ストアカが同様のマッチングサービス(ex.peatixなど)と異なるところとしては、広告商品がないことです。(調べた限りはなさそうでしたが、toB企業のコンサルなどもやっていなさそうです)

その広告商品の収益をまかなっているのが、講師からの手数料です。単純比較できませんが、peatixの場合「販売実績の4.9%+99円/チケット枚数)」となっているので、そのレートの高さがわかると思います。

またストアカを生徒で使ったことある人はわかると思いますが、デバイスまたぎであったり、トラッキングされる広告を用いており、肌感としてはストアカ経由の送客も一定数あるのではないかと思います。

■補足:peatixの場合
・手数料:販売実績の4.9%+99円/チケット枚数
・集客支援をする広告商品(Peatixプロモーションプログラム

新領域のため、これからの次第な分野(PEST分析)

政治・経済面でも期待されているものの、新しいサービスの提供の仕方のため、ルール作りや活用の仕方を模索している様に思える。ただシェアリングエコノミー協会の資料にも記載があるが、

■Politics
労働人口増加のため、シェアリングエコノミーを支援する動き
考え方自体が新しいため、法整備・業界ルール策定などに時間がかかる

■Economy
既存リソースの効率活用や遊休資産の有効活用により、社会課題の解決が期待されている
事例はあるものの、先行的な参照モデルの構築が求められている

■Society
諸外国と⽐較して、シェアリングエコノミーの認知度や利⽤意向、利⽤率が総じて低い傾向
提供者・利用者が安全性・信頼性を判断するための仕掛けの整備が必要

■Technology
信用スコア・レビューの精度・仕組みを含めての実証
より良い通信規格の普及(5G)

どのような市場になのか?(STP分析)

前述の資料をベースにまとめてみましたが、シェアリングエコノミーの中でも、「スキル」領域のプラットフォームということもあり、比較的受け入れやすいカテゴリの様です。

解釈にもよるかもしれませんが、キャリア・自己実現のために利用しているユーザーが多く、かつ講師とユーザーがかなり近い年齢という現状もあり、年齢層が比較的高めの世代×「スキル」実用的な講座が人気そうです(自分磨き、趣味/ライフスタイルより利用目的が高い)

■セグメンテーション
30-40代の男女×アーリーアダプターもしくはアーリーマジョリティ
※生徒の64.6%を含める年代と、5年と7年時点で生徒の年齢分布が上がっているため

■ターゲティング
まなびの意識が高く、かつ大都市(ex.東京/神奈川/大阪)など在住者
※「数字で振り返る5年間のあゆみ」参照

ポジショニングについてですが、シェアリングエコノミーでも重要視されている「安全性・信頼性」などがとても表現されている位置にいます(他サービス比較)。ぱっと見ただけでわかる可視化された情報だけでも、以下のようにあり、失敗しない講座選びや講座の品質担保に貢献していると思われます。

講師:ランク、講座の平均レビュー、教えた人数、講座の開催回数
講座:開催回数、受けた人、受けたい登録数、レビュー

また対面で大人数で講座を受けるため、「似た目標に向かう仲間」「興味が近いしい人」などと繋がり、少人数・オンラインの場合より、価値が提供されている可能性もありえそうです。

プロモーションと提供場所が密に繋がる事業性質(4P分析)

まとめていて、気になった部分を書いていきます。

プロダクト
収益モデルを考えると、ストアカ上での総流通金額増が大指標となっている可能性が高いと思われます。そのため、生徒数&先生数→講座予約数→総流通金額のような考え方で考えると、講座増→クオリティの高い講座増→ユーザー増→コアユーザー増→講座増・・のような『人が人を呼ぶ』ための仕組みを重視していると思われます(下記記事参考)

Promotion&Place
多くのWebサービスと異なり、ストアカはサービス利用している講師/生徒の住んでいるエリアに非常に影響を受ける性質があります。そのため、プロモーション対象エリアと注力したいエリアが連動していく性質があるようです。

ちなみにTVCMを放映する場合でも、地域に絞って打っているようです。(もしかしたら全国放映の前にテストの意味もあるかもと感じました)

まとめ:観察して感じたこと

今回は「ストアカはどのような仕組みで成長しているのか?」という問いをもって調べましたので、ポイントを書いていこうと思います。

(1)循環の和を作る
もし「学び数の最大化」がゴールだった場合に、そのゴールに向けて指標が循環→パワーアップする仕組みを作ることが1つのポイントのように思いました。こちらの記事で代表の方が話している『人が人を呼ぶ』状況というのがそうだと思うのですが、まずは限定されたエリアで循環の和を作ることがサービスの成長に繋がると思いました。

(2)他サービス利用者へのサービス提供・新しい機会創造
今回の大きな気づきですが、「自社プラットフォーム拘らず、ニーズのある文脈でユーザーに利用してもらえる状況を作ること」も大切だと思った。利用につながる導線を作るという意味で、大きなサービスと提携するのは検討すべきと感じた。

また東京メトロとの取り組みでも、ニーズがある人に提供できる形にして価値を届ける姿勢が控えめに言ってもとても素晴らしいと感じた(多分既存フォーマットのままだと、ニーズはあるが時間制約で価値を届けられない人がいる可能性がある)

(3)インセンティブの使い処
サービスとして循環の和を回していく時に、ボトルネックになる場所に対して、インセンティブを設定することがあるけど、その使い処。新規会員登録完了後と講座受講後などで見られたのだけれど、「文脈的に違和感なく」「他の人の役に立つ」「直接的メリット」が揃っていて上手く感じた

他にも「ストアカ for Biz」だったり、書きたいことは色々あるのですが、長くなってしまいましたので、今回はここまでとさせてください。

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お読みいただき、ありがとうございました。
自分なりに調べてみましたが、もし何かの参考になりましたら、幸いです!

今後も色々なサービスを観察していきますので、よかったらフォローください!

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(終)

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