松本 さく

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  • 彼女の指先

    いつかのあの日、私の隣にいてくれた彼女たちのお話

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望郷

八ヶ岳を下りて、街に引っ越してきた。 ここには大型のスーパーやショッピングモールが至る所にある。 私ったら、山から下りてきた修行僧のように、または刑期を終えてシャバに出てきた囚人のように、スーパーの店内を興奮しながら見渡す。 ここには何でもある。 …それなのに、なぜか寂しい。 不満なんてないのに。 なんでなんだろう…。 理由は、きっと…あの場所で泣きべそをかきながらも頑張ってきた自分と、バリバリと引き離されると思うからだ。 過去の自分と引き離される感じがするからなんだ

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    12本

記事

    I decided to make my profile pic a dinosaur design.

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    Nasu Stained Glass Museum

    Nasu Stained Glass Museum

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    The moon is used to remember important things. It's like a note you put on your fridge.

    The moon is used to remember important things. It's like a note you put on your fridge.

    an abandoned dream

    an abandoned dream

    The memories in my hands

    I have experienced sexual harassment before. My drunk boss licked my hand. I decided to forget the bad memories. A few years later, my girlfriend kissed my hands. Her kiss was so tender and warm that it brought tears to my eyes. Only then

    The memories in my hands

    今日の景色

    今日の景色

    前世の記憶

    「あなたの前世は、アメリカ人のおじちゃんだと思う~。」 職場の飲み会の二次会で連れて行かれたスナックで、そんなことを言われた。 ------------------------------------------------------------------------------- 「あたしね、守護霊とか前世とか見えるのよね~。」 ママの友達だという彼は、 「あなた、分かりやすいわ!」 と、私の後方を見つめながらキュートな感じで笑った。 (いや、いきなり守護霊と

    前世の記憶

    愛について

    一瞬だけ、ちょっと嫌な気分になった。 偶然、前の職場の人と久しぶりに会って、本当に些細なことなのだけれど、その人がほんのちょっと気遣いに欠ける行動を取った。 「あぁ、この人って、やっぱりこういう人だったよな…」と、サッと一瞬で体温が下がるような、心に冷たい風が吹きこんだ。 でも、それに気づいたのは、きっと、今の私の近しい関係の彼女や彼らが、そういう些細な気遣いをごく当たり前にしてくれているからなのだ。 彼らは何事もなかったかのように、とてもナチュラルに私の心を温めてくれる

    愛について

    今夜の月

    今夜の月

    運命のひと

    たぶん、最悪の結果ってやつになるんだろう。 彼女は、夜行バスに乗って遠くの県に引っ越して行く。 私は、退職。 どうしてこうなったのか、正直、よく分からない。 ただ、倉庫の段ボールの間に隠れて泣いていた彼女を見て、私はもうこんな職場にいたくないって思ったのは覚えてる。 きっと、働いていればどこにでもあることなのだろう。 人間関係のあれこれや、理不尽な要求や、残業の多さ…等々。 そんなよくあることなのにも関わらず、私たちは耐えられなかった。 たったの半年。 私は、夜行バス

    運命のひと

    【あの日のわたしへ】転職8回、それでも全然大丈夫だったよ!

    転職8回。今の職場は9ヶ所目。 それでも、全然大丈夫だった。 こんなことを書いたのは、どこかの職場で悩んで苦しんで…下手したら死にそうになっている人がいるから。 気が利いて、優しい人で、頭の回転も早い。 だからこそ、仕事量が増えて、上司の機嫌に振り回されて消耗する。 自分はなんて駄目なやつなんだ…って泣いているならば、それは違うと思うよ。もしかしたら、あなたの問題じゃなくて、上司の仕事のしわ寄せが来てるだけなのかも。仕事の割り振りや、スケジューリングが苦手な上司の下で働

    【あの日のわたしへ】転職8回、それでも全然大丈夫だったよ!

    受け取る勇気

    「そうなのよ!今年も良いのができちゃったのよ~!」 電話から、母の明るい声が聞こえる。 以前から母は、家庭菜園でタマネギが採れたとか、キュウリが食べきれないほどできてしまったとか、よく電話してくる。 私ったら、仕事の日は料理自体ができなくて、休みの日なんて寝て終わってしまうので、キュウリを切ることすらレベルが高すぎるって感じだ。 だから、母の「いっぱい採れちゃったから送ろうか?」が、ちょっと煩わしかった。 「こっちでもタマネギとか売ってるから。宅急便の料金を考えたら、

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