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「100日後に竣工する建築モデル」制作秘話

まずはじめに、この記事は「AEC and Related Tech Advent Calendar 2020」に参加させていただいてます✨2日目を担当します🎅✨

「100日後に竣工する建築モデル」とは

今年世間を賑わせた、きくちゆうきさんによる「100日後に死ぬワニ」は記憶に新しいと思います。

この素晴らしい作品に影響されて、私もなにか面白いものを100日かけてつくりたいと思い、ノリで投稿してみたのがこの1日目のツイート。正直このときはまさか本当に100日後まで続くとは思っていませんでした。

始めてしまったからには辞められない性格が幸いして、なんとか100日後まで毎日建築を続け、無事に竣工することができました。100日間の総集編動画はこちら。

時間的変化の共有と空間愛着の醸成

デジタル空間と物理空間の違いはたくさんありますが、私が着目しているのは時間的変化についてです。当たり前ですが、物理空間は時間経過とともにその形状が変わっていきます。対してデジタル空間は、プラットフォームやSDKのアップデートに空間が対応しなくなるなどの時間的変化は生じますが、一般的には空間がリリースされたらそれ以降は基本的には大きく変化しません。(空間内でのインタラクションコンテンツによる短期的変化は除く。)その変化しないことがデジタル空間の良さのひとつでもあります。

「100日後に竣工する建築モデル」では、建築過程の時間的変化を共有することで、みているひとに空間の物語を感じてもらい、デジタル空間でありながら「空間の成長(時間的変化)を愛でることによる愛着」が生まれたらいいなと思いながらつくっていました。(最初は完全にノリでしたが、、)

技術的な話

100日毎日少しずつモデリングして動画をアップしないといけないので、可能な限り効率化が求められました。一日当たりに費やした時間は5分~30分です。毎日のルーティンは以下です。

①昨日までのモデルをみて今日作りたい箇所を設計する
②Revitでモデリング
③Twinmotionに書き出し動画をつくる
④Twitterに投稿

16日目までは静止画1枚の投稿でしたが、静止画で空間の変化を伝えるのは難しいということで、17日目以降は上記のルーティンを基本的に毎日やっていました。
また、途中3回ほどバーチャル空間での撮影を挟みました。単なる動画ではなく”空間"であることを伝えたかったからです。バーチャル空間の撮影はFBXをUnityにインポートしてclusterにアップし、OculusQuestとOBSをつかって撮影しました。

サッシのモデルをLIXIL様からプレゼントしていただいたりもしてありがたかったです。LIXIL様のサッシモデル(Revit)は本当に高精度で素晴らしかったです。

82日目に他の人にも撮影に遊びに来てもらったのはとても楽しかったです。やはりデジタル空間は複数人いてこそ空間たり得るなと個人的には思います。

竣工後

そして100日目の投稿がこちら。

とてもたくさんのお祝いのコメントやいいねのリアクションをいただきとても嬉しかったです。正直なところ、この作品は建築モデルとしても動画としても全く大したことありません。それでもこのようにうれしい反響をいただけたのは、100日間の時間的変化を共有することにより、空間に対しての物語の価値が生まれたんじゃないかなと自分の中では解釈しています。

そしてclusterで公開した「松本技術設計本社」にはたくさんの方が遊びにきてくださりました。記事にまとめてくださる方まで、、本当にありがとうございました。

今後の展望

「老いることも死ぬことも。人間という儚い生き物の美しさだ。老いるからこそ死ぬからこそ、たまらなく愛おしく尊いのだ。強さというものは肉体に対して使う言葉ではない。」

鬼滅の刃 煉獄杏寿郎

煉獄さんの言葉にもある通り、人間は老いて死ぬからこそ愛おしく尊いと私も思います。そしてそれは、空間にもいえることだと思います。デジタルという基本的には不変のもののなかに、どのようにこのような価値を見出していくかについては、今後も考えていきたいなと思っています。

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