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しみじみと「好き」を味わう時間

子どもを産む人生になるとは思わなかった。
結婚するとは思わなかった。

遡れば、すべてにおいてそんな風に言える。
予測していなかったことの連続で人生が進んでいく。

だけどいつだって何かが欠けていたから不幸せだったということはないし、満ちていたから幸せだということもなく、毎日の中に点々と訪れる微かな「嬉しい」「心地良い」「楽しい」「好き」をその都度精一杯味わおうとしてきただけだった。

どんなにどん底に思える時も。
20歳の夜、吉祥寺の路上で涙を流した日も、お肉屋さんの揚げたてのメンチカツを頬張り、あー美味いなー!と一人感動を噛みしめることができた。これはある種の才能なのかもしれないし、何か大切なものが欠落しているのかもしれない。

どこかに到達したから幸せなのではなく
何かを達成したから幸せなのではなく
しみじみと「好き」を味わう時間を日々の中に持てることが私の人生の醍醐味であり、幸せなのだと思う。

すべては過ぎ去っていくことを忘れずに
明日失うかもしれないことを忘れずに。

誰もが、どんな時も、どんな人生であっても、自分が好きと感じるものを否定されたり、むやみに取り上げられるようなことが起きずに、それぞれの幸せの点を大切にすることが叶いますように。

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