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雑踏の中の私は、存在していない

人通りの多いところで、ふと端っこに避けたり、近くのベンチに腰かけたりしていると、自分だけそこにいないような感覚になる。




自分は止まっている。

周りの人たちは、隣を歩く誰かと楽しそうに話しながら、通り過ぎていく。

まわりに人はたくさんいるけど、その人たちだけの世界に包まれながらどんどん歩いていく。


だから彼らの視界に、多分私はいない。


一度目を向けられたとしても、その1秒後には忘れられているだろう。

となるとやっぱり、そこに私がいてもいなくても、同じなんだ。


人はいつ消えても、きっと代わりなんていくらでもいるし。世の中そんな風にできている。




そんなことを考えてたら、たしかに私を認識したであろう人が現れた。

私の目の前にある花壇にゴミを放り投げながら「こんばんは」だって。

こんばんはで話しかける礼儀はあるのに、ゴミを捨てないというマナーはないんだなぁ。







結局私はその人の存在を消した。いないも同然。




そしてその人も、きっともう私のことなんて忘れているんだろうな。

とっくに歩いて行ってしまって、雑踏に紛れてほんとうに消えてしまった。

#日記 #エッセイ #存在 #東京 #夜 #ひとりごと

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