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学習院大学特別客員教授に就任しました

2024年4月、弁護士松尾剛行は、弁護士としての業務を継続しながら、学習院大学特別客員教授に就任し、『法学部生のためのキャリアエデュケーション』を教科書として法学部におけるキャリア教育に従事します。


1 キャリア教育担当特別客員教授

2024年4月1日、弁護士(第一東京弁護士会)・NY州弁護士・法学博士の松尾剛行が桃尾・松尾・難波法律事務所パートナー弁護士・慶應義塾大学特任准教授の身分を維持したまま、学習院大学法学部特別客員教授に就任しました。担当はキャリア教育です。

2022年には、『キャリアデザインのための企業法務入門』(有斐閣)において法務パーソンの仕事内容とキャリアに関する研究の成果を公表し、2023年には『キャリアプランニングのための企業法務弁護士入門』(有斐閣)において企業法務弁護士の仕事内容とキャリアに関する研究の成果を公表し、そして本年3月には、『法学部生のためのキャリアエデュケーション』(有斐閣)において法学部生の卒業後のキャリア及び法律・法務系のキャリアに関する研究の成果を公表してきました。また、AI時代のキャリアというテーマで『ChatGPTと法律実務』(弘文堂)等も著してきました。学習院大学においては、これらの研究を更に発展させたいと考えております。上記のとおり弁護士としての仕事は継続しますので、引き続き、理論と実務の架橋に務めさせて頂きます。

2 『法学部生のためのキャリアエデュケーション』

(1) 書籍概要

学習院大学のキャリア教育の授業の教科書ともなる『法学部生のためのキャリアエデュケーション』は、法学部生だけではなく、法学部卒業生、法科大学院生、司法修習生、若手法務担当者及び若手弁護士等の何らかの法律に関わる仕事に就いているか、就くことを考えている人にも是非お読み頂きたいキャリアに関する本です。

#著者による広報活動

(2) 若手法務パーソンに向けた本書の紹介

法務の世界では、既に転職が一般化し、転職をも選択肢としながら自分で自分のキャリアを考える人が増えています。そこで、「自社内のキャリアパス」と「転職」という複数の選択肢を持ち続けられることが望ましいでしょう。

転職の場面では、「どのようなスキルを持っているか」が重要だといえます。そして、せっかくスキルがあっても、「前の組織では役に立ちました」だけでは足りません。そのスキルが転職先の組織においても利用できる「ポータブルスキル」であってはじめて歓迎されます。

そこで、まずは「自分がどのようなスキルを身に付けたいのか」を検討し、「法務の経験を通じて、どのようなスキルを身につけることができるのか」「どうすれば身に付けたいスキルにつながる経験ができるのか」を考えるべきです。

本書は、法律・法務キャリアを念頭においたスキルのあり方(第4章)、企業の法務担当者のキャリア(第8章)、将来のAI時代に法務パーソンとしてどう備えるべきか(第12章)等について具体的に述べており、若手法務パーソン(や法務キャリアを将来の選択肢とする人)にとっても意義がある書籍だと考えます。

(3)若手弁護士に向けた本書の紹介

若手弁護士の皆様の中には、即独した人もいるだろうし、事務所に就活した人もいるでしょう。しかし、決して最初にどこで働くかが決まれば、もうキャリアについて考える必要がない、ということではありません。

現在は弁護士のキャリアも多様になっており、さまざまな可能性が広がっています。とはいえ、可能性が豊富過ぎることは、キャリアの迷子になる可能性も高まっていると評することもできます。そこで、漫然とファーストキャリアの働き方を維持することに務めるだけではなく、自分のキャリアデザインを考える重要性が高まっています。

例えば、弁護士のキャリアにどのようなものがあるかを知り、自分はどのように働きたいかを検討し、キャリアを発展させる上で必要なものを考える必要があるでしょう。また、独立して自分の法律事務所を設立して自営的就労という働き方を行うことについても学ぶことが望ましいでしょう。

本書は、インハウス弁護士を含む弁護士のキャリアを紹介し(第9章)、自営的就労や組織と個人の関係(第6章)、そしてAI時代の弁護士のキャリアについて説明しています(第12章)。そこで、若手弁護士(や弁護士としてのキャリアを将来の選択肢とする人)にとっても意義がある書籍だと考えます。

(4) 法学部生に向けた本書の紹介

法学部では、①規則正しく処理する力、 ② 法律の「ものの考え方」 、そして、 ③ 周囲を説得する力を学ぶことができます。
規則正しく処理する力について述べると、例えば、テストで結果的に誤った回答をした人について、0点にするのか50点にするのかといった問題について一定の基準を立てて、誰に対しても公平に行うということは、どのような仕事でも重要です。例えば、途中まで思考過程が示され、それが正しければ、結果的に誤っていても部分点で50点をあげる、でも、思考過程が示されていなかったり、示された思考過程自体が誤っていれば0点とする、このような形でルールを明確にし、これを平等に適用していかなければ、不透明で場当たり的な取り扱いになります。そして、法学部においては、ルールの典型例である「法律」を用いてこのような規則正しく処理する力を学ぶことができます。
法律の「ものの考え方」について述べると、例えば、「罰を与える手続きに重大な問題があれば、その人がどのような悪いことをしたか(実体)はともかく、その人に罰を与えてはいけない」といった、個々の法律の知識に留まらない、広い意味の法律家としてどのように物事を見るか、という話です。もちろん、法学部の授業は「憲法」「民法」「刑法」のような形で提供され、それぞれの法律を学ぶことができます。しかし、その学びは、単にその法律に詳しくなるというものに留まらず、法律のものの考え方の習得につながります。社会に出てからも、「この問題は法律の観点から考えるとどう見えるだろうか?」という視点を持つことで、付加価値を与えることができます。
周囲を説得する力について述べると、大学入試までと異なり、社会に出れば「正解がない話」が多いと言えます。例えば「会社の社長が公共プロジェクトを受注するため、政治家の配偶者が代表を務めるペーパーカンパニーに『コンサルティング料』を払おうとしており、周囲に『賄賂ではないか?やめたほうがいいのでは?』と言われてもいうことを聞かない」という状況では、「どうやって社長を説得して諦めさせるか」という点に正解はありません。そして、大学生活、典型的には法学部における学生生活は、このような正解がない社会人としての活動の準備段階と言えます。法学部では、様々な見解が対立する中で、どのように説得的に自説を説明するかについて、教員が他の学説を批判すること等を通じて説明をしていきます。また、グループワーク等で、周囲を巻き込んで、自分の考える方向性で多くの人たちを動かしていく力を培うことができます。
このような能力は、大学生の皆様が社会に出てから様々な側面で役に立つところ、本書では、法学部での学びを生かしやすい法律・法務系の具体的キャリアを解説することで、法学部生の皆様に向け、現時点から法学部の学びを生かしたキャリアを考える上でのヒントを提供します。

3 是非試し読みを!

(1) 試し読みコーナー

出版社の『法学部生のためのキャリアエデュケーション』の紹介ページでは「立ち読みする」をクリックすることで、一部を閲覧できます!
https://www.yuhikaku.co.jp/static_files/T12650.pdf

(2)特別コラム

以下3本のコラムをウェブ上に掲載しています。『法学部生のためのキャリアエデュケーション』のイメージを理解いただく上で是非ご参照ください。
・特別Column① 将来のキャリアを見据えて現在何をすべきか
http://www.yuhikaku.co.jp/static_files/12650_specialcolumn1.pdf
・特別Column② 終身雇用時代が終わったと言われる時代において,目の前に開かれている多様なキャリアの可能性
http://www.yuhikaku.co.jp/static_files/12650_specialcolumn2.pdf
・特別Column③ 英語等の外国語を使ったキャリア
http://www.yuhikaku.co.jp/static_files/12650_specialcolumn3.pdf

(3) 目次

第1章 法学部生のキャリアの可能性
 1 大学生一般とキャリアの関係
 2 法学部生とキャリアの関係
 3 キャリアを考える上での基礎知識
 4 過去・現在・未来
 5 将来のキャリアを見据えて現在何をすべきか
第2章 キャリアとの関係におけるビジネス概論――法務の観点から
 1 キャリアとビジネスの関係
 2 法学部生が理解すべきビジネスとは
 3 ビジネスにおける経営者と労働者の関係
 4 社会・業界・組織・部門・チームとキャリア
 5 アントレプレナーシップ(起業家精神)
第3章 終身雇用時代の終わりとキャリア
 1 新卒一括採用・終身雇用時代とは何だったのか
 2 キャリアパス
 3 終身雇用時代の終わりと転職
 4 人事評価
第4章 スキルセットとリスキリング
 1 終身雇用時代の終了後「価値ある人材」になるには
 2 スキルセット
 3 スペシャリスト・マネージャー
 4 資 格
 5 リスキリング時代の職業訓練
第5章 多様化時代のワークライフバランス
 1 ワークライフバランス
 2 メンタルヘルスとレジリエンス
 3 チームで仕事をシェアする
 4 グローバルにおける競争力と国際化
 5 ダイバーシティ
 6 ファイナンシャルプランニングとキャリア
第6章 副業時代の「自立」と「自律」
 1 組織外におけるキャリアの発展と,組織内外のキャリアの流動化
 2 組織の特徴と,組織と個人の関係
 3 自営的就労時代の到来
 4 副業時代の到来
 5 キャリアキャピタルとネットワーク
 6 組織依存からの脱却の意味
第7章 労働法による労働者の保護
 1 労働法とは
 2 従来の労働慣行を反映した個別的労働関係法
 3 労使交渉への保護が手厚い団体的労使関係法
 4 時代に合わせて規律が変更される労働市場法
 5 福利厚生
 6 社会福祉
 7 自営的就労と労働者概念
第8章 企業内における法務担当者としてのキャリア
 1 はじめに
 2 企業における法務部門の役割
 3 企業法務の業務の特徴
 4 企業法務とキャリア
第9章 法曹のキャリア
 1 法曹三者
 2 法曹になるまで
 3 弁護士のキャリア
 4 インハウス弁護士
第10章 公務員のキャリア
 1 公務員の仕事のイメージ
 2 行政活動の目的
 3 公務員の主な仕事──法執行と政策形成
 4 民間の仕事と比較した場合の公務員の仕事の特徴
 5 国家公務員
 6 地方公務員
第11章 立法に関与するキャリア
 1 立法の重要性
 2 立法に関与する人々
 3 政治家
 4 議員秘書
 5 法制局
 6 企業内の公共政策担当者
 7 公共政策コンサルタント
第12章 AI・リーガルテックの発展とキャリアの将来像
 1 AI・リーガルテック時代の到来
 2 AI・リーガルテックはビジネスパーソンや法務のキャリアを変えるか
 3 個別の進路ごとのキャリアの未来
 4 さあ,考え,体を動かそう
おわりに

(4) 他のキャリア関係の著書

松尾剛行の手による他のキャリア関係の著書については、以下のリンクをご参照ください。

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