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東京宝塚劇場 雪組公演「蒼穹の昴」

2022年12月10日 15:30公演 JCB貸切公演
S席 11列42番

客席に男性、しかも私と同年代またはそれ以上の方が多いと感じたのは、浅田次郎さんの人気小説の舞台化だからでしょうか?
JCB貸切なので浅田次郎ファンがチケットを購入されたのかもしれません。ちょっと普段より客層が違うなと感じました。

予習のつもりでkindleで読み始めた「蒼穹の昴」あっという間に全巻読んでしまい、この壮大な物語をどうやって宝塚の舞台にするのか?という期待に満ち満ち溢れての観劇。物語の後半を「ぎゅっ!」と集めた構成ではありますが、宝塚らしい理念、愛・友情・希望がきちんと表現されています。

実在の人物と架空の人物が交錯する「蒼穹の昴」なのですが、今回専科からな、なんと6名が登場。しかも白太太の京さん以外はすべて実在の人物。
素晴らしい役作りに感服いたしました。
原作の中から、宝塚にふさわしい部分をデフォルメしてつないでいるという感覚でみていましたが、兄弟の愛、友人との愛、次世代につなぐ継承愛…それぞれの愛の中に時代が入り組み、野望が渦巻く、日清戦争が2分のダンスで決着するなんて宝塚以外にないでしょう(笑)

宝塚らしいといえば、春児が西太后に見初められる(という表現でよいのか?)ときの京劇の踊り、京劇の振り付けで劇中劇を作りこんでいて、とても見ごたえがあります。黒牡丹を演じた眞ノ宮るいという方、朝美さんとすごい練習をされたのではないかと推察します。京劇の衣装を着ての京劇の立ち回り、独特の雰囲気があり、宝塚歌劇が京劇に対して敬意を感じさせます。この演目、日中国交50周年だからというのもあるのですね。

梁文秀の彩風咲奈、やっと代表作に巡り合えたなという感じがいたします。前2作、なんとなく作っているという感じがしていて、しっくりこなかったのですが、この梁文秀は彼女の持つ良さにあっている気がします。
そして李玲玲の朝月希和、原作ではこれほど重要ではないのですが、兄弟の愛を表に出すと春児の妹がヒロインに昇格できるのですね。

原作を読んで感じていた西太后の孤独を立ち姿だけで表現していたのが一樹さん。おそらく原作を読んでいる人は、西太后がどうしてよいのか一人悩み、苦しむシーンを覚えているのですが、舞台では全くそのシーンはありません。しかし、立ち姿だけで一人孤独であるという雰囲気がひしひしと伝わってくる。清という大国の航海図を次の世代に確実に継承しなくてはならないという責任と孤独、そして世界の列強が仕掛けてくる戦いに挑み、賠償金を要求され、衰退していく国を憂い、悩む女性、そんな西太后を見事に演じ切っていました。アヘン戦争らしき部分が怪しい色彩のダンスシーンで表現されています。

今回はざっくりとした感想のみ。そういえばパンフレットが縦書きで、1000円?と思うようなボリュームにびっくりしました。次回は12月24日11時公演をみてきます。

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