ちょっとが生後６週目を迎えた2012年8月の最後の週、奄美大島は台風１５号の中にいた。この年は台風15号（ボラヴェン）、16号（サンバ）、17号（ジェラワット）と立て続けに３つの大きな台風が奄美大島を襲ったのだった。8月末の１５号は足が遅く、集落内だけで3戸以上の屋根が飛んだ。8月25日夜から４日間に渡って停電が続いた。

何しろ奄美大島の8月だ。しかも停電でエアコンが使えない。外は暴風雨のため窓を開ける事も出来ない。生まれて１ヶ月と少しの小さな命は大丈夫だろうかとケージを覗き込むと、「なに？？遊ぶの？？」と期待満々の瞳でこちらを見つめている。ちょっとは元気だった。

夜中になると何か面白そうなものを見つけては咥えて振り回し、遊んでいる。賑やかさと暑さで飼い主は寝られたものではない。

風雨が弱まった5日目、ちょっとを海辺の公園へ連れて行った。まだ細かな雨が霧のように降っていたが、長引く停電に鬱屈した小学生たちが遊んでいて、ちょっとは彼らに思う存分遊んで貰ったのだった。