共有するということ

はじめに

松岡はCTO協会のSlackに怪文書を投稿することがあります。
今回、ある怪文書について、CTO協会の運営をお手伝いしてくださっている方から外部公開を依頼されました。
このためCTO協会の運営に関わる部分のみ削除して、公開する次第です。

コンテンツ

よく共有しようって話をしてるんですけど、もうちょっと説明してみます。
3行でまとめると

・早く共有せよ、完成度は低くて良い
・テキストで共有せよ、3行まとめがあると良い
・すべて共有せよ

最後の項目は、仕事において企業が「これは共有しちゃだめ」と定義しているもの、例えばプライバシー情報とか、を除いた情報はすべて共有すべきだと考えています。

踏み込んだ発言をすると、仕事の情報を自分自身しか持ち得ない状況を作ることは、消極的な背任だとすら思ってます。なぜかというと、それは従来の多くの組織的な問題が発生するからです。

情報を自分自身しか持ち得ないという状況、情報のアービトラージは権力の構造を作り、人から創造性を奪うからです。
情報量の差がメンバーや上司部下で発生すると、情報量が少ない方は意見することが難しくなります。

結果としてそれは、情報量が多いほうのマネジメントコストを下げます。
それによって、全体最適としては悪化するけど、部分最適としては良い方向に進みます。

これが共有しない組織における共通の病です。過去は不確実性が今よりも低かったので、トップがした判断を分解してやればよかった。とまでは言わないにしろ、ひどいことになったとて、なんとかなりました。

今は不確実性が高くなり、多様な現場判断を行わねば勝てない時代です。それには徹底した情報の共有と、明確な職務の宣言が必要です。しかしこれはとても大変なことです。共有すればいろいろな人からフィードバックがあるでしょう。人は弱いもので、どうやったって楽したいバイアスから逃れることはできない。

僕もそうです。

だからこそ意識して言い続けないといけないし、やり続けないといけない。
情報は本当にかくれんぼが得意です、共有せねばならない。仕事に関する会話はすべてログを取り共有する。

1on1ですら、これとこれは組織の学びにすべきだから全体に共有しよう、と2名で合意したものは共有する。
自身の行ったアクションは、アクションを行ったのと同じ日には共有する、そういう事が必要なのです。

「あんまり書いてるとうざがられないかな?」って話もあると思うのですが、もう情報の取捨選択は受け取り側が決める時代なので、気にする必要はないのです。

----追記----
共有とセットで語ることが、アサーティブなコミュニケーションです。共有した人がバカを見るような文化を作っては絶対にいけません。ではこれをどう浸透させるのか、ということがマネジメントとして非常に重要な時代であると考えます。
----追記終わり----

----ここから好きな人にはたまらない、そうじゃない人には意味がない部分なのでスキップして良いです----
また、野中郁次郎大先生も失敗の本質や戦略の本質でおっしゃっているわけです。
戦争に勝つとはなにかというと、やろうとしていることや現在の状況を以下に末端まで浸透させるかということであるとしてます。
アメリカ軍はそれができている傾向が強く、日本軍はそれができていなかった。
堀栄三の台湾のレポートを握りつぶすようでは勝てないわけですね。
----ここまで----

共有の要素とはなにか、何が良い共有なのか?共有の要素の一つは時間です。会議直後に共有される雑に書いた会話メモと、3週間書けて作った抜けもれなくレビューが通りまくった議事録のどちらに価値があるのか?

それはもちろんケースバイケースですが、企業の内部で共有する情報の多くは会議直後が良いでしょう。スピードは何より重要です。

これの達成のため、ネット系ではリアルタイムに議事録をとり、MTGの最後に議事録を全員で確認して終わることが多いですね。素晴らしい文化だと思います。それが一番早い。もう一つ大事な要素は、コスト安くスケールすることです。

コスト安くとは、読み手と書き手の双方の視点があります。

読み手のコストを安くするには、きっと口頭や動画よりテキストが良いでしょう。人は話す速度より読む速度のほうが早いです。また、その構造も「3行まとめ」「TL;DR」「マネジメントサマリ」などが最初に一手間はいっていたりすると、読み手に優しいですね。

更にそれをより軽量に気がついてもらうために、Slackにサマリの部分とセットで投稿してあげるとより丁寧ですね。書き手のコストはやっぱりテキストが良いですね。すべての議事録を動画編集して届けたら、もしかしたら議事録を読むのより効果的かもしれませんが、編集コストが高すぎます。

また会議での口頭の共有などは、やったほうがいいですが過信できません。同期を取らないといけないものは、スケールしない。体調が悪い人は情報を追いかけることができません。僕らはコロナも会って、リモートで非同期で多様な働き方のなかで仕事をする時代になりました。

なので、価値観をアップデートせねばなりません。

おそらく、これからの時代のコミュニケーションスキルとは、こういうことなんだろうと思っている次第でござんす。


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