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ライフハックの食べ過ぎにはお気をつけ下さい!

ライフハックが百花繚乱のご時世である。かくいう私も、「~に効果的な5つの方法」「こうすればうまくいく!」などというタイトルに惹かれ、ついつい記事をクリックしてしまう。へぇ~と驚いたり、インスパイアされたり、ためになることも多い。しかし、同時に「そんなに効率・能率を高めて、いったいどうする?」と思ってしまうこともある。

だいたい、いまいち訳のわからない「心」を持ち(あるいは振り回され)、しばしば合理性を欠いた行動をとる我々人間という動物は、ひたすら効率・能率を極めていくことでなにを手にしようとしているのだろうか。人間が効率・能率性をを高めることと、機械の効率・能率性を高めることとは、根本的に違う。

こんな小噺がある。ある南の島の美しい浜辺で、のんびり釣りをしている男がいた。スーツのビジネスマンが話しかける。
「この素晴らしい景色!このビーチを開発してホテルを建てれば、一大リゾートがつくれるぞ。」
「そしたらどうなる?」
「北米からヨーロッパからアジアから、たくさんの観光客がおし寄せて、大賑わいだ。」 
「そしたらどうなる?」
「外貨がはいり、地元はうるおい、たくさんの失業者が定職につくことができるようになる。」
「そしたらどうなる?」
「今の何倍も稼いで、安定した生活ができる。」
「そしたらどうなる?」
「貯金も増え、早くリタイアできる。リタイアしたら、毎日釣りでもしてのんびり暮らせるよ。」
「それならもう毎日やってるよ。」

最近、精神科医であるシロクマさんの大変おもしろいコラムに再会した。不健康なまでにありえない細さのモデルたちの、非現実的なその姿を目指して必死にダイエットし、心身の健康を損なうティーンエイジャーたち。スーパーハイパーなグローバルエリートたちの、その非現実的な姿を目指し、平凡な己を必死に鼓舞するフツーの人たち。両者のメカニズムはとても似ている。

ライフハックを否定はしない。学ぶところも多い。つっこみどころ満載のものもあり、読みものとして単純におもしろい。ただ、食事と同様、腹八分目にしておいた方がよさそうである。くれぐれも、ライフハックの食べ過ぎで消化不良など起こされませんよう。

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