【2017年】お母さんの読書感想文「小泉今日子書評集」
2017年1月15日
小泉今日子書評集
小泉今日子 著
中央公論新社
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キョンキョンが、読売新聞に10年にわたり書いていた書評をまとめた本。
私は、読売新聞は読まないので、彼女が読書委員というものをやっていることは全く知らなかったし、もちろん書評を書いていることも知らなかった。
同年代のアイドルとして昔からよく見てきた彼女が、こんなにも心に響く文章を書く人だったということに驚いている。
そして「小泉今日子」という生き方に、憧れにも似たまぶしさを感じた。
この本は、2005年から2014年までの、彼女の10年間が詰まっていると感じた。
それは同年代である私の10年でもある。
30代後半から40代後半にかけて、人生の場面が変わっていくその時々に、自分の不安や迷いや喜びなどのさまざまな気持ちが選書に現れてきたのだろうなと思った。
読書って、自分の選択だと思う。
自分の時間を使って、どの本を読むのか、決めるのは自分だから。
ここ最近の私は教育書のようなものを読むことが多いのだが、これも自分の関心がそこにあるからなのだろうと思う。
彼女の選書は小説が多いのだが、書評を読んでいて思うのは、エピソードの豊富さだった。
少女時代の思い出が、本を読み進めるうちに鮮やかによみがえってくる様子が、書評から伝わってくる。
アイドル時代の彼女の本音なんかも、ところどころに見え隠れしている。
読書は、そんなふうに昔の記憶を引き寄せてくれる力がある。
そして、そのころはわからなかった奥の方にある自分の気持ちに気づかせてくれることもある。
改めて感じたのは、私には語るほどのエピソードがない、という事実だ。
エッセイなどを読んでいても思うのだが、私は子どものころ、どんな少女だったのか、なにが好きでなにが嫌いだったのか、学校でどんなことをしていたのか、先生や友達にどんな感情を持っていたのか…そんなことがまるで思い出せない。
私の子ども時代の印象は、まわりの人から見てどうだったかという、他人からの伝聞の印象でできている。
考えているようで実はなにも考えていない、その時その時に流されてきた人生だったのかもしれないな…
と少し寂しく感じている。
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