一級建築士設計製図試験 令和4年度 振り返り

令和4年度 一級建築士設計製図試験について

令和4年度の一級建築士設計製図試験から早1年が過ぎようとしているので、当時のことをまとめてみようと思い、記事にしました。
注意:この記事には、学科試験及び設計製図試験の要点記述については含まれておりません。

簡単な自己紹介

休日はまったりする人
45歳(男) 会社員
仕事は建築関係ですが、設計業務でも施工管理業務でもありません。
私は家庭の事情で高校を中退後、10年間工務店で働き、実務経験で二級建築士を取得しました。
その後、実務経験にカウント出来ない職種についていたため、一級建築士の取得までかなりの期間を要しました。
中卒で学歴のない私が、一級建築士を取得したお話です。

令和4年度の設計製図試験(以下:試験)は年齢的にも経済的にも背水の陣で挑みました。
試験は3回受けることができますが、6時間30分ぶっ通しの試験は体力的にもきつく、また資格予備校へ通うお金もバカにならないため、ここで受からなければ諦めるつもりでいました。
そもそも私は二級建築士の資格を持っており、業務上は二級建築士の資格でこと足りていたため、一級建築士の取得はただの私の自己満足でした。
(名刺に一級建築士って入っている方が格好いいし)
そんな背水の陣で挑んだ試験のことを記事にしました。
当該記事には試験時に作成したエスキスや作図図面(復元図)を載せているため、途中から有料記事とさせて頂いております。
金額は100円です。
もしご負担でなければ、最後までお付き合い頂けますと幸いです。

一級建築士試験の受験歴

令和2年独学→各科目は基準点以上取ったが、総合点で1点足らず敗北
令和3年総合資格→総合点101点で学科通過→設計製図試験ランクⅡで敗北
令和4年総合資格(製図長期コース)→設計製図試験ランクⅠ合格

令和4年度 一級建築士設計製図試験

それではここより試験問題の内容となりますが、全てを書ききるとものすごい文字数になりますため、当該記事のメインとなるところを問題用紙から抜粋しつつ書いていきたいと思います。

令和4年度の設計課題は【事務所ビル】でした。
事務所ビルは、直近では平成21年に出題されており、令和3年度の集合住宅に引き続き、基準階型の建物でした。

Ⅰ.設計条件
ある都市の市街地にあり、近隣住民に親しまれている緑豊かな公園に隣接する敷地に、レストランを併設した貸事務所ビルを計画するもの。

貸事務所ビルだけに、計画に当たっては
(1)『収益性』『可変性』『快適性』に配慮した計画。
(2)最上階に屋上庭園を併設した、多様な働き方に対応可能なシェアオフィス(貸事務室、貸会議室等)を計画。
(3)省エネルギー及び二酸化炭素排出量削減に配慮した計画。
を求められていました。

1.敷地及び周辺条件
総合資格で毎回やっていた課題と大して相違はなく、いつもの授業通りの感覚で読み進めていきました。
が、ここで少々気になる文言があり、それがこれでした。

(5)地盤は、「地盤略断面図」のとおりである。

令和3年度の試験では軟弱地盤が傾斜していたので、またそのような形状なのかな?程度で課題文の下にある「地盤略断面図」を見てみたところ、なんと!N値50以上の砂礫層はGL-20mと表記されているじゃありませんか。
ちょっとまて、これどう考えても杭基礎だろ、と。
ここで私が思っていたのは、『やべーな、総合資格の課題では一度も杭基礎やってねーぞ。』でした。
しかし、ここで焦ってもどうしようもないと思い、続けて課題文を読み進めていきました。

2.建築物
(1)階数及び構造種別は自由とする。ただし、地階は設けない。
令和3年度の試験同様、床面積の上限値、下限値はなし。
そして、今年は階数の指定もなしときた。
この階数の指定がないことについては、総合資格の友人たちと試験前日、今年はもしかして階数指定がないんじゃない?なんて話をしていたので、階数指定がないことより、予想が的中したことの方がびっくりして、一人でほくそ笑んでいました。

敷地の形状及び周辺状況
敷地はX方向に48m、Y方向に32mの長方形。
南北の二面道路(南北共に幅員10m)、北側道路向こうには共同住宅、南側道路向こうには店舗付き事務所ビル、東側には防火上有効な公園、西側には事務所ビル、南側道路の東方向に駅の表示というものでした。

(3)要求室
事務所部門の室
貸事務室Aと貸事務室B
床面積については『基準階(2階から最上階の直下階)の合計3,000㎡以上』とされていました。
この『3,000㎡以上』が後々受験生の間で、共用部を含めた基準階の合計のことなのか、それとも貸事務室AとBのみの合計のことなのか、悩ませる原因となりました。
結論から申し上げると、これは貸事務室AとB(共用部などは含めない)の面積の合計が3,000㎡以上でした。
これについては、解答用紙の右下(面積表)に貸事務室AとBの面積の合計を記載する欄があり、そこにも『貸事務室A及び貸事務室Bの合計の床面積』のような記載があったと思います。
※ここについては記憶が曖昧なため、文言が違う恐れもあります。
私は総合資格に通っていた時から、課題文を読む前に、先に解答用紙(作図用と要点記述用)を見る癖をつけていました。
問題によっては、1階と2階が上下逆だったりすることもあり、解答用紙の配置同様にエスキスを描いていたからです。
(多分皆さんそうだと思いますが)
そのため、先に書いた床面積の合計欄を確認していた私は、共用部を含めた基準階の合計とは考えず、最初から貸事務室AとBの合計で考えていました。

また貸事務室A、Bに要求されたのは、床面積の他に『無柱空間とする』『床仕上げ面から天井下面までの高さを最も低い所で2.8m以上とする』『会議室(定員10人程度)』や『執務スペースの在席者数30人以上を想定したスペースや什器などの計画』でした。
このとき、天井高の指定がやけに具体的だなと思った記憶があります。
そういえば解答用紙のうちの1枚、要点記述の方に1/50程度で断面詳細図を描くスペースがあったことを思い出しました。
この断面詳細図については、総合資格の課題で何度も練習していたので、特に悩むこともなく描くことができました。
というより、令和3年度の要点記述でも、室内プランの詳細図を描く欄があったので、このような問題も想定して練習していました。
(2年目になると勘が働くようになります)

シェアオフィス
最上階に計画し、会員制で、貸室aを5室以上、貸室bを5室以上、貸室cを10室以上の表記。
この〇室以上の表記は令和3年度の集合住宅でもありました。
令和3年度の集合住宅で、求められている室数以上を描いた場合の優位性が特にあるわけでもなかったと講師から聞いていたため、必要以上の室数を描くつもりはありませんでした。
しかし、エスキスの段階で余分なスペースができるところがあったため、貸室aのみ6室配置しました。

コミュニティホール
注意点としては『ホール内は無柱空間とする』ことぐらいでした。

エントランスホール
注意点は『8時から20時までの時間帯は自由に出入り可能とし、それ以外の時間帯は通用口を使用する』ことだったので、通用口の計画は必須でした。

事務所部門の室は他にも、管理人室、清掃員控室、ごみ保管庫、防災備蓄倉庫などがありました。

レストラン
注意点は『営業時間は7時から22時まで』『建築物の外部から直接入れるようにする』、レストラン付属室(屋内客席スペース、厨房、食品庫、従業員休憩室兼更衣室、トイレ)の要求。
営業時間の指定や外部から直接入れるようにするとの文言から、エントランスホールからの出入りは考えず、レストランを単独運営として計画した方が多かったと思います。
私の場合、エントランスホールとレストランの営業時間が重なっている時間帯のみ、エントランスホールからもレストランへ行くことが出来る計画としました。
これは、事務所で働く従業員やコミュニティホール、シェアオフィスの利用者が建物内からレストランを利用できるようにと考えたからです。
もちろん、外部からも利用できるレストラン単独の出入口も計画しました。

令和4年度の要求室の面積では、床面積の指定があるものは全て『〇㎡以上』とされており、『約〇㎡』の表記のものはありませんでした。

また、避難階段である直通階段についての記載があり、『屋外階段とはせずに屋内に設ける』とのことでした。
屋外避難階段だと、2m以内の開口部など法規に注意すべきところがありましたが、今回は屋内階段の指定だったので、この辺りを考慮する必要はありませんでした。

3.その他の施設等
(1)屋上庭園
①面積100㎡以上、シェアオフィスのラウンジに隣接した位置に設ける、屋内から屋上庭園への出入口については、段差のない仕様。
(2)レストランの屋外テラス席
①レストランの床面積(200㎡以上)とは別に、50㎡以上確保。なお屋根又は庇を設けてもよい。
②レストランの屋内客席スペースと屋外テラス席との間は、段差のない仕様
(3)駐車場 事務所部門用として2台(うち1台は車椅子使用者用)、レストランのサービス用として1台。
(4)駐輪場 レストランの客用として10台分。

ここでも要求室同様に、面積の指定は『〇㎡以上』とされていました。
屋外への出入口については段差のない仕様(バリアフリー)を求められており、不特定多数の人が利用する施設(シェアオフィスやレストラン)は段差のない仕様(バリアフリー)が標準化されているのだと感じました。

以下のものについては割愛させていただきます。
4.留意事項
Ⅱ.要求図書
要求図書に含まれるもの

エスキスの左側(検討事項)

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