建築設備定期検査の仕事

初めに、私は都内の会社で働いており、現場も都内が多いので、東京都の定期報告制度を元に記事を書いております。
各行政により、報告の年度や対象建築物及び対象設備が違いますので、予めお断りさせて頂きます。


建築設備定期検査

建築設備定期検査とは、建物に設けられた以下4つの建築設備について検査を行います。

  1. 換気設備

  2. 排煙設備

  3. 非常用の照明装置

  4. 給水及び排水設備

換気設備

換気設備とは、換気上の無窓居室と火気使用室、居室等と呼ばれるものが対象となります。
そして、居室までに設けられた空調用ダクトが区画を貫通する場合、そこに取り付けられたFDの作動確認までを行います。
換気上の無窓居室とは、居室の床面積に対して1/20以上の換気上有効な開口部が設けられていない居室が対象となります。
火気使用室とは、ガス器具を使用している居室(厨房など)が対象となります。
居室等とは、建築基準法別表第1の(い)欄第1項の用途に設けられた居室が対象となります。
居室等の場合は、換気上有効な開口部の有無は関係ありません。
これらの居室の換気風量測定や二酸化炭素濃度の確認を行います。

排煙設備

排煙設備とは、機械排煙設備が対象となり、自然排煙設備は対象となりません。
機械排煙設備とは、文字通り機械排煙機によるもので、自然排煙設備とは排煙窓など、機械排煙以外のものとなります。
機械排煙設備には、以下の3方式があります。
・加圧防排煙方式
・押し出し排煙方式
・機械排煙方式
現場で最も多いのは機械排煙方式となります。
天井(壁付け)パネル方式と天井チャンバー方式があります。
いずれも機械排煙機の排煙風量測定、排煙口の排煙風量測定を行います。

非常用の照明装置

非常用の照明装置とは、停電時に点灯する照明となります。
非常灯や停電灯などと呼ばれます。
非常用の照明装置は大きく分けて、電源内蔵型と電源別置型になります。
電源内蔵型は、非常用照明装置の器具自体が内蔵バッテリーを組み込んでいるものとなり、点検紐や点検スイッチを作動して点灯確認を行います。
電源別置型は、電気室などに置かれた蓄電池設備から電源を供給し、分電盤に設けられた切り替えスイッチにより点灯確認を行います。
器具の種類は、白熱灯型、蛍光灯型、LED灯型の3種類があります。
現行ではLED灯型が主流となってます。

給水及び排水設備

給水及び排水設備とは、飲料水を入れる受水槽や高架水槽、そこから供給される配管などが対象となります。
最近の建物では増圧直結給水ポンプユニットを使用している建物が多く、受水槽や高架水槽がない建物もありますが、飲料水用の水槽が無くても、汚水槽や雑排水槽があれば、これも検査の対象となります。
また、排水再利用水を使用している建物については、クロスコネクション検査も対象となります。

最後に

簡単な説明となりましたが、以上が建築設備定期検査の内容となります。
建物によっては、検査対象が非常用の照明装置しかない建物(小規模な共同住宅など)もあり、規模や用途によってさまざまです。
新築物件の場合は全ての図面がそろっており、排煙設備についても排煙の区画面積などが載っている図面もあり、検査もスムーズに行えます。
しかし、少し年代が古い建物や、間仕切り変更を何度も行い俊工時と区画が全く変わっているような建物になると、それだけで難易度が一気に跳ね上がります。

私の経験上、大きな間仕切り変更がない共同住宅や学校、老人ホーム、ホテルなどは大変検査のしやすい建物です。
しかし、頻繁に間仕切り変更が行われたり、テナントが入れ替わる事務所ビルなどは、経験値がないととても対応が難しいものとなります。
特に、特定建築物定期調査においては、指摘事項が山のように積み上がります。

そんな特定建築物定期調査の仕事内容を次回は記事にしたいと思います。

今回もご一読いただき、ありがとうございました。

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