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特撮ヴィラン語り ~その349 スーパー童子、スーパー姫~

仮面ライダー響鬼」における敵役、魔化魍(まかもう)
妖怪伝承のもとになった存在と劇中では設定されており、その大半が人間サイズを逸脱した巨大生物としてデザインされております。
そんな魔化魍の成長を助ける親代わりについているのが童子(どうじ)姫(ひめ)。性格や身なりは千差万別ですが、みな同じ顔をしているのが特徴です。そう、なんとこの化物たちのブリーダー役ってことなんですね要するに。

急に妖怪の怖さが薄くなったのは何でだろう

しかし物語が進んでいくうちに、その童子や姫も人工的に作り出された存在であることが発覚。
最初は山や森の中など自然の中でしか現れなかった魔化魍も、やがて都市中心部に出現する機会が増えていくようになり、その黒幕たちの思惑によって進化した存在へとパワーアップしていきます。
その過程で童子や姫の新型として作られたのがスーパー童子とスーパー姫。平安貴族のような烏帽子と大きな袖が特徴ながら、えらく大胆なファッションに身を包んでおります。
もうこの辺まで来ると怖いかどうかとは別次元で、

なんかこう…オサレというか…独特というか…うん(歯切れ悪いのやめろ)

魔化魍もこの辺りから人間大サイズのヤツが増えて来て、普通に「怪人」って感じになってきたんですよね。
「響鬼」って前半と後半でスタッフ陣が総入れ替えになっていて、人間大サイズの魔化魍やこのスーパーなコンビが出始めたのは後半からなんですが、その頃って担当されていたスタッフ陣が平成仮面ライダーの常連ばっかりだったんで、いわゆる見慣れた雰囲気に戻ったっていう感じでした。
前半があまりにも独特の空気感過ぎたんで、落差が激しくてその辺でファンが未だに二極化されてしまっている部分はあるんですけどね。

で、平成仮面ライダーシリーズって敵側のドラマにも焦点を当ててるんですが、後半もやっぱりそうなっていきます。
スーパー童子やスーパー姫って人工的に作られたばかりの存在だったので、登場した初期は知性が低い子供みたいな人格だったんですよ。普通にスタイルのよいモデル級の男女が3歳児みたいな口調で喋るってサイコな怖さがありますけど(妖怪とは違う怖さですよね)、だんだん物語が進むごとに急激に精神が成長を遂げていって、終盤では「我々は何のために作られたんだ…」と急に哲学っぽい考え方にまで至るほどになっちゃうんです。

いや急にそんなこと言われても情緒追いつかねぇよ視聴者は
もっと気楽に遊んで遊んであなた方

元々「響鬼」のドラマって、主人公は普通の高校生で、修行を重ねて鬼として戦う大人との交流を経て成長していく過程を軸に据えて作られてるんです。
手法は変わってもそこは前半・後半を通してずっと描かれて来たところなんですけど、そういう部分の厚みを重視していくとどうも敵側のドラマに目がいかなくなっちゃうんで、そっちはいっそ削ぎ落してくれてよかったなぁ…くらいまであったんですよね。
見た目は好きだったけど、ちょっとだけそこは残念だったなぁって思います。

matthew

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