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特撮ヴィラン語り ~その119 超合成獣サンダーダランビア~

もうすぐ始まる待望の新作「ウルトラマントリガー」。
「ウルトラマンギンガ」から毎年ウルトラシリーズの新作が放映されるようになって9年ですが、こんなに長く続くって本当に今までなかったことで(ウルトラシリーズは何度も中断期間を間に挟んできた)、それだけでも個人的に「今こそウルトラシリーズが熱い!」と言える時期が到来していることがすごく嬉しいです。

そんな通称:ニュージェネレーションの第1作「ウルトラマンギンガ」で第1話に登場したのがこのサンダーダランビア。新怪獣のようで実は過去作品の怪獣のバリエーションという面白い経歴の持ち主です。
大本は「ウルトラマンダイナ」で、こちらも奇しくも第1話に登場した超合成獣ネオダランビア。「ダイナ」におけるメインヴィランである宇宙生命体スフィアが火星の岩石などと融合して生まれた怪獣で、その後も「ダイナ」本編では様々なものにスフィアが融合した怪獣が1年を通じて登場します。
本当は「ギンガ」第1話では新しいスタートを切るという意味合いで完全な新規怪獣を出したかったらしいんですが、

予算という怪獣や宇宙人よりも厄介な敵には勝てず

たまたま倉庫に残っていたネオダランビアの着ぐるみを修繕も兼ねて改造しようということで落ち着いて誕生したのがこのサンダーダランビアです。

背 景 が 悲 し い よ

まあ「ギンガ」自体も相当苦しい予算の中で作られた作品ではあったんですけどね。TVシリーズを1年やれるだけの財源がなくて、低予算のVシネマ数本と映画1本を何年かに一度作れるだけという、円谷プロが一番しんどい時期にどうやってウルトラシリーズの巻き返しを図るかという形で足掻きまくっていた中で生まれたわけで。
その結果ロケ費用を抑えるために山中の学校だけを舞台にして、毎回似たような山林で怪獣とウルトラマンが戦う舞台背景にすることでセット代も極力浮かせ、それでも話数は稼げないので1クール程度で完結する短期ストーリー。本当に大変だったんだろうなと。
そんな中で何とか玩具などの売り上げを巻き返し、次作以降のスケールアップを図れるかという、「下町ロケット」並みの逆境からのスタートを切ったのがこの「ギンガ」。そこでポイントになったのが、玩具売り上げの中心に据えるアイテムでした。

ウルトラシリーズと言えばパッと頭に浮かぶのは、ウルトラマンや怪獣たちの人形ですよね。子供たちが手元で戦わせる人形遊びなんかはどの世代でもやってたと思うんです、特に男子は。
そこにフォーカスを当て、「ギンガ」においては人形を使って人間たちがその怪獣やウルトラマンに一体化するという新機軸を押し出しました。

最初はそれ仮面ライダーと一緒じゃねえかって酷評もあってねえ…(遠い目)

悪の欲望に囚われて怪獣となった人間たちを、ギンガに変身する主人公:礼堂ヒカルが退治してなおかつその心を救うというのが「ギンガ」の物語の基本フォーマット。その第1話に登場したこのサンダーダランビアは、名前のごとく電撃を主武器としています。デザインとしては背中から突き出した発電機のような角が最大の特徴。
まさかの「ダイナ」からの怪獣起用には本当にビックリしたし、というか着ぐるみがある程度残ってたんだなってことが一番の驚きでしたけどね。大体はもう材質の劣化がひどくて作りなおさなきゃならないレベルだったわけだし。基本的に着ぐるみって10年も持たないんですよなかなか。
そこで新しい着ぐるみを作ることも出来なかったという苦境からスタートしたニュージェネレーションシリーズも、はや9年。どんどんレベルアップしていく特撮の迫力は、正直仮面ライダーや戦隊シリーズよりも格段に上だと思ってます。そこまで勢いが戻ってきたということが本当に嬉しい。
その9年の歴史の始まりとなった怪獣という意味でも、このサンダーダランビアは大きな存在だったと思いますねー。

matthew


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