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特撮ヴィラン語り ~その325 夢幻神獣 魔デウス~

突然ですが、「よく分からない」って実はむちゃくちゃ怖いと思いません?
いわゆる幽霊や呪いとかのオカルトって、理屈で説明がつかないあり得ないことだらけだから怖いんですよね。宇宙人やUMAだって、未だにいるかどうかよく分からないところが多いから怖い。
そういう不条理で不可解なウルトラシリーズの怪獣は様々いますが、中でも多分一番よく分からないのがこの魔デウスです。

というか、こいつが登場したエピソード自体がよく分からないんですよねまるまる

魔デウスが登場した作品は「ウルトラマンマックス」。
元々この「マックス」は、エピソード自体の時系列は関係なく毎回勢いで一話完結をやりきるというスタイルで作られたそうなんですが、中でもこの魔デウスの話はとにかく難解でシュール。
なんと「マックス」の脚本を手掛ける男性:蓮沼が主人公となり、新しいエピソードを構想する中で出会った謎の女性によって脚本の中と現実世界の境目が曖昧になりながら事件に巻き込まれるという、メタフィクションの話なんです。
そしてその脚本の中で蓮沼が生み出した怪獣がこの魔デウスであり、謎の女性はその存在を「ウルトラマンに勝つ怪獣」に仕立てようとします。

果たして謎の女性は現実の存在なのか?
それとも脚本の中の存在なのか?
しかし脚本の中にしかいなかったはずの魔デウスは街を現実に破壊していきます。ウルトラマンマックスがいない現実の街を。
蓮沼はやがて、自分が書いた脚本の中でマックスに変身するTEAM DASHのカイト隊員と意識をシンクロしていき、なんと蓮沼自身がマックスに変身して魔デウスと戦うのです。

ってなんだこの「世にも奇妙な物語」は
他局だよ他局

そんなひたすらに難解で奇妙なこのエピソードに現れた魔デウスも、本当に奇妙過ぎる怪獣です。
まるで満月のような真ん丸の姿は、蓮沼のオファーから造型師さんが作った粘土細工の原型そのもの。しかしそれがひび割れると中から触手が飛び出し、近づく敵を飲み込もうとします。
何より怖いのはその鳴き声。心臓の鼓動のような音と、女性の荒い呼吸を合わせたような鳴き声を常に響かせています。どこに口があるのか分からんけど

何より一番怖いのはそんなわけの分からない話を土曜日の朝にTVで流してた事実です

いやまあ「マックス」の前にやってた「ウルトラマンネクサス」なんてずっとホラーでしたから今さらかもしれませんよ。
でもホラーとはいえちゃんとストーリーは仕上がってたし筋は通ってたんですよ。少なくとも見終わった後に何がなんだか分からずポカーンとはしなかったんですよ。
マジでこの回は何一つ分からなかった。ホントに異色中の異色です。
でも一つだけ分かったことがあります。

朝早くからそこそこ歳を重ねた女性の荒い呼吸を聞かされても
色気とか何とかの前に普通に気分悪くなるだけだからやめていただきたいということを

matthew

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