【全文無料公開】元教員が明かす成績表の書き方(所見編2)

成績表には学力を表すものと様子を表す所見というものがあるという話をしてきました。

所見についてもう少し話します。
(100円に設定していますが全文無料で読めます)

所見の内容は
・学習、生活の様子
の他に
・総合的な学習の時間
・外国語活動の時間(英語)
・道徳
を記載している学校が多いです。順に話します。


総合的な学習の時間

総合的な学習の時間(以下、総合)について知っておいてほしいことは、学校ごとにもしくは学級ごとに何をしてもいいということです。
難しい用語での説明は省きますが、何らかの教科もしくは複数の教科と関連させて活動を行います。

一例を挙げるとすれば、学校近隣のデイケアなどとの交流をする学校がありますが、ただの交流で終わらせるのではなく自分たちの住んでいる地域の特色と関連させてお年寄りとの関係を見つめなおしていったりします。
この場合、総合といっても社会科と関連させて学習を行ってます。

先ほど、学校や学級ごとに何をしてもいいといいましたが、総合の時間に何をするかは文部科学省から指示されているわけではなく学校の裁量に任されています。それも年間70時間もあります。

これが困ったもので「何でもしていい」と言われるとかえって何をしていいのか困ってしまうんですよね。

なので、学校によっては学年によって大まかに何をするのか決められている場合がありますし、担任に一任という学校もあるんです。

個人的な意見ですが、年間70時間を1人で計画して(実際には子どもたちと決めていくケースが大半ですが)学習の効果などを考えながら、やっていくうちに先が見えなくなる水物の時間だと思います。

例えば年間60時間使ってちょうどきりがいいところで終わったとしても、あと10時間は時間を確保しないといけません。なので、毎週提出する週案というものの数字が改ざんされていることが多いです。(後述)

成績表には子どものがんばったことが書かれます。


外国語活動

小学校4年生までは外国語活動。小学校5年生からは教科「英語」として扱われます。ぼくが勤務していた学校では外国語活動として英語を勉強するほかにアジアやヨーロッパなどの各国から講師が一人派遣されてきて、その講師の母国の国の文化などを学ぶ機会がありました。

ですが、今回は外国語活動=英語としてお話します。

学校で行なわれる外国語活動(以下、英語)は基本的に学級担任(もしくは教科担任)が指導することになっています。
しかし、30代以上の教員は大学の教員養成課程で英語指導について学んだ経験はなく、年間数時間の校内・校外研修しか受けていません。そもそも英語にアレルギーをもっている教員が多すぎます。お上の一言で嫌々英語を指導することになったのです。

そんな教員が子どもたちに英語を指導できるはずもなく、ぼくの体感では8~9割の学級担任がALTと呼ばれるネイティヴで英語を話す講師に丸投げ状態です。

ALTの位置づけは担任の補助。例えば、発音がよくない教師の代わりに発声してもらったりするのが本来の姿なのですが、教員免許を持たない彼らに任せっきりなのが現実です。
外国人講師は外国人講師派遣会社から学校ごとに割り当てられて派遣されてくるのですが、その派遣会社も内情は知っている様子で会社独自のマニュアルがあったりなかったりします。

5年生以上は週1で英語をすることになっているのですが、2~3週間に1回程外国語活動をする他学年も同じで、多くても週1回の英語で英語の素地が養えるなんてことはありません。

約半数くらいの子どもが何をやっているのかよくわからないまま

ハロー

とか言い始めて英語のアクティビティをしています。

まあ、遊びだから楽しいですよね。

英語の素地を養うためには英語を聴ける・正しい音を出せるということが必要不可欠なんですが、カタカナ英語という名の日本語に慣らさてきているのに、たまーに英語を聞かされても定着しないのが実情です。

How are you を
ハーウー
なんて言ってもgood!で済まされるのが小学校英語です。

ぼくは毎日朝の会で5分間を使ってフォニックスを3年も続ければかなりの英語耳と発音の改善が見られて今後の英語学習に生かされると思うのですが、フォニックス自体を理解していない教員も多く、また他校がやっていないのに自校がしなくてもという意見に流されて終わります。

成績表には子どものがんばったことが書かれます。


道徳

新しく教科になった道徳です。

道徳の教科化には反対意見も多いのですが、個人的には教科となって良かったと思いました。
なぜなら道徳は年間35時間やることになっているのですが、守っている教員はほぼいなかったからです。かくいう私も守っていないことが多かったです。
道徳という名の理科
とかめちゃくちゃやってました。だって道徳面白くないし。

と思っていたのですが、子どもたちは「道徳やりたい」とかわけのわからないことを言ってきます。

これはぜひ家庭の皆さんに知っておいて欲しいことなのですが、

道徳が教科になるということで今年度あたりから副読本ではなく教科書という形で子どもたちに配本されています。ですが、この教科書内容がめちゃくちゃすぎます。
一応教員用の本(子どもたちの教科書にも)には、この読み物をもとに指導して培わせたい道徳性が明示されているのですが、読み物の内容が破綻しているので指導内容を教えるためには半ば無理やりに授業をしないといけなくなっています。

まだ副読本のほうが教師の裁量で授業を組み立てることができました。

成績表には子どもの様子が書かれます。


総合のところでも書いたのですが、総合と道徳は時数の改竄が行われやすいです。理由としては国語や算数などの教科はとりあえず教科書が最後まで終わっていることが学年で学習したことの目安になりますが、総合や道徳は中身が見え辛いからです。

そのため、やっていなくても時数に計上したりしている教員が多いです。

たまに真面目な教員もいます。

毎日5分クラスで指導を入れていたら年間で約1000分。1コマ45分の小学校では22コマ分。だいたい一週間注意していることになりますからね。さらに35コマやりたくない気持ちもわかります。
わかるだけで、本当はダメなんですが。


さて、学習・生活の様子で200~300文字越(場合によっては400字)を書かなくてはいけませんが、総合・英語・道徳についても100字ずつくらいで所見を書かなくてはなりません。

成績表には子どものがんばったことが書かれます。

と書きましたが、正直学級在籍している一人一人のことを把握するのは厳しいので各授業後に子どもに振り返りを書かせることがあります。実際に書かせている学校が多いです。
子どもに書かせる時間がもったいないと思っている教師は成績処理の時期になると子どもたちに自分ががんばったことは何かを質問するアンケートを配布したりします。

アンケート名目ですが、実際は書かれたものを引用して成績表にほぼそのまま転記します。

子どもがやっていないことを書くと突っ込まれる場合がありますし、何か言われた際に子どもが書いた紙を見せることによってクレームを回避するためです。

学校の教員は二重三重の予防線を張って家庭からの声に対して身構えているというのをぜひ知ってください。

前回、今回と成績表について書きましたが、実際は文章のように簡単ではなく多くの教員は(どうやったら穏便に済むのか)悩んでいるということを知ってほしいです。

子どもの本当の姿を知りたいのであれば、直接話すのが一番だと思います。

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