僕たちは答えを求めていない。

目の前に答えがある。

でも、僕たちはそれに気づくことができない。

生きるために大切なことって本当にわずか。
常に、それは僕たちの目の前にある。

でもね、その答えを、
そのまま誰かから渡されても、
僕たちはその大切さが分からない。

人間て本当に不思議なもので、
悩めば悩むほど答えを欲しがっているようで、
実は答え自体を欲しがっていない。

ここに、大きな勘違いが存在している。

答えを求めていないとしたら、
僕たちは何を求めているんだろう。

実は、答えを探ることにまつわる体験自体を求めている。
だから、答えを差し出されても、
それをそのまま受け取れないのは当然だし、
もっともらしいことを言う人に違和感を感じるのも当然。

もっと幸せに生きたい、
もっと楽に生きれたらいいのに、
そう僕たちは願っているように見えるのに、

心の奥底では実は、
苦しい体験を求めてしまっている、
辛い体験を求めてしまっている、
哀しい体験を求めてしまっているんだ。

だから僕たちは、今日も苦しむ。
もがき苦しむ。
泣き喚きながら。

でも、その渦中にいる時、
自分にとっての「答え」に気づく瞬間が訪れる。

いつも、
その答えはあなたの隣にいたし、
あなたの目の前にあったけれども、
あるとき、気づく。

何が自分にとっての「答え」だったかを。
そう、自分が求めていたものに気づくんだ。

その時、ふと、涙がこぼれてくる。
ときには、苦しみから解放されることへの安堵感に包まれるし、
ときには、喜びがこみ上げてくる。

この体験を繰り返し、
あなたはあなたになっていくし、
ぼくはぼくになっていく。

そうして、人は人生と呼ばれるものを生きていく。

僕たちは答えを求めているのではない。
苦しみを求めているのでもない、
苦しみの中に訪れる、
ひとつの光に触れる体験を求めているだけなんだ。

だから、
ひとに、大切なことってなんですか、と聞いてはいけない、
ひとに、メッセージを一言でいうと、と聞いてはいけない、

また、それを求めてもいけない。
ただ、体験を積み上げていくこと、それだけが必要なんだ。

あなたがまた、その瞬間に出会えること、
いつも遠くから祈っています。

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