⑤不動産 譲渡所得と税金

土地や建物の譲渡所得
譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年を超えると長期譲渡所得となる。
課税長期譲渡所得=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除

税率

・所得税&復興特別所得税:15.315%
・住民税:5%


パターン1「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」

①6,000万円以下の部分
14.21%
内訳
所得税10%
復興特別所得税2.1%(所得税の)
住民税4%
②6,000万円超の部分
・通常の譲渡所得の税率同様


パターン2「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」

2018/9問62
2021/1問62
計算方法
譲渡所得−取得費(譲渡所得×5%+費用)−3000万円
ex.譲渡所得4,000万円−(譲渡所得4,000万円×5%+費用300万円)=3,500万円
3,500万円−3,000万円


パターン3「特定の居住用資産の買替えの場合の譲渡所得の課税の特例」


意味:
・売った家より買った家の方が高ければ課税繰り延べ。(買った家相当額は課税繰り延べ。)
⇒買った分は売った金額から差し引いて課税されないとういこと


計算方法
①収入金額を計算

譲渡価格−取得価格=(売った金額−買った金額)=差額
ex.1億円−6500万円=3,500万円

②必要経費

ⅰ概算取得費(譲渡価格の5%)+譲渡費用
ex.(1億円×5%)+300万円=800万円

ⅱ上記は譲渡資産全体の取得費・譲渡費用のため
買換資産との差額(収入額①)に応じた金額だけ必要経費として計上
差額分の必要経費=全体経費×収入額/譲渡額
Ex.800万円×3,500万円/1億円=280万円

③譲渡益
収入額①−必要経費
Ex.3,500万円−280万円=3,220万円

④税金計算(所得税・復興特別所得税・住民税)
所得税15%
=3,220万円×15%=4,830万円
復興特別所得税(所得税の2.1%)
=483万円×2.1%=101,430円→101,400円(百円未満切捨)
所得税合計4,830,000+101,400円=4,931,400円
住民税5%
=3,220万円×5%=1,610,000円
合計4,931,400円+1,610,000円=6,541,400円


パターン4「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」

対象
・S56.5.31以降
 ⇒建築基準法⇒S56.6..1に大改正のため
・1億円以下(譲渡価格)
・控除額:最大3,000万円
・耐震基準に適合
・市区町村にて「被想像人居住用家屋等確認書」の交付受け確定申告書に添付
・⭕老人ホームに入っている場合
・☓住宅借入金等特別控除の適用を受けている者


FP1級2020/1㊵

1) 介護保険法に基づく要介護認定を受けて相続が開始する1年前から特別養護老人ホームに入所していた被相続人Aさんがその入所直前まで居住していた家屋およびその敷地を相続したAさんの長男が、当該家屋およびその敷地を譲渡した場合、長男は本特例の適用を受けることができない。


できる

2) 被相続人Bさんが居住していた家屋およびその敷地を相続したBさんの長男が、当該家屋およびその敷地を譲渡した年中に自己が居住の用に供している財産を譲渡した場合、長男の譲渡所得の金額の計算上、最大6,000万円を控除することができる。


最大3,000万円

4) 被相続人Dさんが居住し、かつ、DさんとDさんの長男がそれぞれ2分の1の持分で共有していた家屋およびその敷地について、長男がDさんの持分を相続し、当該家屋およびその敷地の全体を1億2,000万円で譲渡した場合、長男は本特例の適用を受けることができない。


1億円


パターン5「相続財産に係る譲渡所得の課税の特例(相続税の取得費加算の特例)」

※譲渡資産に小規模宅地の特例を適用していた場合には、特例適用後の評価額となる。

内容:相続で取得した土地・建物や株式等を、相続税の申告期限の翌日以後3年以内(相続開始後3年10ヶ月以内)に売却すると、納付した相続税のうち一定額を取得費に加算できる。

計算式
その人の相続税額×譲渡資産の相続税評価額/(相続の課税価格+債務控除額)
※譲渡資産に小規模宅地の特例を適用していた場合には、特例適用後の評価額となる。

ex.(FP1級2020/1問63)
800万円×(自宅建物400万円+土地4,000万円)/(相続の課税価格8,600万円+債務控除200万円)


パターン6「特定の事業用資産の買替えの場合の譲渡所得の課税の特例」⇒課税の繰延割合(例80%)を繰り延べ⇒譲渡資産 or 買替資産の小さい方


①課税の繰延られる金額を計算
Ex.(譲渡価格8,000万円 or 買替価格7,000万円)⇒小さい方×80%=5,600万円

②今回の譲渡価格
譲渡価格8,000万円−課税の繰延価格5,600万円=2,400万円

③課税譲渡価格
今回の譲渡価格2,400万円−{(取得費(譲渡価格8,000万円×5%)+費用300万円)×今回の譲渡価格2,400万円/譲渡価格8,000万円}=2,190万円

因みに要件
・買い替えてから1年以内に事業の用に供すること
・譲渡した土地の面積の5倍を超える部分は対象外。
・長期所有資産の買い替え⇒10年超所有
、買い替え後土地面積300㎡超

FP1級2020/9問62


パターン7◎立体買換え特例「既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換えの場合の譲渡所得の課税の特例」


⇒東京や大阪にある市街地の土地や建物をマンション等に買い換える場合に使える特例
既成地外地等内にある土地等、建物、構築物
→中高層耐火共同住宅

⭕遊休地でも適用可
⭕所有期間関係なし

FP1級2020/1㊶


1) Aさんが譲渡した土地が、譲渡直前において事業の用または居住の用に供されておらず、遊休地であった場合、本特例の適用を受けることはできない。


適用可

2) Aさんが譲渡した土地の所有期間が、譲渡した日の属する年の1月1日において5年以下であった場合、本特例の適用を受けることはできない。


所有期間関係なし


FP1級2020/1問62

Aさんが、下記の〈条件〉で自宅(建物)および甲土地を譲渡し、「相続財産に係る譲渡所得の課税の特例(相続税の取得費加算の特例)」「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」の適用を受けた場合、次の(1)~(3)に答えなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は100円未満を切り捨てて円単位とすること。
なお、譲渡所得の金額の計算上、取得費については概算取得費を用いることとし、本問の譲渡所得以外の所得や所得控除等は考慮しないものとする。

(1)課税長期譲渡所得金額はいくらか。
(2)課税長期譲渡所得金額に係る所得税および復興特別所得税の合計額はいくらか。
(3)課税長期譲渡所得金額に係る住民税額はいくらか。

〈条件〉
〈譲渡資産に係る資料〉
・譲渡資産の譲渡価額
自宅(建物):200万円、甲土地:8,000万円
・譲渡資産の所有期間
自宅(建物)、甲土地いずれも40年
・譲渡資産の取得費
自宅(建物)、甲土地いずれも不明
・譲渡費用
250万円(仲介手数料等)

〈母の相続に関する資料〉
・相続人
Aさん(ほかに相続人はいない)
・自宅(建物)の相続税評価額
400万円
・土地の相続税評価額
甲土地:4,000万円、乙土地:2,200万円(左記以外に相続した土地はない)
※「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」適用後の金額。
・Aさんの相続税の課税価格
8,600万円(債務控除200万円を控除した後の金額)
・Aさんが納付した相続税額
800万円(贈与税額控除、相次相続控除の適用は受けていない)
・自宅(建物)および甲土地に係る相続登記関係費用
35万円(登録免許税、司法書士手数料等)


解答解説

取得費加算の特例と居住用財産の譲渡所得の特例適用後の所得税・住民税に関する問題。

土地や建物の譲渡所得は、譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年を超えると長期譲渡所得となる。
課税長期譲渡所得=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除 。

本問では、パターン2、3,000万円の特別控除を適用した場合を計算するため、上記の計算式の「特別控除」部分は3,000万円となる。

また、取得費が不明な場合には、概算取得費として譲渡価額の5%とすることができる。
本問では、土地と建物の売却価格の合計は、8,200万円なので、8,200万円の5%を概算取得費とすることができる。

さらに、パターン5相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例が適用でき

取得費加算する相続税額=800万円×{(400万円+4,000万円)/(8,600万円+200万円)}=400万円


課税長期譲渡所得=(200万円+8,000万円)-(8,200万円×5%+400万円+250万円)-3,000万円
=4,140万円

次に、パターン1、軽減税率の特例を受けた場合、課税長期譲渡所得金額のうち6,000万円以下の部分は所得税10%・住民税4%、6,000万円超の部分は所得税15%・住民税5%となる(復興特別所得税を除く)。
※復興特別所得税は、所得税額の2.1%

所得税=4,140万円×10%=414万円
復興特別所得税=414万円×2.1%=86,940円
所得税合計=414万円+86,940円=422万6,940円→422万6,900円(100円未満切捨て)
住民税=4,140万円×4%=165.6万円

A.
(1)41,400,000(円)
(2)4,226,900(円)
(3)1,656,000(円)

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