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『ブリジャートン家』③「恋と戦争は手段を選ばない」と豪語するファンタジーロマンス史劇

1.「恋と戦争は手段を選ばない」

ドラマの冒頭から、こんな宣戦布告のようなナレーションで始まるファンタージー史劇『ブリジャートン家』ですが、これがそのまま、ドラマのテーマになっているのではないかと思います。

字幕では、「恋と戦争は手段を選ばない」ですが、日本語の吹き替えになると「恋と戦争に反則はなし」となります。どちらも同じようなニュアンスなのに、微妙に違うような。その違いが、日本でだけ、このドラマがNetflixのトップ10に入ってないことと、関係あるのかどうなのか、魚の小骨が喉に引っかかてるように気になるのでした。それは、またの機会に書くとして。

2.ドラマの舞台は1813年のロンドンの社交界

そこは、貴族の令嬢たちが熾烈な花婿争奪戦を繰り広げる場として描かれます。8人兄弟、大家族なことで有名なブリジャートン子爵家の長女のダフネが、ヘイスティング公爵家のひとり息子サイモンと出会い、愛をはぐくむ姿を中心にストーリーが展開していきますが、サイドストーリーも主役の2人に負けずにに面白いのです。

ブリジャートン家では、子どもたちの縁結びに猛進する母。
父亡き後の家長の役割を果たそうとするが空回りする長男。
デカタンな芸術に惹かれる次男、三男の気になる相手はよもや…の恋模様。押し付けられたジェンダーに辟易している次女など、どれもそれぞれのドラマがあり見どころとなっています。
そんなブリジャートン家を中心として、女王まで登場させながら、社交界のスキャンダルをウイットに富んだ面白い記事にしてくれるのがレディ・ホイッスルダウン。彼女の語り口で物語は進んでいきますが、その正体は誰なのかというミステリアスな要素もあります。
まさに、ヒストリカル・ロマンスの群像劇なのです。

3.原作からの大胆なアレンジがドラマの見どころ

さて、主役のダフネですが、そのキャラクターは、原作よりも、明らかに、その美貌をパワーアップさせて登場させています。
原作では、ダフネは、社交界デビュー二年目で、今シーズンも売れ残ってしまったらと母の心配の種になっているという崖っぷち女子なのに対して、
ドラマでは、はじめて、社交界にデビューするところから始まり、その清らかな美貌はダイヤモンドのようだと女王から賛美され、やがては、王子からも見染められてしまうという、王道のプリンセス候補として描かれています。そんな引く手あまたのダフネが、花婿選びで暗礁に乗り上げてしまうのは、家長を気取る兄のせいにしてストーリーを組み立てているあたりはさすがです。家父長制に対して、しっかりと釘をさして、ジェンダーを組み入れ、このドラマは女性目線であることを強調しているのです。

4.なぜ、ダフネを美しくする必要があったのか?

それは、恋という戦場で、ダフネにより力を発揮させるためではないでしょうか。そのほうが、ドラマがより面白くなるのです。そんなションダ・ライムズの思惑通り、このドラマの華麗なビジュアルは、Netflix史上最大のヒット作になった大きな要因となりました。

さしずめ戦場となる舞踏会の会場は、ディズニー映画さながらの豪華さ、現代風にアレンジされたきらびやかな衣装で、これまたポップソングをクラッシックにアレンジした調べにのって、踊る姿に、女性たちが胸をときめかせることとなったのです。

5.ダフネは誰と闘うのだろうか?

それは、恋のライバルの貴族の令嬢たちではありません。
もちろん、闘う相手は、あのセクシーなサイモン・バセット、ヘイスティング公爵なのです。レジ=ジーン・ペイジ演じるサイモンがいかに素敵かは過去のnote記事でも取り上げていますが、ダフネの恋のお相手というか本命のサイモンこそが、手段を選ばす、闘わなければならない相手なのです。

美男美女としては、互角というべきか、お似合いというべきか、そんな2人のダフネとサイモンの恋の駆引きからはじまる愛の葛藤こそが、このドラマの見どころなのです。

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ダフネを演じるのは、フィービー・ディネバー。彗星のように現れた大型新人ですが、オードリ・ヘップバーンを思わせる華麗な容姿と、豊かな表情演技、それに加えて、ラブシーンの本気度?が話題になりました。

これ以上は、ネタバレになるので書けませんが、サイモンとダフネのうっとりするようなダンスシーンからはじまる、怒涛の愛の展開は、まさに「恋と戦争は手段を選ばない」というテーマに相応しいものになっています。


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