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SIのモデルを考える3 〜人月からの脱却〜

SIについて、2回記事を書きましたが、思ったよりも反響があるので
第3回も、書いてみたいと思います。
過去の1回目2回目のリンクも張っておきます。良かったら見てください。

今回は、契約とリソース管理についてもう少し書いてみたいと思います。

元請けと下請け 契約

4.スライド23

SIや他の業界でも、ときどき多重下請け構造が問題になったりしますが
顧客と直接契約するプライム元請け)と、プライムから仕事を契約するサブコンサブコントラクト下請け)に分かれます。

第1回で、SIの契約形態については書きましたが、委任契約(SES)と請負契約に分かれますが、プライムが請負契約を行う場合は、請け負い範囲を決めて提案力が大切になります。また、顧客との折衝などもプライムが行います。

サブコンは、プライムと契約するため、提案範囲などもプライムより決めやすくリスク軽減にもなります。2次受け3次受けが行われるため発注先の顧客と受注側が直接契約しない場合が出てきており、多重下請け構造で問題が起きたりします。

契約パターン

5.スライド24

契約パターンをまとめると、プライム一括請負契約を顧客と行い、サブコン委任契約(SES)で行うパターンと、範囲を決定して一部を請負契約として契約するパターンが出てきます。前者は、労働力を補うため契約するパターンで、後者は、部分的に開発範囲を分けて契約するパターンになります。

顧客との契約が委任契約(SES)プライムが契約して、サブコン(下請け)委任契約(SES)で契約するパターンもあります。このパターンが多いのではないかと思います。また、多重下請け構造で問題になるパターンもSES⇒SES⇒SESの契約が多いと思います。

プライムがSESで受注するパターンは、サブコンと請け負い契約をするパターンは存在しません。請負契約は契約範囲が明確になるため、委任契約の場合は契約範囲が明確となっていないため、この契約は成立しません。

SESモデル

9.スライド15

請負契約の場合は、請負範囲を広くすると規模の大きな案件となりSIerの売上が大きくなるモデルとなります。SESの場合は、複数人のグループで契約すると個々のスキルが補えるため、グループによる提案などもあります。契約に関しては、1ヶ月で契約するよりも3ヶ月や6ヶ月など、数ヶ月で契約毎月費用精算(時間x単価で月額費用を請求する)を行います。

SIerのモデルは、人が設計やプログラミングを行うモデルとなるため、人の稼働を管理するのが管理ポイントとなります。製造業のような材料を仕入れて加工するようなモデルとならず、ほぼ100%が人件費のモデルとなります。

11.スライド16

委任契約(SES)を主体にするSIerのモデルは、上記の表のように人を主体とした管理となり、組み合わせを考えて、なるべく契約の谷間がないようにして一定の売上を保つようにします。

請負モデル

10.スライド20

請負契約を主体とするSIerのモデルは、販売のプロセスが重要で一括請負契約を行う場合、提案時にスコープを決定し提案・見積を行って発注された後からプロジェクト(案件)がスタートします。開発終了し納品した際に、顧客が検収を行い納品物がOKの場合に、支払いの決定が行われるモデルとなります。SESのモデルとは違い、最終的に検収がOKとならないと支払いが行われないモデルとなります。

12.スライド21

請負契約のリソース管理は、プロジェクト(案件)ごとに行われます。同じリソース配置としても、SESとのモデルの違いは、毎月売上が確定せずに、検収OKの最後に売上が確定されるモデルとなります。効率よく速く開発をすると利益があがるモデルとなります。

まとめ

委任契約と請負契約では、リソースや売上タイミングの管理も違い、リスク・リターンも違うため、多くのSIerのモデルは、SESのモデルが多いと言われています。今後は、ローコード・ノーコードや、マイクロサービス(小さなクラウドサービスの組み合わせ)が増えてくると、人月・単価のモデルで行っていくと自分たちが工夫しても、売上が上がらないギャップが生まれてきます。

6.スライド27

労働集約的モデルから、サービス的モデルへ変化していく必要があり、人月・単価のモデルから、価値を価格として提示して、価値を提供して費用をもらうモデルに変化する必要がでてきます。SIerも、従来のモデルを変更しなくてはいけない時期に、来ているのではないでしょうか?

技術サービスモデルの変化は、20年前、10年前、5年前、1年前、来月とどんどん変化が速くなってきていますが、なかなか気付きにくく、新しいモデルを作るにも苦労し、安定するまで時間もかかります。時代の変化に対応しなければ、存続が厳しい時代にもなってきています。

新しいSIモデルを一緒にチャレンジしてみたい方も、是非声をかけてもらえればと思います。

今回は、SIモデルのリソースと契約についてまとめてみました。
また、反響があれば、続編を書いて見たいと思います。

過去の2つの記事も、リンクを再度張っておきます。
興味ある方は、他の記事も見てもらえると嬉しいです。

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反応あると、本人喜びますw

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