霧積山に登ろう
枯木も山の賑わい。
2021年12月5日(日)
群馬県…安中市
群馬県安中市坂本の霧積温泉の歴史は古く、開湯は西暦1200年頃と伝えられています。
現在は"金湯館"一軒の温泉宿があるだけですが、往時は別荘地として栄え、数件あった宿には多くの政治家や文化人が訪れていたそうです。
詩人の西條八十は霧積の情景を詩に詠んでいます。
ぼくの帽子 西條八十
母さん、僕のあの帽子どうしたでせうね?
ええ、夏、碓氷から霧積へゆくみちで、
谿底へ落したあの麦稈帽子ですよ。
母さん、あれは好きな帽子でしたよ、
僕はあの時、ずいぶんくやしかつた、
だけど、いきなり風が吹いてきたもんだから。
冒頭より
※『ぼくの帽子』後に『帽子』と改題、は1922年
(大正11年)創刊の雑誌「コドモノクニ」(東京社)
の一巻2号に掲載されています。
西條八十の作品は著作権法改正により保護期間が
延長となりましたが冒頭部分のみ引用しました。
霧積温泉からは"ぐんま百名山"に選定されている鼻曲山や角落山へのハイキングコースがあり、多くのハイカーが訪れる山域でもあります。
しかし、その霧積の名を冠する"霧積山"を知る人は少なく、登路は有りません。
霧積山の山行記録を検索してみても数件があるのみです。
後藤信雄氏の著作『ある日の山あの時の山』
(上毛新聞社発行)に霧積山の紀行文が載っています。
少し情報不足では有りますが、今日は冬晴れの好天となり風も無く条件は◎です。
ダメならば中止!やるだけやってみるか!!と
念の為にザイルを携行し、落葉を踏んで急峻な尾根ルートを辿りました。
☀️晴れ 🌀平穏 🕡6h25m
🐾23,111歩 13.3km ⇅1125m
♨️霧積温泉 湯元 金湯館 700円
7:55 県道56号線作業林道入口⇒大丸山⇒
霧積山⇒美ノ平⇒霧積温泉駐車場⇒県道56号線
⇒ハックリ山⇒県道56号線作業林道入口 14:20
群馬県安中市の横川から国道18号線の旧道に入り、坂本宿を通り過ぎて金湯館の看板を目安に霧積ダム方面に向かいます。
北陸新幹線の高架橋の下を通り"NO9"の標示板の先を右折して橋を渡ると、今日の起点となる広場となります。
広場の先の作業林道のゲートは手で押して開ける事が出来ました。
大丸山の山頂下まで車で入る事も可能でしたが、
今回はここに車を停めて起点にしました。
まずは大丸山に登りましょう。
7:55
作業林道入口
林道を歩いて大丸山を目指します。
準備運動にちょうど良いですね。
てくてくと林道歩きます。
10分もすると身体が温まり、上着を脱ぎました。
冷え込みは無く良い天気です。
気持ちいいー♬
林道から尾根に取り付きます。
古いビニールテープが有りましたが、
入口は薮っぽいですね。
8:40
大丸山 1031m
山名板が一つ有りました。
木に囲まれていて展望は寂しいですね。
小休止、って言うかスマホいじり過ぎ。
9:00
さて行きますか。
来た道を戻りましょう。
今日の本命、霧積山。
9:35
作業林道入口
駐車地の前を通ってそのまま県道56号線に出ると
目の前にピンクのテープが有り、ここが霧積山への取り付き点になります。
出だしからいきなり急登で、目印を追いかけ細い木の空間を登っていきます。
落葉🍂の急斜面はスリップに要注意‼️
ゆっくり、慎重に行動しましょう。
ヤセ尾根を辿る険しいルートが続きます。
登りは問題無いでしょうが、下山する場合は道迷いに注意なければなりません‼️
ヤセ尾根から一度、急な岩場を5m程降りますが、
木の根がちょうど足掛かりになりました。
調子良く登っていると
大きな岩峰に突き当たります!!
こりゃ駄目だ‼️
大岩の右側は遥か下の方まで切れ落ちています。
左下にテープを見つけ岩峰を巻いて進みました。
岩峰の下を左から大きく巻いて進みます、落葉🍂の急斜面にしがみついて、四肢を懸命に動かします。
カメラを出す余裕など有りませんでした。
落としたらもう終わり、回収不可能でしょう。
岩峰の上に出るまでは慎重な行動を‼️
山頂まで続く落葉🍂の尾根は最高に歩き良いです。
道形など一切無いけど気持ち良く登れるよー!!
10:59
霧積山 △1108.0m
山頂は木に囲まれていて展望はいまひとつ。
葉が落ちた今時期ならば周囲の山々が見えますが、寂しい眺めです。
山頂付近には熊の形跡がたくさん‼️
落ちているドングリはほとんどが殻でした。
(これは熊かどうかわからんけど)
熊棚が多く、至る所に熊の糞が有りました。
この辺にはもう食べ物は無くて、
他所へ移ったのでしょうかね!?(もう寝たかな)
霧積山の山頂部は雑木の森で居心地が良さそう🧸
トラブルにならない為には春から晩秋の頃は避けた方が良いかもしれませんね。
(🧸さんに会いたい方はどうぞ😍😱)
登山適期はズバリ雪が降る前の12月初旬でしょう。
木の葉が落ちて山中は明るくなり、薮も静かになるので一番良いタイミングかと思います。
霧積山から美ノ平(打越ノ平)間のルートは不明‼️
後藤信雄氏の著作『あの日の山あの時の山』の記述から詳細は分からず、インターネットで検索しても山行記録は見つかりませんでした。
計画時は霧積山の薮が酷ければ山頂までのピストンと決めていましたが、山中の薮は思いのほか少なく地形図からは緩い尾根が続いています。
これならば行ける!!と、先へ進む事にしました。
11:10
さぁ!行くぞー!!
尾根筋は気持ち良く歩けるね ♫
貸し切りで気分上々!!
崩落箇所のすぐ横のヤセた尾根を登りました。
崩落地から笹の斜面を登ると標高約1200mのピーク
となります、この先から少しの間ですが植林された針葉樹の森を歩きます。
P1220から尾根を北に辿れば、軽井沢と霧積を繋ぐ山道に合流します。
霧積山から美ノ平(打越ノ平)のルートに目印は無く、踏み跡は獣道と思われますが、尾根を忠実に登れば問題無いでしょう。
ただ、美ノ平(打越ノ平)から霧積山へ向かう場合には尾根を間違えない様に注意が必要です。
この山域での道迷いは絶対にNGですよ‼️
12:08
美ノ平(打越ノ平)
ここで登山道に合流してひと安心となりました。
あとは霧積温泉まで山道を辿るだけです。
西條八十の『帽子』の中で麦藁帽子を落としたのはこの付近かな!?
12:42
金湯館駐車場
県道56号線の終点にあった「霧積温泉 きりづみ館」は2012年に廃業となりました。
現在は旅館の建物は取り壊されて朽ちた風車だけが残っていて「金湯館」の駐車場になっています。
県道56号線を下って行きましょう。
ついでのハックリ山。
県道56号線を500m程歩いて行くと道路のすぐ傍に砂防堰堤があって、ここがハックリ山の取り付きとなります。
目印などは見当たりませんでした。
13:00
ハックリ山取り付き
13:20
ハックリ山 1055m
木が多いですが今日一番の展望です。
今回はここまで木越しの展望だったので、霧積の山々を見渡す事が出来て嬉しかったですね。
でも展望は…やはり木越しです。
霧積の山々を眺めながらおにぎりをパクパクと。
13:40
さてと、来た道を戻りましょう。
13:52
ハックリ山取り付き
県道を歩いて駐車地まで戻ります。
14:20
作業林道入口
無事に帰還しました。
ふぅ〜、なかなか面白い山行になりましたね。
〈総括〉
一部に危険箇所がありましたが、ザイルを使用する事は有りませんでした。
霧積山のヤセ尾根中間部の岩峰は
トラバースに気をつけましょう。
落葉の斜面はスリップ厳禁です‼️
大丸山とハックリ山に危険箇所はありませんが、
今回の全行程で道迷いは絶対にNGですよ‼️
この山域は野生動物の活動が盛んです。
熊はもちろん、猿や猪にも注意しましょう。
薮山好きの方ならば大満足の山行となるでしょう。
そうでない方の入山は…
オススメ出来ませんね(笑)
山中は木が多く展望は寂しいです。
登るのならば、木の葉が落ちた
初冬の頃(熊さんが眠った後)が
オススメの時期でしょう。
最後まで長文、乱文におつきあい頂きまして、
誠にありがとうございました🙇🏻
〈おまけ〉
金湯館温泉レポート♨️
駐車場から金湯館まで山道を歩いて約1kmです。
日帰り温泉を利用する方は頑張って歩きましょう、
宿泊の方は送迎がありますよ。
🐰泉質はカルシウム硫酸塩温泉。
🐰効能は
神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、
関節のこわばり、うちみ、くじき、切り傷、
やけど、慢性消化器病、冷え性、病後回復、
疲労回復、健康増進、動脈硬化など。
ぬる湯が気持ち良かったですよ🐰
秘湯感♨️満載の温泉旅館でした。
周辺にお出かけの際は是非お立ち寄りください。
森村誠一氏の長編推理小説『人間の証明』の舞台になっています。
懐かしい昭和の時代が残る「霧積温泉 湯元 金湯館」
どうぞご自身で体験してくださいな。
#342《おしまい》
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