著作権保護期間延長に関する国会での議論はどうだったのか?

こんな記事を見た。

そうだったのか。この件はあまり深く追ってなかったので完全にスルーしていた。この時期って公文書改ざんと高プロの議論がクローズアップされてた時期かなぁと記憶している。では、本件は国会でどう議論されていたのかなというのが気になったので少し調べてみた。

調査方法

国会議事録検索システムの簡単検索を使用。検索語指定で「著作権 七十年」を入力する(70年70年でなく七十年とするのがポイント)。それ以外の項目はデフォルトのまま変更せず検索を実行。

何年か前のものも引っかかるが、とりあえず私が知りたいのは前回の通常国会でどう議論されたかなので、平成30年4月〜6月の議事録のみを参照した。

以下はそれぞれの議事録における、著作権保護期間延長に関係すると思われる質疑の部分を引用したもの。かなり長いです。

平成30年04月17日 衆議院本会議

○稲富修二君 希望の党の稲富修二でございます。
 私は、希望の党・無所属クラブを代表して、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の締結について承認を求めるの件につきまして質問いたします。(拍手)
(中略)
 次に、著作権保護の期間について伺います。
 本協定では、TPP協定における著作権の保護期間に関する規定を凍結することとしております。それにもかかわらず、政府は、著作権の保護期間を、現行の原則著作者の死後五十年から七十年へと延長することとしております。したがって、既に成立した、いわゆる整備法による著作権法の関連改正部分は維持されたままであります。
 そこで、伺います。
 政府は、この五十年と七十年という期間について、なぜこのような期間になっているのか、期間の延長の意味も含めて、明快に御答弁ください。
 また、保護期間の延長は利用者側に不利益をもたらしかねないものであり、著作権者等と利用者側との利益の調和という観点からは慎重な検討が求められますが、政府は、利用者側などに、もはや延長に対する懸念は存在しないとお考えなのでしょうか。そうでなければ、我が国における保護期間の延長も一旦凍結するのが筋だと思いますが、政府の答弁を求めます。
(以下省略)
○国務大臣(茂木敏充君) 稲富議員にお答えをいたします。
(中略)
 最後に、著作権等の保護期間の延長についての御質問がありました。
 著作権等の保護期間の延長については、TPP11協定の凍結項目に含まれているものでありますが、凍結事項は各国がそれぞれの判断でそれを上回るレベルの内容を実施することを妨げるものではないこと、そして、一昨年のTPP12締結に伴う国内法整備では、我が国として七十年にすることが国際基準の観点から重要であるとの判断をしたこと、さらに、日・EU・EPAにおいても、著作権等の保護期間を著作者の死後七十年とすることでEU側と合意しており、著作権等の七十年の保護は、このように国際基準となっているものと認識をいたしております。
 内外における著作権等の保護期間の延長によって長期にわたり得られる収益によって、新たな創作活動や新たなアーティストの発掘、育成が可能となり、文化の発展にも寄与することが期待されることから、TPP12協定どおりに実施すべきものと考えております。(拍手)
○国務大臣(林芳正君) 稲富議員から、著作物の保護期間についてのお尋ねがございました。
 著作物等の保護期間につきましては、ベルヌ条約など著作物等に関する国際条約上、原則として、著作権者の死後五十年とすることとされておりますが、OECD加盟国では、三十五カ国中三十二カ国では、保護期間を原則として七十年以上としております。
 保護期間を延長することは、長期間にわたり得られる収益によって、新たな創作活動や新たなアーティストの発掘、育成が可能となるなど、文化の発展に寄与するという意義があるものと考えております。
 さらに、我が国の著作物が海外においてより長期間にわたり保護されることとなるため、特に、我が国のコンテンツの国際的な競争力が高い漫画やアニメといった分野を中心に、長期にわたり人気コンテンツが利用されることで、中長期的な著作権料収入の増加が期待されるところでございます。(拍手)

平成30年05月16日 衆議院内閣委員会

串田議員の質疑に対する答弁。ここでは期間延長に関する議論の部分だけを引用しているが、この質疑全体ではTPPと著作権の関係についてもう少し広い範囲に渡る議論が展開されているので、興味がある人は議事録を直接読んでみると良いかと。

○串田委員 そうはいっても、今回凍結ということで、アメリカが加わらなかったことによって凍結というような取扱いというのが行われるということは、凍結されているものが著作権の中でも二つに分かれる、これは後でちょっと触れられれば触れたいと思うんですが。
 そういう意味では、アメリカが加わることによって、仕方ないという国があるんだと思うんです。だけれども、アメリカが入らない限りは、著作権についてはとりあえずは凍結をしてもらわないとギブ・アンド・テークにならないぞ、そんなような気がするんですけれども、この保護期間を、著作権の保護期間、五十年から七十年になるわけですけれども、この延長を望んでいない国というのはあるんでしょうか。
○澁谷政府参考人 お答え申し上げます。
 交渉の中において、どこの国がどういう立場だというのはなかなか申し上げにくいところがあるわけでございますが、端的に事実だけ申し上げますと、TPP参加国のうち、アメリカ以外で、オーストラリア、シンガポール、チリ、ペルー、メキシコ、これらの各国は、既に著作権の保護期間が七十年以上、こういう制度になっているということでございます。
○串田委員 そうしますと、今の国以外が、逆に言えば保護期間を延ばしたくないということで、凍結になるのかなという気がいたします。
 そういった意味では、その国は、恐らくアメリカに対する輸出というのがそのほかで見込まれる。その採算が合わない以上は著作権の延長というものに応じるメリットがないというふうに考えているのかなとちょっと思うんですけれども。
 この凍結の中で、国内に関してだけ保護期間を延ばす、我が国が延ばす積極的な理由というのは何なんでしょうか。
○澁谷政府参考人 お答え申し上げます。
 TPP11協定において凍結されることになった事項につきましては、我が国として制度整備を行う国際的な義務を負わないということでございますけれども、まず第一に、我が国は、TPP11協定の交渉において、12のハイスタンダードな内容を維持すべきという立場で臨み、凍結項目はできるだけ限定された数にするべきだという形で、まさに、我が国がそういう形で議論を主導してまとめたということが第一点目でございます。
 二点目といたしまして、この11の交渉を主導してきた我が国として、12協定のハイスタンダードを維持するというこの立場を一貫して具体的に実践することによって、いずれ将来、凍結項目を解除する、そういう議論を十一カ国で議論する際に、我が国が既に国内の制度を整備済みだということをもって議論が主導しやすい、こういう効果も期待されるというのが第二点目でございます。
 第三点目は、凍結項目について、各国の判断で実施することが禁じられたわけではないということなので、あくまでも各国の自主的な判断に委ねられているということで、我が国としては、11協定発効を機に、凍結項目を含む12協定の内容について、必要な制度改正を行うということにしているわけでございます。
 著作権の保護期間について特に申し上げますと、この延長をする、七十年にするということでございますが、我が国が保護期間を延長すると、既に七十年以上としている、かつ相互主義を採用している多くの国において、我が国の著作物の保護が延長されるというメリットがあります。
 また、長期間にわたり得られる収益によって、新たな創作活動なり、新しいアーティストの発掘、育成が可能となり、文化の発展に寄与するといったようなメリットが期待されるということをもちまして、我が国としては、今回の法改正におきましても二年前と同じ内容にしているところでございます。
○串田委員 その趣旨はよくわかりました。

平成30年05月18日 内閣委員会農林水産委員会連合審査会

○後藤(祐)委員 最後の、当然必要な予算は確保されていくというところに思いを少しいただいたと思っております。
(中略)
 それでは、きょうは内閣委員会との連合審査でもありますので、六ページ目は我々が出したマルキン法の概要です。
 著作権についてお伺いしたいと思いますが、今回、著作権については、CPTPPの内容ではありません。12だったときのTPPの内容ではありました。つまり、アメリカが入っているTPPにおいては、いろいろなそれこそディールの中で、著作権のところではアメリカの言うことを少し聞いてそのかわりというものが全体のパッケージとして著作権が入っていたということなんだと思いますが、今回の十一カ国のCPTPPでは著作権は入っておりません。つまり条約上の義務ではありませんが、この整備法の中では丸ごとそのまま著作権が入っています。
 とりわけ、著作権の保護期間を五十年から七十年というのは大変大きな影響があるわけですけれども、これは茂木大臣にお伺いしたいと思いますが、著作権の保護期間を五十年から七十年にすることのメリットとデメリット。当然、これは条約の義務じゃありませんから、五十年を七十年にすることのメリットの方が大きいからこの中に法律で入っているというふうに理解しますが、このメリット、デメリットを説明していただけないでしょうか。
 少なくとも、私はデメリットの方が大きいのではないかと考えます。それは、まず、著作権者を捜すのが大変困難になるんですね。いわゆる孤児著作物という問題が大変深刻になることが、まあ、現在でもそうなんですが、七十年になったら、孫を捜すとか、あるいは、子孫の方でない方に譲っていたりとか、もう調べようがないようなことが更に拡大します。さらに、青空文庫などの、ちゃんと適正な形でやっているフェアユースを広げるような活動、むしろ、こういったことでパブリックドメインを広げていくこと自体は、今のITのネットの世界においては非常にプラスの効果があると思いますし。
 そもそも日本は、著作権等の収入というのは、国際収支統計では八千五十五億円の赤字です、二〇一七年、日銀の統計です。その中で、アメリカ向けが三千五百十二億円、シンガポールが千九百三十四億円。シンガポールは入っていますから、この著作権の赤字はむしろ広がる。日本にとってはマイナスの方が、プラスももちろんありますけれども、差し引きするとマイナスの方が大きいのではないかという気がしますが。
 もちろんメリットもあると思うんです、創作へのインセンティブですとか、あると思うんですが、こういうメリットがあって、こういうデメリットがあって、でも、メリットの方が大きいからここに入っているという説明が成り立つということなんだと思いますが、ここを御説明いただけますでしょうか。茂木大臣。
○茂木国務大臣 確かに、著作物、これは無体財産でありまして、その種類、さまざまであって、さらに、委員御指摘のように、著作権は登録を要することなく発生するものでありまして、市場において利用されている著作物全てを把握する、これはなかなか難しい部分があるというのは事実であると思っております。
 その上で、著作物等の保護期間については、基本的に、著作権者側は期間の延長を当然望むわけでありまして、ユーザー側は短くすることを望むため、これは、どこの国とどこの国というのもありますけれども、どの国の国内においても同じような議論の対立といいますか、それはあるんだと思っております。
 こういった双方の主張がある中で、我が国は、著作物等の保護期間を延長することによって、国際的な制度調和の促進という観点に加えまして、長期に与える収益によって、新たな創作活動であったり、新たなアーティストの発掘、育成が可能になるなど、文化の発展に寄与する。
 そして、御案内のとおり、日本の漫画であったりとかアニメ、今アジアだったりとか世界的にもすごい人気でありまして、こういった競争力の高い我が国のコンテンツについて、中長期的な著作権収入の増加が期待される、こういったメリットがあると考えております。
○後藤(祐)委員 五十年が七十年になると、一生懸命つくろうって本当になるんでしょうか。子孫の方々の収入というのはわかりますが、じゃあ、五十一年以上前のもので、日本の著作物で、TPPの十一カ国で売れているものってどんなものがあるんですか。
○茂木国務大臣 恐らく文化庁に答えていただいた方がいいんじゃないかなと思いますけれども、三島由紀夫先生、また、川端康成先生あたりの作品がちょうど没後五十年というのを迎えるんじゃないかなと私は思っております。
○後藤(祐)委員 夏目漱石ですとか森鴎外ですとか、こういった作家のものというのは、もちろん紙媒体は有料ですけれども、キンドルなんかだと日本語のやつはもうただになっています。電子の本ではただになっているんですよね。英語版は翻訳があったりするのでちょっと違ったりするんですけれども。
 どっちの方が文化の振興に資するかは、それは、つくり手と、その読み手なり受け手、享受する側の両方を見る必要があると思いますので、残念ながら、先ほどの創作インセンティブですとか、五十が七十になってふえる著作権料の増分を新たなアーティストに投入することで文化が発展するって、これはかなり苦しい理屈のような気が、ゼロではないと思いますが、苦しい理屈だと思うんですね。
 それに比べて、著作権の赤字の問題だとか、青空文庫みたいなやつだとか、特に孤児著作物の問題というのは、現実に具体的な形で発生する問題なんですよ。その両方を見ると、著作権の五十、七十という話は、アメリカとの関係で条約の義務になっているならともかく、条約の義務になっていないのに積極的にやるというのは、私は日本の国益を害しているというふうに思います。
 さらに、問題なのは、これも茂木大臣に伺いますけれども、これから、TPP12ですとか、あるいはFFRですとか、余り望ましくないような話になっていくときに、アメリカに対するこれはカードなんじゃないんですか。いろいろ協議をしていく上で、アメリカが望んでいる著作権のとりわけ五十年、七十年という話というのは、それをやってあげるからそのかわりという、非常に貴重なカードなんじゃないんですか。アメリカに対して何の価値もないところで何でこのカードを切っちゃうんですか、茂木大臣。
○茂木国務大臣 TPP11にアメリカが仮に加入をするという場合は、締約国の合意というのが必要でありまして、それは最低でも六カ国ということになるわけでありまして、これは日本だけがいいと言うからそれで加入できるという話にはなってこないと考えております。
 そして、これまでのさまざまな議論、交渉を通じて、やはり、参加十一カ国は、全体のメリットとしてアメリカには戻ってほしい、さまざまな働きかけをしていくということになると思いますが、一つの特定の項目だけをカードにしてアメリカに復帰を促すという形での議論は進んでこなかった、このように承知をいたしております。
○後藤(祐)委員 苦しいですね。別に一つと言っているわけじゃないんですけれども。ここでカードを切る意味が私には全く理解できないし、今のは何ら説得的ではなかったのは、聞いておられる皆さん、わかったと思います。
 合同審査、もっと必要ですよね。ほかにもいろいろ、私は農水委員会なんで農水の話は今まで聞いていますけれども、それ以外のこと、幾らでも聞きたいことありますよ。ですが、もう時間が少なくなってまいりましたので、大変問題な、CPTPP条約の六条、見直し規定について伺いたいと思います。...(以下省略)

平成30年05月17日 衆議院内閣委員会

直接の質疑ではなく参考人の意見。特定非営利活動法人アジア太平洋資料センター(PARC)共同代表 内田聖子氏の発言。

○内田参考人 ありがとうございます。
 確かに、率直に申し上げて、二年前のときよりも、全体的なTPPへの関心、危機感というのは弱まっていると言わざるを得ないと思います。これは、我々のようなNGO団体だけの努力ではもちろんできないことであって、メディアの方、それから議員の方、さまざまな方がその考えを、賛成であれ反対であれ発信する必要があると思っています。
 ただ、言えるのは、遠いように思える貿易の問題なんですが、実は物すごく身近なことにかかわってくるわけですね。
 きょうは著作権の問題を申し上げられませんでしたが、今回この内閣委員会において、整備法案として著作権関連の改正が提案されています。やはりその中で問題だと思うのは、著作権保護法の期間、作者の死後五十年というのが現行ですが、これを七十年に延長するんだ、これは12で決まっていましたが、実は凍結項目になっています。ですから、論理的に言えば、12で、今回改正する必要はないわけです。だけれども、なぜ二年前と同じように改正の審議をするのか、これは国民にとっては非常にわかりにくい議論です。
 著作権の問題というのは、小説や映画や、さまざまなキャラクターとかコンテンツ、これにかかわりがありまして、大変国民的関心が高い分野であります。著作権の保護延長と同時に、非親告罪化、これは凍結されていませんので、今回、この国会で整備案がもし承認されれば、日本は今まで著作権侵害をしてきたのは親告罪だったんですが、非親告罪に変わる。これは大変大きな変化なんですね。ネットやコミケとか、いろいろな自由な表現活動の萎縮ということについては、二年前から懸念されていました。
 ですから、そういう具体的な問題を通じてわかっていただくしかないと思いますし、私は、この著作権の保護延長期間に関しては、11で凍結されている項目なわけですから、今回の十本の法案の中にこの条項を入れるということ自体は間違っていると思っております。もし本当に改正して延長したいということであるならば……
○山際委員長 申合せの時間が過ぎておりますので、短く答弁をお願いします。
○内田参考人 その別個の問題として審議いただくという必要があるかと思います。
 あと、食の安心、安全なども非常に国民的な関心が高いテーマだと思っています。
○源馬委員 大変参考になりました。ありがとうございました。

平成30年6月1日 参議院本会議

○議長(伊達忠一君) 浅田均君。
   〔浅田均君登壇、拍手〕
○浅田均君 日本維新の会、浅田均です。
 私は、我が党を代表して、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の締結について承認を求めるの件について質問いたします。
(中略)
 次に、凍結項目二十二のうち、一点、著作権等の保護期間について質問します。
 現在、アメリカの議会では、録音についての著作権を百四十四年に延長する法案が審議されていると聞いております。アメリカは知的財産が多いので、知財保護を強化する方が有利になることが多く、ある意味自然な流れであります。ところで、我が国の著作権法では残存期間は七十年になりましたが、法律が効力を持つのはTPPの発効日以降とされているので、現在でも五十年のままであります。FTAであれTPPであれ、将来のアメリカとの交渉カードという意味で著作権は五十年にしておくべきではなかったのかと思いますが……(発言する者あり)ありがとうございます、茂木経済再生担当大臣はどのように理解されているのか、御説明ください。
 戦後の貿易体制を...(以下省略)
○国務大臣(茂木敏充君) 浅田議員にお答えをいたします。
 まず、著作権の保護期間についてどう考えているか、お尋ねがありました。
 TPP11協定交渉を主導してきた我が国として、TPPのハイスタンダードを維持するとの交渉中の立場を実践する観点から、TPP11協定発効を機に、著作権の保護期間等の全ての凍結項目を含むTPP12協定の内容について、我が国において実施することといたしました。
 また、内外における著作権等の保護期間の延長によって、長期間にわたり得られる収益によって新たな創作活動や新たなアーティストの育成が進み、文化の発展に寄与することが期待されていることから、TPP12協定どおりに実施すべきものと考えております。
 なお、TPPに関し、米国復帰を促すために一つの特定の項目をカードやレバレッジとして使うことは考えておりません。
 次に、セーフガードの...(以下省略)

平成30年06月14日 参議院内閣委員会

白眞議員の質疑。答弁している政府参考人は文化庁長官官房審議官 永山裕二氏。

○白眞勲君 一つ、著作権についてお聞きしたいと思いますけれども。
 今度、五十年から七十年になりますよね。これ別に、いや、何か結局アメリカを利するだけで、今はTPPに入っていないにもかかわらず、アメリカは入っていないのに、急いでやって金を無駄に使う必要ないというふうに僕は思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(永山裕二君) 著作権について、保護期間についてのお尋ねでございます。
 TPP協定への対応につきましては、TPP11協定の締結における凍結項目の取扱いも含めまして、政府全体で、内閣官房のTPP等政府対策本部を中心に検討されてきました。
 具体的には、TPP11協定において凍結されることとなった事項につきましては、我が国として当該事項について制度整備を行う国際的な義務は負わないところでございますけれども、一点目として、我が国はTPP11協定交渉におきまして、TPP12協定のハイスタンダードな内容を維持するとの立場で臨み、限定された数の凍結項目でまとめたということ、二点目としては、交渉を主導してきた我が国として、交渉中の立場を一貫して具体的に実践することによりまして、凍結項目の解除等を十一か国で議論する際におきましても、我が国が国内整備済みであることを背景に議論が主導しやすくなるという効果が期待されること、三点目として、凍結項目の実施につきましては各国の自主的な判断に委ねられている、このことから、TPP11協定の発効を機に、全ての凍結項目を含むTPP12協定の内容につきまして我が国において実施することとしたものです。
 文化庁、文部科学省としましては、こういう政府全体の方針を踏まえまして著作権についても対応するというものでございまして、今回の法整備によりまして、国際的な制度調和、また国際的な競争力が高い我が国の漫画、アニメ等につきましても、中長期的に見て著作権使用料の増加につながり……
○委員長(柘植芳文君) 答弁は簡潔にお願いします。
○政府参考人(永山裕二君) 文化の発展につながるというふうに考えております。
 以上でございます。失礼いたしました。
○白眞勲君 長々話していただく割には私の質問にはほとんど答えていないというパターンなんですけれども、もう時間が時間になりました。...(以下省略)

同委員会、山本太郎議員の質疑。途中の答弁に出てくる政府参考人は内閣官房TPP等政府対策本部政策調整統括官 澁谷和久氏。全体的にかなり長いやりとりです。

○山本太郎君 自由党共同代表、山本太郎です。社民との会派、希望の会を代表し、いわゆるTPP11についてお聞きしたいと思います、関連法案ですね。是非、中学生でも聞いて分かるようなやり取りができればと思います。ありがとうございます。
 資料の一、TPP11において凍結された項目。これらは、米国が離脱したことにより凍結された項目です。凍結されたのは全部で二十二。これらは基本的に米国に有利な項目で、他国にとっては不利になり得る項目でもあります。TPP11にはアメリカがいないんだから凍結しても問題ないでしょうということで凍結が合意されたと。
 ラインが引かれた部分、著作権等の保護期間の延長。つまり、著作物等の保護期間を原則著作者の死後五十年から七十年に延長する予定だった部分に関しても、TPP11において凍結項目になりました。凍結項目に対応する部分の国内法の制定は、TPP11参加のために必須ではありません。
 資料の二、平成二十九年十二月十一日、TPP11の説明会。澁谷内閣官房TPP調整統括官の御発言が、ありがとうございます、資料にさせていただきました、分かりやすいんです。今回凍結されたものについては、凍結されるので適用されないということで、その義務はなくなるということになる。つまり、十一か国がTPP11を発効するに当たって、この凍結された部分の義務を履行する必要がなくなるという趣旨になる。したがって、著作権は五十年にしなくてはいけないというのを決めたのではなく、七十年に延ばすという義務が凍結されたと御理解いただきたい。要するに凍結されたので、今は国内法をいじる必要がないという御説明をされていると思うんですね。つまり、アメリカ様がカムバックするまでは別に五十年のままでもいいわけですよね。
 でも、今回、先回りして国内法を改正して、著作権の保護期間、五十年から七十年に変更しようとしていると。何でそんなことするんですかってことを聞きたいです。
○政府参考人(澁谷和久君) 引用していただいて、ありがとうございます。
 著作権の保護期間の延長を含むTPP11協定において凍結されることとなった事項、まさに私がこう言っているのを御引用いただいたわけですけれども、我が国としてこの制度整備を行う国際的な義務は負わないという、おっしゃるとおりでございますが、我が国は、まず、TPP11協定の閣僚声明にありますように、11の協定交渉において、12協定のハイスタンダードな内容を維持するという立場で臨み、なるべく凍結項目は限定しようという、そういう趣旨で日本が主導してまとめたというのが一点目でございます。
 二点目に、TPP11協定交渉を主導してきた我が国として、12のハイスタンダードを維持するというそういう交渉中の立場を一貫して具体的に実践することにより、凍結項目の解除等を十一か国で将来議論する際も、我が国が既に国内整備済みだということを背景に議論を主導しやすくなるという効果が期待されること。
 三点目に、凍結項目については、まさに私が言っているとおりでございますけれども、義務はなくなったわけですけれども、するなということではないわけですので、各国の判断で実施することが可能だということでございます。
 政府として、11協定の発効を機に、全ての凍結項目を含む12協定の内容について我が国としては実施するという判断をしたところでございます。
○山本太郎君 大臣、これ、今すぐはやらなくてもいいんだけど先回りして先にやっておくよということに関しては、欧米の基準であったりとかグローバルなルールに日本の国内法を近づけるということの理解でいいんですよね、今の御説明だったら、恐らく。
 そういうことって必要な、大切なことなんですかね、いかがでしょう。
○国務大臣(茂木敏充君) 今、澁谷統括官の方から説明、答弁をさせていただきましたように、まず今回、TPP11をまとめるに当たっては、ハイスタンダードなものにしたい、凍結項目はできるだけ絞り込みたいと、こういう日本側は主張をしてきたわけでありまして、そういった立場に沿っている。さらには、将来的にこの凍結を解除していくというときに、日本は既にこれは実施済みなんですと、七十年にできています、こう言う方が当然説得力もあるという形であります。
 そして、委員、欧米の基準と、こういう形で御指摘をいただきましたが、グローバルな基準なんだと思います。いかに日本がグローバルな基準を作っていくことを主導するかということが今後重要になってくると私は考えております。
○山本太郎君 グローバルスタンダードを日本の国内法でやっていくんだと、先にその姿勢を示すということが大切だということでよろしいですか、いかがでしょう。
○国務大臣(茂木敏充君) そういう姿勢も大切であります。同時に、先ほど来、日本の優れたコンテンツであったりとか、そういう議論も行われているところでありますが、著作権等の保護期間延長、そして長期間にわたりそこから収益が得られるということになりましたら、新たな創作活動であったりとか新たなアーティストの育成と、こういうものが進みまして、委員も芸術の世界にいらしたからよく御案内だと思いますけれど、文化の発展と、こういったものにも寄与することが期待されると、このように考えております。
○山本太郎君 ごめんなさい、何度もやり取りして申し訳ないんですけど、そのグローバルなハイスタンダードという部分を日本が引っ張っていくということが大切か大切じゃないかということを教えていただきたいんです。
 これ、今回、国内法というものをそのままにしておく、凍結になったんだからもう一回戻してもいいわけじゃないですか。そうじゃなくて、グローバルなハイスタンダードのルールを、日本の国内法をそのままにして、これは世界に対して引っ張っていくという姿勢を見せているんだと、こういう姿勢というのは大切だということでいいですか。
○委員長(柘植芳文君) 澁谷統括官。
○山本太郎君 違いますよ、大臣ですよ、御説明いただきましたから。
○委員長(柘植芳文君) 澁谷さんが先に答えてください。
○山本太郎君 澁谷さん、ここ答えるところじゃないんですよ。
 はっきりと言っていただいていないから。グローバルなハイスタンダードなルールを日本が牽引していくということが必要だという理解でいいんですよねということで、それは大切なんですかということを聞いているんで、大切であれば大切であるということをお答えいただきたい、大臣に。
○国務大臣(茂木敏充君) TPPを始めとした新しい共通のルール、ハイスタンダードなルール、こういうルール作りを日本が主導していくと、こういったことは極めて重要だと考えております。
○山本太郎君 よりによってどうしてこれなのかなという話なんですよ。ハイスタンダードな、グローバルでハイスタンダードなルールを日本が率先してやっていくという姿勢、今まで余り見られてこなかったんですよ。さんざんいろんな条約批准しておきながら国内法そのままでというよりも、世界中から非難されているのにグローバルでハイスタンダードなルールに置き換わっていないんですよ、日本の国内のルールが。
 例えば、一九七九年に批准した市民的及び政治的権利に関する国際規約、自由権規約、B規約について、二〇一四年七月十五日、十六日にジュネーブの国連欧州本部が日本政府に対して、男女平等、ジェンダーに基づく暴力、ドメスティック・バイオレンス、性的指向及び性的認識に基づく差別、ヘイトスピーチ及び人種差別、死刑、慰安婦に対する性奴隷慣行、人身取引、強制労働被害者、技能実習制度、非自発的入院、代替収容制度、代用監獄及び自白強要、庇護申請者及び不法移住者の退去及び収容、ムスリムの監視、公共の福祉を理由とした基本的人権の制限、特定秘密保護法、福島原子力災害、体罰、先住民の権利、アイヌの人々、琉球、沖縄などの是正を勧告。
 是正のために何かしら法改正されたものって何だろうって。強いて言えばヘイトスピーチの対策法と技能実習法くらいですかね。その問題の根本の解決を目指すような改善はしていない。結局は、勧告まで受けておりながら、そのまま手付かずなんですよ。
 ILO、国際労働機関からは、一九六七年八月二十四日に批准した同一価値の労働についての男女労働者に対する同一報酬に関する条約に対して、同一の職務、職種、雇用管理区分を超える広い範囲での比較が一般的に行われていない、男女格差があると指摘を受けているが、国内法の改正、制定は行っておらず。同様に、一九九九年七月二十八日に批准した民間職業仲介事業所に関する条約に対して、派遣労働者の権利保障のための法的枠組みの必要性についても全然国内法で整備されていない、指摘されていますよ。完全無視ですよ。ハイスタンダード、グローバル、何の話ですかって。優先順位何か違うんじゃないですかって。
 ほかにも、一九七九年に批准した経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約、A規約について、高校教育授業無償化プログラムから除外されている朝鮮学校を適用すること、学校に通っていない多数の外国人児童も義務教育に適用すること、中等教育、中学、高校で入学料、教科書費も無償対象に入れること、過労死、過労自殺が発生し続けていることへの懸念、社会権規約委員会が、二〇一三年五月、日本に対しての総括所見で勧告。無視どころか、今、国会でも高度プロフェッショナル制度みたいな過労死促進法、労働環境の破壊し続けるようなものを生産し続けているじゃないですか。
 今私が読み上げたようなものに関しては、アップデートする必要ないんですか。ハイスタンダードでグローバルなルールを日本が牽引するような形、牽引どころか置いていかれていますけれども、このようなものも当然アップデートしていく必要があるというふうに大臣は御認識されているということでよろしいでしょうか。
○国務大臣(茂木敏充君) 様々な国際条約があります。世界の百九十数か国で全ての条約を批准している国というのは私はないと思います、私の記憶が確かであれば。そうすると、それぞれの国が置かれている国内状況等々に従いながら、国際約束、国際的なルール、これに対応していくという形でありまして、個別の問題、個別の課題について、それはアメリカの場合もフランスの場合も日本の場合も、条約に入っていない、こういう状況は生まれるんだと思います。
 個別具体的な条約に対する日本の対応につきましては、担当府省の方にお尋ねいただければと思います。
○山本太郎君 批准しているものに関しても、どうなってんの、これって。批准しているよね、おたくらって。全然それが是正されていないんだけど、ちょっと変えた方がいいんじゃないのという話をされているわけですよ。数々の事柄を勧告されてまでも、アップデートどころか長期間放置しっ放し。なぜ著作権の保護期間だけは、凍結されているにもかかわらず元に戻さないんですかって話なんですよ。優先順位よく分かんないなって。
 多分なんですけれども、これ、もっと別の事情がある。というのは、やっぱり環太平洋でもっとビジネスしやすくしようよというような元々のものがありますよね。もっと自由貿易やっていこうよという元のものがあるから、恐らく著作権に関しては、この将来性ということも含んでビジネスチャンスがあるから、ここに関してはまずやろうと、この七十年を五十年に戻すんじゃなくて、そのまま置いておこうという感じなんですかね。ビジネスチャンスという部分も大きいんですか。いかがでしょうか、大臣。
○政府参考人(永山裕二君) 今回TPP11の締結に当たりまして、著作権の保護期間については、凍結されているものを日本として率先してといいますか、保護期間の延長をするという判断をしたのは、TPP本部、これ政府全体の立場として全ての凍結項目について実施するという判断があって、それを踏まえて政府として決定したものでございます。
 当然、文化政策、著作物の振興という観点からも、保護期間が延長されれば、当然それが次の創作活動につながったり次の創作者の育成につながったり、また中長期的に見れば、漫画とか音楽、日本の競争力のあるコンテンツが海外に浸透することによって中長期的には収入が増えていくという様々なメリットがあるというふうに考えております。
○山本太郎君 ありがとうございます。
 今お答えいただいた方のお答えを受けて、大臣、やはりそういう中長期的な部分を見たとしても、日本は、凍結されているけれども七十年のままでいいじゃないかと、もう一回五十年に戻してというよりも、このままでいて世界にその姿勢を示そうと。これ、中長期的なそのビジネスチャンスという部分につながるというビジョンがおありだからそうなったんですかね、いかがでしょうか、大臣。
○国務大臣(茂木敏充君) 先ほども答弁申し上げましたが、単にビジネス的な観点だけではなくて、先生もその世界にいられたから御存じのようにということを申し上げた上で、文化の振興にも寄与するということを明確に私は申し上げさせていただいたと思います。
 さらには、この著作権の延長と凍結につきまして、全体的にはハイスタンダードを維持しながらバランスを取るという観点から凍結項目二十二項目設けたわけでありますが、日本としてはできるだけこの凍結も少なくしたいと。しかし、そこの中で早期に十一か国の合意を取りたいという観点から、様々な利害調整をして取りまとめたものであります。そういった日本の立場、さらには今後この凍結を解除する、将来的にそういう場面において、日本は既にこういった措置を国内的にもとっているんだと言った方が当然説得力があるわけですから、そういった観点も含めて今回のような対応を取らさせていただいているということであります。
○山本太郎君 だって、そもそも凍結ってアメリカ待ちの凍結なわけでしょう。アメリカがいないんだからそこ凍結しようという話になっているわけで、それを示すも何も、アメリカが帰ってきたら凍結が解除されるというだけの話なんじゃないですか。日本がそのままやっているからどうだという、その姿勢を見せるという話ではないと思うんですけれどもね、TPP11の中では。
 でも、先ほど御答弁、その前に御答弁いただいた方が、中長期的に見たらビジネス的にすごく将来性がある部分も考えられるだろうというお話をされたんですけれども、では、この著作権、五十年から七十年になるに当たって、改正するに当たって、どのように利益が出るのかという部分を試算されましたか。
○政府参考人(永山裕二君) お答え申し上げます。
 著作物は、いわゆる動産とか不動産の有体財産とは異なり、無体財産でございます。また、その種類は様々なものがございます。さらに、著作権というものは、無方式主義と言っていますが、登録を要することなく発生するものであることから、市場において利用されている著作物を把握した上で、それが保護期間の延長によりどのような影響を受けるのかを定量的に試算することは困難であるため、試算は実際には行っておりません。
 なお、政府のクールジャパン政策等におきましては、アニメ、漫画などの著作物を利用したビジネス、我が国の重要な輸出産業と位置付けられておりまして、特に我が国のコンテンツの国際的な競争力が高い分野を中心に長期的にわたり人気コンテンツが利用されることで、中長期的には、先ほど申し上げましたが、著作権料収入の増加につながるものと期待しております。
 以上でございます。
○山本太郎君 つながると期待していると言ったって、だって試算もしていないんでしょう。日本の漫画が、アニメが人気だからという理由ですか。何か全然説得力ないんですけど、それで五十年が七十年にされているという理由になるのがちょっと不思議だなと思うんですよね。だって試算もしていないんだから。
 著作物は無体財産であり定量的に試算することは困難と言いながら、これはまた別の部分ですけれども、ほかの部分で見れる部分があると。
 資料の三、日銀国際収支統計。ここ五年の著作権等使用料は毎年年間八千億円もの巨額赤字で、その大半は対米赤字であるということは皆さん御存じのとおりです。当然ですよね、アメリカは著作権分野だけで年間十兆円強という驚異的な外貨を稼いでいる、世界を席巻するコンテンツ、IT系企業がほぼ米国勢で寡占されているということは有名なお話。例えば、身近なところで、ほとんどのパソコンに入っていますマイクロソフトのウィンドウズ、ワードやパワーポイント、エクセルなどのオフィスソフト、アイフォン、スマホのOSであるアンドロイド、ほかにもフェイスブック、ツイッター、インターネット検索サービスならグーグル、ヤフーなどがあり、そのほかにも多くの米大手企業やベンチャー企業がIoTや人工知能関連の新しい技術をどんどんどんどん世の中に登場させており、どう考えても日本がこの分野で黒字化することは至難の業としか言いようがないんじゃないですか。
 アニメや漫画を売り出していけば日本の著作権ビジネスが潤うとも聞きます、というか政府側からね。圧倒的なアメリカからのコンテンツ輸入額から比べれば、圧倒的に小さな額じゃないですか。著作権の期間が二十年延びればそれだけ国際収支の赤字額は大幅に増えること間違いないんじゃないですか。誰が一番もうけられるかといったら、そのほとんどアメリカのじゃないかという話なんですよ。誰をおもんぱかったんだという話なんですよ。凍結無視。凍結されているんだからもう一回戻せばいいやんって話なんですよ。二十年延ばすことによって特に得する人たちがいるんだろうって話なんですよ。
 いかなる国とも国益に反するような合意は行うつもりはないということは、我が国としては、攻めるべきは攻め、守るべきは守り、最善の結果を追求していくとの意味であり、この方針に変わりはないと本会議でも言われていました、総理がね。だけど、何か信憑性ないんですよ。だって、どれぐらいもうかるかも試算されていないし、普通戻すだろうって、凍結されているんだよって。
 資料の四、著作権の延長が凍結になり、ニュージーランドが出した声明。直訳で申し訳ないです、読みます。ニュージーランドは著作権の保護期間を五十年から七十年に延長する必要がなくなります。映画や録音、録音された音楽を含むの著作権は、刊行された年の終わりから五十年後に失効します。書籍、脚本、音楽、歌詞、芸術作品の著作権は、作者が死亡した暦年の終わりから五十年後に失効します。ニュージーランドの消費者にとって、この延長の長期的な費用は年間五千五百万ドルと推定されていました。これは、元のTPP協定の国益分析における主要な定量化可能な費用の一つでした。これがニュージーランドが出した声明なんですって。
 著作物は無体財産であり定量的に試算することは困難と言う日本とは大違い。延長されなかったから五千五百万ドル浮きましたよ、そう声明出されているわけですよね。国益を損なうような交渉をしないためにも国益分析は当然きっちりと行っているんだという話なんですよ。日本はお経のように国益に反する交渉は行っていないと繰り返すが、行っていなかったのは国益に反する交渉ではなく著作権延長に関する試算の方でしたねという話なんです。
 TPPに米国が入らなかったのは内容に不満があったからですよね。アメリカ様に入っていただくためには、普通に考えて当然再交渉あるでしょうって。TPPに戻ってきてくださいとのお願いがアメリカに届かない場合には、当然先々、日米FTAだったりとかという交渉も安倍政権ではあり得るかもしれない。今日、先生方が皆さん御懸念されていましたよね。
 著作権、五十年から七十年というカード、交渉のためのカード、そのためにも置いておくというのが国益を守るための姿勢ではないんですかって。凍結なのにわざわざ今回関連法案として、凍結なのにわざわざ、一回戻せるのに戻さない、交渉カードを何の交換もなく差し上げたまんまにするという話なんですよ。これ、おかしくないですかって。グローバル、ハイスタンダードということのためだけにこのカードを手放したまんまにするんですかって。
 著作権五十年から七十年を凍結させずに七十年のままにしておくんだという判断、これ、考えたの誰なんですか。総理ですかね、それとも大臣ですか、それともほかの人なんですかね。これを発案された方、御存じだったら、大臣、教えていただきたいんですよ、お名前を、その方の。
○国務大臣(茂木敏充君) 政府全体としてそのような判断をさせていただいたものであります。
 そして、なぜそのような判断をしたかにつきましては、先ほども答弁を申し上げたとおりでありますが、国内の政策、これをどのような形で進めていくか、まさに国益に沿って進めるものでありまして、何らかの外交交渉のカードに使う、これを基本にして政策というものは決められるべきではない、これが国際社会の常識だと考えております。
○山本太郎君 あれっ、ぎりぎりのところで交渉していたとか、タフネゴシエーターとかと言われる人いなかったですか、何か御病気になられる前までは。TPPの特別委員会にはほとんど出てこなかった方ですよね。交渉があるから交渉行ったんでしょう。言われていたじゃないですか、ダナンに行かれたとかサンティアゴに行かれたとかという話もされていたじゃないですか。大臣はね、違いますよ、ごめんなさい、甘利さんの話です、今の前段は。申し訳ございません。(発言する者あり)いや、駄目ですか、今までの、だって歴代の方々がいらっしゃるわけじゃないですか。その方々がやられてきたことは交渉なんですよね。
 国内のことを交渉の場でカードとして持ち出すというのはまずいんですか、だって。だって、関税、非関税障壁に関して、これ世界の国々と環太平洋の中でこれハードル下げていこうという話なわけでしょう。だったら、交渉するに決まっているじゃないですか。普通の話でしょう、それ。
 近時の国家間交渉においては、単一イシューの条約よりも複数イシューの通商条約が選ばれやすいと。その理由は、例えば、途上国に薬などの知的財産権を保護する内容を認めさせる代わりに先進国が農業の市場アクセスの拡大を認めるなど、こちらにはそれほど重要ではないかもしれないけれども相手の欲する項目を譲歩し、差し出し、こちら側の最重要項目を得るという交渉をすると。だって、その方が妥結しやすいやんって話なんですよね。
 にもかかわらず、自ら著作権延長カードを交渉前に手放す。日米FTAなどにおいて、農業分野等での更なる譲歩を迫られることになるのは明らかじゃないかって。当然、これ同じように手放したのはセーフガードもありますけど、何もやっていないじゃないかという話になるんですよ。
 交渉のカードを自ら手放すってどういう話なんだということですよ。この決定をした人間、そのセンスを疑う、そう言うしかないんですよ。だから、どなたですかって聞いたら、政府全体で決めたって。いっせいので言うたんですか、じゃ。誰か発端がいる、あるはずじゃないですか、この人がそこの部分を引っ張っていたという。大臣、教えてくださいよ、その人の名前を。
○国務大臣(茂木敏充君) 政府全体としてそのような決定をさせていただいたところであります。
 もちろん、累次答弁をさせていただきましたように、TPP11におきましても、それぞれの参加国、様々な利害というものがあるわけでありまして、その利害を調整した上で難しい交渉をまとめて、三月八日、チリのサンティアゴにおきまして合意に至ったという形でありますが、私が申し上げたのは、国内の政策を進める、正しいと思う政策を進めるということと、必ずしも、外交交渉で全てカードに使うということは違うということを申し上げたわけでありまして、国内政策でしっかりいいことをやっていくということを、国内政策上はいいことなんだけど、日本の発展にはつながるけど、交渉があるから何にもしない、こういう姿勢は恐らくどの国も取らないだろうということであります。
○山本太郎君 ちょっと言っていることがよく分からないですよ。だって、凍結になったんでしょうって、凍結になったんじゃないですか。ということは、七十年を五十年に戻してもいいんですよ。だって、これ、アメリカからしたら有り難いカードですよ、五十年から七十年にということは。戻せばいいやんという話なんですよ、交渉カードの一枚になるやんって。それもなく、手放しであげるということが、一体誰の代理人なんだって話になっていくんですよ。意図的に別の国の国益を優先したとしか思えないような様々なことがあるじゃないですか、著作権だけじゃなくて、セーフガードの話もそうだし。
 加盟予定国以外で、TPPに参加したいとの希望があれば、太平洋以外の地域や国からの希望があれば対応可能ですかということを事前にお聞きしたんですよね、省庁に。そうしたら、今日もいろんなお話がありましたけれども、...(以下省略)

平成30年06月28日 参議院内閣委員会

和田議員の質問に対する答弁。期間延長に関する直接の議論ではないが、期間が70年になる件に間接的に触れているので一応引用した。

○和田政宗君 では、この著作権の延長に関連、また保護に関連をいたしまして、戦時加算、このことについてお聞きをしていきたいというふうに思っております。
 先ほど、さきの大戦という言葉、私の方から述べさせてもいただきましたけれども、この著作権の戦時加算とは、旧連合国民が戦前戦中に取得した著作権を日本において戦争期間の実日数分長く保護することでありまして、サンフランシスコ平和条約でこれは定められているという形です。これはまさに二十世紀半ばにつくられたわけですけれども、これいまだに続くということで、日本はまだ戦後を引きずっているというような形になります。
 具体的にどういったものかということを述べていきたいというふうに思うんですけれども、JASRAC、日本音楽著作権協会のホームページにも分かりやすく書いてあるんですけれども、ドレミの歌というのは皆様御存じだというふうに思うんですが、この作詞者として有名な米国人のオスカー・ハマースタイン二世がラバー・カム・バック・ツー・ミーという曲の詞を、戦争中、さきの大戦の間の一九四三年三月三十一日に公表をしております。
 ハマースタイン二世は一九六〇年に亡くなりましたので、死後五十年を経過した二〇一〇年の末をもって、その歌詞の日本での著作権は消滅するはずなんですが、これは戦時加算があるために、一九四三年三月三十一日から、講和条約、平和条約発効前日の一九五二年の四月二十七日までの三千三百十六日分が加算されて、この詞の日本での著作権は、二〇二〇年一月二十九日まで存続していることになります。
 TPPによって保護期間が死後七十年になる、これは、いろいろな観点から今回このように著作権を長く保護しようということにはなったわけでございますけれども、これに日本が掛けられている戦時加算が掛かりますと、この作品は作者の死後八十年近く保護されるという形になります。
 この戦時加算の解消と保護期間の延長というのはTPPの交渉時においてはリンクしていたとも考えられるわけでありますけれども、この戦時加算の解消の見通しはどうなのか、また、アメリカは今回TPP12から抜けたという形になっておりますけれども、このアメリカの戦時加算解消の見込み、これはどうなんでしょうか。
○政府参考人(林禎二君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、TPPいわゆる12交渉におきましては、戦時加算対象国でありますアメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、四か国の政府との間で、著作権保護期間についてのサンフランシスコ平和条約の日本の義務に関する二国間の書簡を交わしました。これらの書簡では、我が国の著作権保護期間が延長になることを踏まえまして、戦時加算問題への対処のため、権利管理団体と権利者との間の対話を奨励すること、必要に応じ、これらの対話の状況及び他の適切な措置を検討するため政府間で協議を行うことの二点を確認してございます。
 御指摘のあった米国につきましては、アメリカのTPPからの離脱表明に伴いまして、改めて今年四月十三日付けで同様の書簡を交わしたところでございます。これらの書簡によりまして、権利管理団体間の取組及びこれらを政府間で後押しすることを通じまして、対象国において戦時加算分については権利を行使しないという対応が期待されます。
 官民連携による問題の現実的な打開に向けて意味のある一歩を踏み出すことができたと考えているところでございます。
○和田政宗君 これは、政府の方にも昨日ヒアリングをしましていろいろなことを聞いて、しっかりやれているのかというところの確認をする中で、まさに今答弁にありましたように、サンフランシスコ講和条約、平和条約が、これが存在しますので、なかなかそれを変えるということができない、その中でやれることの交渉を政府はやってくださったというふうに思っております。また、書簡を交わして、しっかりとその戦時加算解消につながるような実質的な担保を取りに行ったという努力というものはこれありますので、それは評価をしたいというふうに思います。
 ただ、とはいえ、戦時加算の解消は、これ条約上の義務ではないというところがあります。これ、最悪の場合、戦時加算の解消ができないまま保護期間の延長に伴う著作権使用料の国際収支だけが悪化することになりかねないのではないかというような懸念もございますけれども、この点はどうでしょうか。
○政府参考人(林禎二君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、サンフランシスコ平和条約は、ほかに領土の確定や賠償問題の解決を含め我が国戦後処理の法的な基礎でございまして、戦時加算義務の法的な解消は同条約の権利義務の変更が必要になりますので、現実的には困難でございます。その上で、今回、関係国政府と交わした書簡に基づきまして、政府としては民間主導の取組の進展を注視していきたい、それが必要であると考えてございます。
 例えば、著作権協会国際連合、CISACという機関がございますが、こちらは、二〇〇七年に、加盟する海外の権利団体に対して、日本が保護期間を延長する場合には会員である著作権者に対して戦時加算の権利を行使しないように働きかけることを決議してございます。その具体化に向けて、同協会からは、日本の働きかけを全面的に支持するという意向も示されてございます。また、我が国の日本音楽著作権協会、JASRACの働きかけ等を受けて、海外の権利団体の中には戦時加算の権利行使を控えるといったことを表明する事例もございます。
 これらを踏まえまして、戦時加算問題の現実的な打開に向けては、民間主導の取組は既に一定程度進められているものと考えてございます。また、政府としても、国内の権利団体を通じまして、対象国の戦時加算対象作品の権利行使の状況について情報収集を行うとともに、必要に応じ対象国政府へしっかり働きかけに努めてまいりたいと考えてございます。
○和田政宗君 これは、今答弁にありましたように、政府の方でも、しっかりと注視をして、必要な働きかけをしていただきたいというふうに思っております。
 TPPというのは、まさに自由で公正な枠組みを世界各国でつくっていこうということでございますけれども、それに関連してこの戦時加算、これは日本のみがそういったことを引き受けなくてはならないというような、自由で公正なということを考えた場合には著しい不利益の部分というのもあるというふうに思いますので、政府としてそういったことがないようにという努力をされてきたということは、繰り返しになりますけれども、評価をしたいというふうに思いますので、それがしっかりと運用されるのかどうかということを政府としてこの後見ていっていただければというふうに思います。
 次に...(以下省略)

同委員会にて山本太郎議員が採決前の反対討論を行っているが、質疑ではないためここでは引用していない。興味ある人は議事録を直接読んでみるのが良いかと。

おわりに

全体的に、政府の答弁は苦しいなぁという印象。納得できるロジックが見当たらない。きちんとこの問題単体で議論をせずに、TPP関連法案としてパッケージ化して薄い議論のまま採決して通してしまおうとしているように思える。

とはいえこれは個人の主観なので、読む人がどう感じるかは人それぞれですが。

追記(2019/01/13)

この国会での議論、法案通過の後に日欧EPA合意(2018年7月)があったことを思い出した。そして、その合意内容に著作権保護期間のことが含まれている報道があったのが2018年11月。それを踏まえてこの記事をもう一度読み直すと、この法案を通さざるを得なかった事情が透けて見えてくる。

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max747

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