新曲がサブスク解禁されたので個人的な見解を綴ってみる話:僕は僕を好きになる

26thシングル「僕を僕は好きになる」の各楽曲が音楽ストリーミングサービスにて配信された。

いい機会なので今回の新曲について個人的に思っていたことを書いていこうと思う。

僕は僕を好きになる

昨年10月にグループを卒業した白石麻衣が参加した25枚目シングル「しあわせの保護色」からおよそ1年。

今までも、小室哲哉が作曲を手がけた「Route246」や卒業メンバーが参加した「世界中の隣人よ」などが配信楽曲としてリリースされてきた中、待望の26枚目シングル発表には喜びが抑え切れなかった。

表題曲、「僕は僕を好きになる」。

作曲は「制服のマネキン」や「サヨナラの意味」など乃木坂46にとって大切な楽曲を手がけてきた杉山勝彦が務める同曲。

初めて楽曲を聴いた時、初めてMVを視聴した時、私の心に浮かんできたのは乃木坂46だった。

初期を引っ張った絶対的エースである生駒、儚さの象徴としてグループを支えた西野、美の象徴としてグループの顔であり続けた白石。彼女達の卒業を経て、次のステージへの幕開けとなる同曲は、彼女達が築き上げてきた乃木坂46のイメージそのものだと感じた。

また、今回の楽曲では今までとフォーメーションを一新。新センターには3期生の山下が抜擢され、フロントにも同じく3期生の梅澤と久保が新しく選出された。

これについて賛否両論あるとは思う。ただ私は驚いたものの納得のいくフォーメーションだと感じた。山下はこの1年映像研をはじめかなり多くのメディア露出があり新生乃木坂を背負って立つのになんの問題もないだろう。梅澤は自身のモデル体型を活かし、卒業した白石の後釜としてこれから乃木坂の美を担い、久保は音楽番組などで活躍するように生田の跡を継ぐ歌唱力を買われた人選だと推測できる。

初選抜には清宮と田村が抜擢された。これについても思うところがないわけではない。2期の寺田、伊藤らが食い込んでも良かったのではないか?とも感じる。もちろん、4期2人の活躍は乃木坂スキッツなどを通して目にしているので不満があるわけではない。

これについては私の中でパワーバランスの調整なのだと勝手に結論づけて納得することにした。乃木坂46の良さの一助となっているのは選抜とアンダーの実力差のなさ、層の厚さであることは間違い無いだろう。今回、アンダーでも3期の阪口が新センターを務める中、安定感のある2期生が選抜に回ってしまったらアンダーの柱ともいえた中田がいない今、選抜とアンダーの間に隔たりが出来てしまうのも頷ける。そういった意味で2期生の実力あるメンバー達がアンダーに残っているのにはきちんと理由があるのだと考えてみた。

フォーメーションの話を長々としてしまったが、そろそ楽曲の話に戻るとする。

第一印象は実に乃木坂46らしい曲だと感じた「僕は僕を好きになる」だが、聴いていくうちに1つの疑念が私の中に湧き上がってきた。

それは、「この曲は新センターである山下美月に向けて書かれた曲ではないのではないだろうか?」ということ。

世界を嫌い、この世は悪いことばかりだと思っていたけど実際にはそんなことはなくて、僕自身がこの世界を生きづらく感じていたのは自分自身の生だった。そんなメッセージがこめられた同曲だが、私がこの曲を聴けば聴くほど感じたのはこんな想いだった。

「齋藤飛鳥にセンターをさせない為の曲」

初期はアンダーで特に目立つこともなかった彼女だが徐々に頭角を表し、15枚目シングルでは見事にセンターを射止めた。その後は次世代エースとして乃木坂46の先頭を西野、白石らと共に走り続け、今では絶対的エースの呼び声も高い彼女。後輩からも慕われており、3期生の大園や与田をはじめとして山下、梅澤とは「ザンビ」や「映像研には手をだすな」で共演。白石が卒業した今、彼女の肩にかかる重圧は相当なものだろう。

実際、私の中では26枚目のシングルのセンターは斎藤一択だと思っていた。配信曲の「Route246」でもセンターを務めた彼女がしばらくはセンターを続けるものだと勝手に考えていた。

そんな状況に待ったをかけたのが「僕は僕を好きになる」なのだ。

元々、人付き合いがあまり得意じゃないと様々な場所で語っている斎藤。

それがここ数年でかなり変化した印象を受けた。

例えば、乃木坂46のドキュメンタリー映画「いつの間にかここにいる」では、彼女のそうした人付き合いの苦手さを少し改善、以前よりも前を向けるようになった彼女が映し出されている。それは、昔のしがらみから解放された部分であったり、後輩に頼ってもいい自分の荷物を分けてもいいと彼女が気付いたことが大きいのだろう。もしくはシンプルに大人になったと表現しても良いのかもしれない。

乃木坂46のメンバーが2人だけで外国へ旅をする番組「今野さんほっといてよ」では、星野と共にスペインへいき、自分の内面の変化や環境の変化について語り、昔の自分では星野を自ら誘って旅をすることはなかったと話した。

こうした変化を理解した上で「僕は僕を好きになる」を聴くと全然違うニュアンスを感じ取ることができる。

齋藤飛鳥が乃木坂46の全てを1人で背負う必要はない、重い荷物があれば後輩に分けても良い、自分が風除けとして最前線を走り続けなくても良い、時には頼れる同期や支えてくれる後輩の手も借りていい、自分を卑下しなくてもいい、彼女の周りには素敵な存在で溢れているのだから。

だからもっと自分を好きになって周りを好きになって新しい一歩を踏み出して欲しい。

私には、そんなメッセージが込められているように感じた。

だからこそ、センターは山下美月でなくてはいけないのだとも。

斎藤飛鳥を唯一後輩という立場からバチバチにイジれる彼女だからこそ、気兼ねなく斎藤が重荷を分けられる、代わりに矢面に立たずとも大丈夫だと信頼して一歩下がれる。

山下だけではない、隣にはしっかりした梅澤がいるから、久保がいるから自分以外にも山下を支える仲間がたくさんいるから安心して任せて良い。

実際に語られたわけではない、それでも素敵なバックストーリーを私はこの曲に感じたのです。

「僕は僕を好きになる」

26枚目シングルとして、新しい乃木坂46の第一歩として、とても素敵な楽曲だ。


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