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立山コネクティング・ザ・ドッツ(登山・旅行記)

2019年10月、初めて立山・黒部アルペンルートを使い、立山に行ってきました。その旅行記です。コネクティング・ザ・ドッツの話は中盤~後半で太字にしてありますので、その話だけ読みたい方は一気に飛んでください。

立山ですが、友人に勧められたのがきっかけで、5年くらい前から行ってみたいと思っていました。
でも、調べるといつも宿が満室なのと、立山・黒部アルペンルートが難解すぎて、イメージがわかないと言うこともあって、長いこと後回しにしていました。

ところが最近、TJARなる日本アルプスを縦走する山岳レースの番組を見て、立山に行ってみたい熱が高まり、久しぶりに宿を調べたところ、室堂にある「みくりが池温泉」という宿泊施設を予約できたので、ようやく行くことに。

北アルプスを、長野側から、富山側まで、6本の乗り物を乗り継いで通り抜けられるようになっており、それらがまとめて立山・黒部アルペンルートと呼ばれています。
詳細は、ググっていただきたいのですが、結構難解です。
公式ページにちゃんとまとまってはいますが、行かないとよくわからないと思います。
私も、実際に行って、初めてイメージわきました。

今回の私の行程は、長野側から入って富山に抜けるコース(逆向きも通行できる)。
宿があるのは、標高2450メートルにある室堂です。
まず長野駅から90分バスに乗り、アルペンルート始発の駅「扇沢」に。そこからさらに乗り物を4つ乗り継いだ地点です。
途中、黒部ダムも通ることになるので、観光しつつ室堂を目指します。
扇沢から鹿島槍ヶ岳に行くハイキングコースや、黒部ダムから剱岳や立山に向かうトレッキングコースもあったり、このあたりはハイカーにとってはたまらないスポットです。

室堂に到着したのはもう日没1時間前だったので、初日は山歩きはせず、宿「みくりが池温泉」に直行。
宿に近づくにつれ、硫黄のにおいが強くなってきます。
最初は「こんなところに1日宿泊して大丈夫なのか?」と心配になるような臭いでした(大丈夫でしたが)。
実際、ここより少し下ったところで、火山ガスでの遭難・死亡事故もあったらしいですからね。

みくりが池温泉のホームページによると、一応「山小屋」であるとのことですが、山小屋にしては相当整っています。初めて山小屋に止まるという人にもハードルが低くておすすめです。
山小屋のハードルを上げている要素って色々ありますが、一番重要な要素の一つは「入浴できない」じゃないでしょうか。でも、ここは「みくりが池温泉」というくらいなので温泉があります(この温泉自体なかなかのもので、到着後・就寝前・起床後、三回入浴してしっかり満喫しました)

ほかにも、普通の山小屋では無いor出来ないが、みくりが池温泉でできることとしては、
・ ものを捨てられる
・ ウォシュレットあり
・ 充電できる
などがあります。
あとは、私は相部屋だったので様子はわかりませんが、個室もあるようです。
どうでしょう。かなりハードルが低いのではないでしょうか。

さらに、食事もとてもおいしいです。
普通は山小屋ではあり得ない、魚もあります。
しかもその魚、富山湾でとれたものらしいです。
天ぷらもあります。その場で揚げています。
夕食で、アラカルトの追加注文もできます。
ほぼレストランですよね。
ということで、初日は山を歩いてもいないのに、食べたいものをばっちり食べて温泉に入り寝ました。

夜中に尿意で目覚めて(ビール飲みすぎ)トイレに行ったついでに外に出て、夜空を見てみたら満天の星空でした。星屑とか見える感じです。消灯前の8時くらいって、まだ空がちょっと明るいので、星空がマックスにならないんですよね。星を見るなら夜中にトイレで起きたときに限ります。

さて、2日目は登山。
出発地の室堂から雪が積もっており、縦走はできるかどうか微妙というコンディションでした。
この日は10月28日だったので、30年前の10月8日に起きた立山中高年大量遭難の時期よりも後。つまり、吹雪いて進退窮まるリスクとかも考慮するほうが良い時期です。
ただ、天気予報は朝から夜まで晴れ。気温は高めだったし、装備も自分なりには万全だったので、せっかくなので無理なく行けるところまでは行くことにしました。
周りも、「どこまで行けるかわからないけどとりあえず行けるところまで」という人が多かったように思います。
予定のコースは、室堂から一の越に行き、そこから立山・別山を北上・縦走し、室堂に帰ってくるコース。
歩き始め、称名川の結氷(川の表面に出来た氷・このNoteのトップ画像)がものすごくきれいだった。
室堂から1時間程度の一の越まではみんなたどり着いていましたが、その先、雄山に登るところで、アイゼンなしで脱落する人多数。
ただ、アイゼンなしで転びながらも根性で登ってくる人もけっこういました。特に中国人が多かった。危なっかしいと思う反面、ビジネスで成功するのは、こういうメンタリティなんですかね。

雄山山頂では晴天。北アルプス一望できました。

アルペンルートに入ったあたりから思っていたのですが、立山に来たことで、これまで見聞きしてきた山の知識が、そうとうつながりました。

コネクティング・ザ・ドッツという言葉があります。
様々な経験(ドット)をすることで、それらが線でつながって、新しいものや自分なりの何かを生み出せるようになる、って話ですね。
このドットって、均一ではなくて、ハブになるドットと、ハブの周辺につながるドットがあると思うんです。
黒部・立山は、私の登山経験の中ではハブの一つになる経験だったと感じます。

これまで読んだ、山関係の本、山の映画・ドラマTJARの番組など、かなり多くの作品の舞台が、北アルプス・黒部・立山付近でした。
それらの知識(ドット)が、実際に黒部・立山を訪れたこと(ハブになるドット)でつながった気がします。

そして、先述のTJAR(日本アルプス縦走山岳レース)では、立山から南下して薬師・槍ヶ岳方面に向かうのですが、その方面もばっちり見えてイメージがわいて、来年はここを歩きたいな、と思いました。
(今年はシーズンが終わるのでもう諦めた)
立山に来たという経験(ハブになるドット)は、過去の知識をつなげるだけでなく、今後トレッキングの経験をつなげていくためのハブにもなりそうです。

(ついでに言うと、ローカル空港からローカル空港にダイレクトフライトできないのと同じで、ハブになる経験がないと、他の領域とドットをつなげていくことも難しいのかなと感じます。が、話が広がりすぎるのでその話はまた今度)

やっぱり、実際現地に行くと言うことはとても重要。
旅行は「1回行けばOK」という場所もあるけど、1度行ったら次にやりたいことがどんどん出てきて、「1回目はロケハンで楽しみ方がわかる・2回目以降はもっと楽しい」みたいになる場所もあります。立山は後者になりそう。
いろんな歩き旅の起点にできる予感がします。

さて、旅行記に戻ります。
雄山山頂までは難なくこれましたが、その先の尾根にトレースが無く、私の技量では危ないと判断し、その先の縦走は諦めました。私はどうも山頂を極めたいという思いが人よりも弱く、諦めるのにほとんど抵抗がないので(もっとも、トレースがなかったということは、その日・その時点では皆諦めたということだと思いますが)。

室堂まで下山したら、ものすごい観光客の数。
下りのバスが混み合う前に、早々に富山方面に下ることにしました。

下りのバスの中、大日岳・弥陀ヶ原・称名滝などの景勝地が次々に紹介され、来年以降歩いてみたいコースがさらに増えてしまいました。
立山から南下するだけでなく、こっちも歩いてみたい。
このあたり、縦横無尽にハイキングコースがとれるエリアなんですね。
残りの2つの乗り物で立山駅まで降りて、さらに電車で富山駅に。
つまり、長野駅から富山駅まで、バス+アルペンルートの6つの乗り物+電車で、8個の乗り物に乗ります。
めっちゃ複雑。
でも、一回行ったおかげで大体雰囲気つかめた。
どうも、シーズンによっては、富山駅から室堂まで直通のバスもあるにはある模様。それを使うと、富山側3つが1つにまとまるので、乗り物が2つ減りますね。

富山市内。
登山で遠方に行くとき、計画段階ではせっかくだからと街に降りた後も観光しようとするのですが、登山でエネルギー使っているので、結果としてはあんまり観光しないで終わることが多いです。
服が登山着なので、TPOを考え、高級な飲食店や美術館のような清潔な場所に行くのはためらわれるし。

それでもせっかくなので、登山で研ぎ澄まされた野生の勘を捨て、食べログで探した寿司・ホタルイカなどを食べました。
あと、甘エビも。甘エビおいしかったけど、これってご飯にあわせるような味ですかね。個人的には単体で食べる方がおいしいと思いました。

帰りがけ、筋肉を回復させるべく、富山駅のマツキヨでプロテインを購入。
最近、マツキヨでリーズナブルなゼリータイプ・ドリンクタイプのプロテインが売っているので、登山の帰りに見つけると飲んでいます。
登山時に粉のタイプのプロテインを持って行っていたときもあったのですが、大体手がベトベトになるし、拭くのも大変で難儀だなと思っていたのでありがたいです。

帰りの新幹線では本を読もうと思ったのですが、頭が全く回転しない(そういえば山の後は大体いつもこうでした)。
仕方ないので寝て筋肉を超回復させながら帰宅。

立山、行って良かったのですが、もっと早めに来ておけば良かったという思いが強いです。
気になっている場所は、早め早めに来ないとダメ。
若いのは今のうち、体力があるのは今のうち、なのでね。

結論
・ 立山・黒部アルペンルートは、一回行かなきゃイメージわかない。1回目はロケハン。
・ 気になっているところにはとっとと行かないとダメ。行けばそれが点になり、別の点とつながる。

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