見出し画像

週刊めいろま Vol.020 イギリスでは「貧民&DQNポルノ」が大人気/ドキュメンタリーに偽装して貧困層を笑う番組/日本だったらとても流せないような番組ばかり/なぜ規制が適用されないのか/英語「生活保護者」/メタル初心者はこれを聞け!(2)/書評「世界軍歌全集」/Q&A 「日本の部活動は海外からみるとどうなのか?」(2014年01月24日発行)

めいろま(@May_Roma)が気になる時事問題、英語、食、メタルといろいろなことを語りつくします。連載と書籍では読めない情報が詰まったメルマガ。読者のQ&Aに答えるコーナーも! BLOGOSメルマガで月額864円で配信していたものをnoteでも特別販売していきます。

■目次
1. 景気が悪いと「貧民&DQNポルノ」が大人気になる
2. 書評「世界軍歌全集」
3. 英語でポン!「benefits claimants」
4. メタル初心者はこれを聞け!(2)
5. Q&A 「日本の部活動は海外からみるとどうなのか?」

1.  景気が悪いと「貧民&DQNポルノ」が大人気になる

イギリスの民放地上波チャンネル4が、「Benefit Street」(http://ow.ly/sy7Hw)という恐ろしいドキュメンタリーの放送を始め、イギリス中で話題になっております。

イギリスで放送免許を持つテレビ局は、電波というのは公共の資産のため、放送時間のうち一定の時間は「社会的に意義のあるもの」「社会問題を取り扱ったもの」を放送しなければいけないという規制がございます。規制当局は英国通信庁という役所です。

しかし、そこはイギリスであります。規制があるからといって、政治的に正しいお涙頂戴番組は流しません。「社会問題を取り扱っている」という名目で、ほぼ「見せ物」に近いショッキングな番組を流してしまうのであります。

「見せ物」系なら視聴率は取れるわ、通信庁の規定は満たすわで、美味しい所取りなわけです。こういうヒネクレ加減が大変イギリスらしいですね。

さて、どんな番組が流されるかというと、貧乏な人々の悲惨な生活、アホウな人々のアホウな生活、ロマ(ジプシー)の生活、太り過ぎで家から出られない人が家から出るドキュメンタリーなど、それはもう、日本だったら即放送禁止になりそうな物ばかりであります。

中の下、中の中、中の上という、視聴者の大半を占める人々が「ああ、私は違うから良かったわ」「私の生活の方がマシだわ」と感じる様なトピック、またその人々が差別対象とする人々を取り扱ったものが人気であります。

つまり、こういう番組を見ていると、この国の大半を占める人々が、どういう人々を差別したがっているか、というのが良くわかるわけです。

この様な人気カテゴリのうち、イギリスでは最近特に人気なのが「貧民&DQNポルノ」であります。

これは、中の下、中の中、中の上の人々より、より貧乏で、よりDQNな人々の生活を「見せ物」としてテレビで放送するものです。「Benefit Street」はまさにその「貧民&DQNポルノ」なわけです。

「Benefit Street」は月曜日の9時と言うプライムタイムに放送されております。これ、日本だと「明日も頑張るわ」というウソとお伽話満載のキャリアポルノ的ドラマを流す時間帯ですけど、そこはイギリスですね。月曜日からこういう死にたくなる番組を流すんですよ。もう月曜から鬱な気分ですっかりやる気がなくなります。(はっきり言って嫌がらせでしょう。いやあ、いい国だ)

この番組、バーミンガムというイギリスの工業地帯の町にある、ある町内を舞台にしたドキュメンタリーです。この町内の住人は5%しか働いている人がおらず(すごいな)、殆どが生活保護を受けており、13カ国の人々が住んでいます。(ここがもう謎)この町内の住むイギリス人や外国人の生活に密着し、それを中継するという番組です。

しかし凄いのはその内容でありましてね。日本だと「生活保護を受けてる人はこんなにカワイソウなんですよ。でも頑張ってますよ!!」な「政治的に正しい」番組内容になるわけなんですけど、この番組が凄いのは、生活保護を受けているちょっとダメな子が、実名実顔でバンバン出てしまっている所です。

ここから先は

12,303字

¥ 500

サポートは取材費や調査費に反映させて頂き、さらなる記事の充実に活用させていただきます!