坂谷

NPO法人 放課碁代表 坂谷卓治さん

NPO法人放課碁を立ち上げ、囲碁を活用してお寺や囲碁サロンでのイベント、幼稚園や小学校への指導や大学での授業、社会福祉事業など幅広く活動されている坂谷卓治さんにお話を伺いました。

プロフィール
出身地:大阪府
活動地域:大阪府
経歴:小学6年生から囲碁をはじめ、現在は4段の有段者。大学時代にはマーケティングに打ち込み一旦囲碁からは離れるが、社会人になり自分の得意なことで人に貢献したい思いから、囲碁イベントを開催し始める。その後、幼稚園やお寺での指導を依頼されるようになり、2018年7月にNPO法人放課碁を設立。
座右の銘:誠実・素直・調和

「感謝するところからすべての変化が始まった」

記者 どんな心のあり方や認識の変化が今の活動につながっていますか ?

坂谷 まず「感謝」ですね。

囲碁の仕事をするきっかけとなった人がいて、豊かさとは人にどれだけギブ(give)できたかによって自分が豊かになっていく、とその人から教えてもらったんです。
でも「相手の豊かさ考えられるほど僕豊かじゃないです、そんな状態では相手のギブ考えれません。その論理だったら僕は豊かになれないですよね」と聞いてみました。

「その考えのままだったらその通りだね、どんなに時間やお金があっても欠乏感を持ったまま幸せになれないよ。だから今あることに感謝するところからしか豊かさは始まりません」って言われて。

帰ってきたら家もあるし、ご飯食べれるし、喋る友達もいるし。感謝できることがいっぱいある。
目の前のことへの感謝から始めないと本当の豊かさは手に入らないって教えてもらったんです。
それを習慣化するために感謝日記を2年間毎日書き続けました。それで心の在り方が変わって、感謝に目がいくようになりました。

あと、僕はアトピーでずっと悩んでいて、それについてどう思っているか、ある人に話させてもらう機会がありました。「アトピーであることに感謝もしていて、大変なこともいっぱいありましたけど、そのおかげで人に優しくなれたし、人格形成として助けてもらってるんです」って。

そうしたら、「アトピーに対してさらに感謝してみようか。今までは人に対する感謝はあったけど、自分へ感謝してなかったんじゃないかな。他人へのありがとうに、プラス自分へのありがとうを増やしてみたらどうだろう」って言われました。確かに、僕はいつも自分の体を置いてきぼりしてたところがあって、結構酷使してたんだなと気がつきました。
「自分だけ」「相手だけ」じゃなくて、ちょうどいいバランスの所で行かないといけないなって思ったんです。

心のあり方、認識の変化があるのは「感謝」というところからですね。

「最強を目指したら幸せになれない」

記者 感謝の気持ちと今の囲碁の活動はどのように繋がっていますか?

坂谷 幼稚園で子ども達に話している、礼儀と心のあり方に繋がっています。
幼稚園で囲碁を教えているのは、強くなってもらうためじゃないんです。なぜかと言うと、囲碁の最強はAIです。なので、最強を目指したら幸せになれない。
僕が教えているのは礼儀と心の在り方です。
僕の囲碁では「なぜ挨拶するか?」というところを大事にしています。例えば、囲碁が強くてまったく挨拶しない人と、囲碁が弱いけど挨拶が気持ちいい人、どっちと友達になりたいかって聞いたら、後者の方じゃないですか。
囲碁は、二人じゃないと遊べません。だから、その遊んでくれる相手に「遊んでくれてありがとう、よろしくね」という気持ちで挨拶します。終わったら、勝っても負けても、遊んでもらった相手ですから、相手の存在に感謝して「ありがとうございます」を言おうね、分かった?って子ども達に言ったら、みんな分かりましたって言いますね。

記者 囲碁の最強がAIという話も出ましたが、AIが活躍する時代に必要とされるニーズとはなんだと思いますか?

坂谷 自分らしく生きること、自分の長所は何かを理解するところにあるんじゃないかと思います。

AIが来たらデータで言うと49%の仕事がなくなります。全部なくなるわけじゃないですけど、確実に数は減ります。仕事がなくなったら自立して生きていかなきゃいけない。そんな時、不得意なことをやっても続かないので、僕が碁盤を広げたように、自分の得意なことは何かを理解して、何が人様に喜んでもらえるのかっていうのがわかる人じゃないといけないとは思ってますね。

また、囲碁をすることでAIに負けない人ができるんじゃないか、囲碁の4つの思考プロセスが人生の思考プロセスと一緒だと思っているんです。

①相手の手を分析する。この一手の意味はなんだろう、攻めたいのか守りたいのか、相手のことを分析する。
模索する。分析の結果、相手はこうしたいんだろう、じゃあ自分はどうするか、こんな手やあんな手ができるって模索します。          ③先読みをしてみる。                        ④その中から最善の一手を打つ。そしてまた相手に渡っていってこれが繰り返される。

そして、この中ですごく大事な、中心にあるのが目的意識なんです。

僕はこれが人生と一緒だと思っています。目の前の現状、何を発言したらいいんだろうか。本当は普通に喋ってる時もしてると思うんですよ。言うべきか言わないべきか。分析して模索してるわけですよね。
先読みした中で、目的意識に沿った最善の一手を打つ。これができないと仕事もできないし、人生がより良くならないな、と思っています。
その目的意識とは夢や目標で、これがないと何してもやっぱりうまくいかない。

記者 さっきおっしゃっていた、最強になるために囲碁やるんじゃないという話と繋がりますね。

坂谷 はい 。幼稚園だと、僕が目的意識にしているのは「子供達が礼儀と心のあり方を持つために何をするか」。だから、挨拶大事だよって声かけたりするのも、この目的意識に沿っているわけです。

「自分の使命がわかって、チャレンジできる人を作りたい」

記者 これからどんな美しい時代を作っていきたいですか?

坂谷 夢を持ってチャレンジできる人が増えたらいいですね。

僕、88歳で死にたいんです。
死に際を決めたら、逆算的に今が決められて、残りの人生を有意義に過ごせます。
88歳で倒れて病院に運ばれて、あと1時間後死にますっていう状態で、家族や仲間が来てくれて、みんなが泣いている所で僕が「みんなの夢を言ってくれ」って質問します。「僕の夢はこんなんです」って言ってくれる。そうしたら「じゃあみんなの夢の達成を、あの世で楽しみにしてるね」って言って死にたいんですよね。

死んだらどうなるかってわからないですけど、これによって死してなお生きれると思うんです。皆の心の中に生き続けるっていうか。「あいつ見てるし」みたいな。そういうのがいいです。

多くの人が囲碁に関わることで、夢を見つけれる人が一人でも増えたらいいなと思っています。今は夢を見られない、自分のやりたいことが見つからない人がすごく多いと思うんです。
そんな中で、自分の使命がわかって、チャレンジができる人を作りたいですね。
夢はそこに向かうまでのチャレンジに意味があります。

囲碁で最善の一手を打つの、僕も大会で手が震えます。それが合ってるかどうかわからないですから。でも自分を信じてそこに打つ訓練になります。
難しい局面では、たまに、碁盤が光るところがあるんです。
今までの過去のデータでは考えられないような手なんだけど、なんかイイような気がする。負けてもいいから、チャレンジしよう、楽しもう、みたいな気持ちで打ちます。
そういうチャレンジをしていくことで、学ぶことがいっぱいあります。それがやっぱり人生にも活かされてて、面白そうだなと思ったらやってみる。
そうやってもっとチャレンジできる人が増えたらいいんじゃないかな、と思いますね。

記者 坂谷さん自身はこれからどんなチャレンジをしていきたいですか?

坂谷 囲碁で食える人を増やしたい。
やる人自体が少ないから囲碁の食い扶持って少ないんです。
だから、囲碁のインストラクターもプロもいるけど、食えてない人がたくさんいるんです。
僕はそこの中で仕事作って、彼らに渡してきたいんですよ。渡していけるようになりたい。今までは苦労したけど、来年はもう種まきの時期です。再来年からはJカーブになるので。今はやれること全部やろうと思っています。

記者 今後もたくさんのチャレンジから新しいものがどんどん生まれてきそうですね。本日は貴重なお話いただき、ありがとうございました。


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坂谷さんの詳細情報についてはこちら

Facebook:https://www.facebook.com/sakatanitakuji
instagram:https://www.instagram.com/npo_houkago/?hl=ja

【編集後記】
今回、インタビューの記者を担当した岡田、平井、山田です。
明るいキャラクターの裏に隠された、たくさんの努力や熱い想いに触れることができ、私自身も心が震えました。
囲碁というジャンルに新しい風を巻き起こしながら、次世代を牽引するチャレンジ精神溢れる人を育てる教育をしている坂谷さん。
今後、益々のご活躍を応援しています!

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この記事はリライズ・ニュースマガジン“美しい時代を創る人達”にも掲載されています。

https://note.mu/19960301/m/m891c62a08b36

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