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パリのオペラ座・ガルニエ宮でバレエを観た時のこと


昨年の秋、フランス留学中に、パリのオペラ座・ガルニエ宮でバレエを観に行った時の想いをfacebookのプライベートアカウントに投稿していたのですが、

今回、バイオリニストの衣装を作るお仕事をいただいたことで、私の芸術家と一緒にお仕事をすることに対しての熱い想いも綴ったこの投稿を、noteの方にも記しておきたいと思ったので、コピーして引っ張ってきました。

公向けにちょこっと書き直しています。


バイオリニストの衣装製作のことはこちらに書いています。


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オペラ・ガルニエでバレエ『Joyaux(ジュエルズ)』を観てきました。
なんか色々な想いが押し寄せているので、頭の中整理しながら書きます。
かなり書きます。



まず、私がオペラ座の存在を知ったのは12年前、オペラ座の怪人の映画を観てから。
公開終了間近に駆け込みで観に行き、ほとんど空席の映画館で真ん中の一番良い席に1人ぽつんと座って観たのを今でも覚えています。

そんな状況だったからか、最初の冒頭シーンのメイン曲が流れた瞬間、音楽が劇場中に鳴り響いて、美しい映像と迫力ある音楽に身震いし、一気にオペラ座の世界観に引き込まれました。

以後、どれだけ私がオペラ座の怪人にはまったかは私の高校時代を知る人は皆ご存知だと思います。

いつか本物のオペラ座を見たい、と思ったのはその時からで、その念願が叶ったのは大学の卒業旅行の時でした。

しかし、残念ながらその時は時間がなく、外観とショップをチラッと見ただけで終わってしまったのですが、それでも何十回も観た映画のシーンが頭の中に浮かび、当時の時代のイメージがぶわっと頭の中に流れ込んできて、それだけで感慨深かったです。


それから5年半、パリに戻ってきてから私はずっとオペラ座を通り過ぎているばかりでした。
なぜ中に入らなかったかというと、ただ中に入るだけではなく、せっかく時間があるのだからオペラを観たい!と思い、チャンスを伺っていたからでした。

とはいえ、チケットがかなり高い、格式が高い、ドレスアップしなきゃいけないとか、色々1人で勝手なイメージをしていて、なかなか寄りつかずにいたというのもあるのですが、
友達がバレエを観に行った話を聞き、その演目がクリスチャン・ラクロワが衣装を手がけたジュエルズで、何それ!観たい!いつまでやってるの!と思い調べたところ、もうすぐ終了するということで、慌ててチケットを取ったという次第です。笑

本当はバレエではなく、オペラを観るのが夢でしたが、今の私が一番重要視するのは衣装なので、ジュエルズを選びました。


ギリギリに取ったチケットは、奇跡的にも今日(2017年10月7日)のぶんのラスト一枚で、一番高い席しか残っていなかったのですが、最前列の席だったので迷わず購入しました。(昼の部だったから夜よりも安かったし)
というか、最前列が最後まで残ってるって…
どういう仕組みで席埋めているんだろう…

映画館みたいに見えづらいならともかく、舞台の最前列なんて役者さんの表情まで生で観れて最高なのに!!


そして今日、ついにオペラ座の中へ。
事前にチケットを購入していたので、堂々と正面から。


あの、大階段を登り、あの、シャンデリアがある、あの、劇場の中へ…!!!**



自分が21世紀に生きてるなんて忘れるような、当時のままの豪華な内装(もちろん何度も再建されてるとはいえ)に圧倒され、
いつも言っていますが、私はやっぱり生まれてくる時代と国を間違えたのかなと、そんな残念な気持ちになるくらい、このオペラ座が最盛期の時を直で見てみたかったと強く思いました。

最前列の席は劇場見学では入れない場所で、オケピも見えるし舞台も近いし、予想通りに最高でした!!



ボックス席に座るというのも憧れでしたが…まぁそれはまたいつか、叶えられたらいいなぁと思います。

怪人の5番ボックス席がどこだかもよくわからなかったので…それも今度、探しに行きたいと思います!



そして肝心のバレエ。
実は私、プロのバレエを観るのは初めてでした。
あれだけ色々な舞台を観てきて、バレリーナの衣装に興味があったりチャコットに就職したいと言っていた時期もあったのに…笑


言い訳をすると、縁がなかった、というのが一番の理由な気がします。
女の子なら誰でも憧れる…と言いますが、私は小さい頃から身近にバレエはありませんでした。

習ってもいなかったし、観に連れて行ってもらうこともなかったし。

クラシック音楽が苦手で(嫌いではなくて、コンサート行くと寝ちゃうことが多くて。笑)バレエも詳しくないし、台詞も歌もないなら眠くなっちゃうんじゃないか…と思って自ら進んで観に行くこともありませんでした。

でも興味がなかったわけではないので、今回は本当にチャンスだと思ってチケットを取ってからはとても楽しみにしていました。


そういうわけで、バレエやバレエ衣装に関してはど素人中のど素人なので、すごい!美しい!という単調な感想しか出てこないのですが、笑

今回一番に感じたことは、バレエだけではなく衣装、音楽などこの作品を作る上で携わっている全ての人たちのプロ意識と、1人だけでは作れない、それぞれのプロが一人一人自分の人生をかけて磨いてきたもの全てが整ってこそ仕上がる芸術作品の壮大さに圧巻された、ということです。

今更かなり当たり前なことを言っていて恥ずかしいのですが、
私はこのことをずっと理解しているようで理解していなかったと、今日舞台を観て感じました。


小学生の時に演劇が好きになってから舞台を観て、色々真似事をしてその都度満足して、なんとなくプロの人たちと同じことをやっているように錯覚していたけれど、本当にそれが真似事だったなと思うのは、私自身がプロになったから…

昔は、表面的な美しさや感動に胸を打たれていたけれど、それにどんな苦労があって、どんな努力があって、どんな辛い選択があって、作られてきたものなのか。
とても煌びやかに見えるけど、その一瞬のためにどれだけの地味な時間が必要だったのか。


私は元会社でファッションショーに携わる時に実際にその世界を経験してきました。
それもプロだと言うのには恥ずかしいレベルだと思っています。
一度として満足あるものにできたことはなかったから。

だからこそ、このオペラ座の最高峰で、バレエを踊るということ、エトワールを授かり主役をはるということ、音楽を奏でるということ、指揮をするということ、それがいかに素晴らしいことで誉あることなのか、それが今の私には痛いくらいわかります。


服を作る側の人間の気持ちとしては、そんな素晴らしい人たちに衣装を纏ってもらえるということも、とても名誉あることだと思いました。

舞台衣装を作るということは、衣装でお客様を感動させることが一番の意義だと思っていましたが、そんな魅力もあるのだと感じました。


私は今まで、ウェディングドレスの会社にいたからというのもありましたが、お客様は花嫁さんで、友達にも、作ってあげて喜んでもらったり、感動してもらうことが嬉しくて、それを機動力に頑張ってきましたが、

今回のバレエを見て、バレエに限らず、歌手、ダンサー、音楽家…どんな分野の人でも、何か1つのことに打ち込んできて、それを披露する場面において、私が作るドレスや衣装を着てもらい、その人の技術をより一層引き立たせるような服作りができたらどんなに誇りあることだろうと、少し夢が膨らみました。


とはいえ、私の技術はまだまだですし、その域を目指そうとすることすら未定で、
早く結婚してお家でゆっくりお仕事した〜いという、ぬるい夢は変わらないのですが。笑
こんな素晴らしいものを見せつけられてしまったら、そんな妄想もしちゃうものです。


あとはそうだな、私の身近に頑張ってる人がたくさんいるから。

それぞれ培ったものが合わさると更に素晴らしいものが出来上がると感じた今日、そんな頑張ってる身近な人たちといつか一緒に作品や舞台を作れたら、お仕事ができたら素敵だろうなと、そんな妄想もしちゃったり。

…いや、やっぱり実現できそうならしたいなぁ。



久しぶりに舞台を観て、昔のことを思い出して初心に帰ったり。
パリでこんな気持ちを味わうとは…


でも行ってよかった。本当に。


2017.10.7 まや


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