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23-7-7 【絵本】『いいこってどんなこ?』ジーン・モデシット、ロビン・スポワート/子を持つ親にぶっ刺さる絵本

メルカリでまとめ買いした絵本の中の一冊。
なんだか絵のタッチも暗いし、タイトルも説教臭い内容なのかしら?って感じであまり期待せず読んだら、愛の溢れる素敵な絵本だった。

絵本ナビ編集長の磯崎園子さんが書かれた「みどころ」には、まずあらすじが書かれている。

うさぎのバニーぼうやがたずねます。
「ねえ、おかあさん、いいこって どんなこ?」

バニーの中から、たくさんの質問があふれてきます。絶対泣かない子がいい子なの? いい子って、強い子や怖がらない子のこと? 怒っているぼくなんて嫌い?それから……

おかあさんは、どの質問にも、一つ一つ丁寧にこたえます。泣いたっていいし、こわいものがない人なんていないし、怒っていても笑っていても、どんなバニーでも大好きだと。バニーはバニーらしくしているのが一番なのだとこたえるのです。

「絵本ナビ」より引用

そして、次のように続く。

ぼうやとおかあさんの毎日は、もちろん色々なことがあるでしょう。いたずらをしたり、泣きわめいてたり、間違ったことをすることだって。おかあさんだって、怒ってしまったり、傷つけてしまうことだってあるのかもしれません。思うようにいかないものです。

だけど、いつだってまるごと受け止めてくれる人がいる。いつだって受け止めてあげたい気持ちがある。絵本を繰り返しよむことで、お互いのその気持ちが少しずつでも伝わるとしたら。それは、とっても大切で意味のある時間になるのだと思います。

「わたしたち みんなに」
この絵本の作者は、最初にそう言ってくれています。

「絵本ナビ」より引用

この絵本に描かれている「お母さん」は聖母のように優しく、慈しみ深い。
そうだよなぁ、こんな風に温かく子どもを包み込めばいいんだ。と、ジーンと感動する反面、現実の毎日の中で時には聖母どころか地獄の悪鬼になってしまう自分を思い起こして落ち込んでしまったりもする。

だけど、この引用にあるような、磯崎園子さんの視線はどうだろう。
この絵本の中の聖母のようなうさぎのお母さんだって、時には子どもを怒ったり傷つけたりすることもあるかもしれない、と言う。
自分の母親としてダメな部分を許されたような気持ちになった。
どんな親だって、積極的に子どもを傷つけたい人なんていない。
だけど、1人の人間として上手くいかないこともたくさんある。
イライラしたりカッとなったり、大きな声で当たってしまったり。
かと思えばハッと我に返ってギューッと子どもを抱きしめてみたり、寝顔に向かって謝る日があったり…。

そんなままならない子育ての日々の中で、優しい気持ちを呼び戻してくれる素敵な一冊だ。

引用の最後にある「わたしたちみんなに」というのは、よく海外の絵本や書籍の最初にある「親愛なるキャサリンへ」みたいなやつだ。
この絵本は特定の誰かではなく、「わたしたちみんなに」捧ぐ物語である。




おしまい

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