仮面の力(13) 11 仮面と場所(トポス)
11 仮面と場所
仮面を考えるとき、仮面は人間に〈場所(トポス)〉の重要性を想い起こさせる。中村雄二郎によると、仮面は人間を無限空間(均質空間)から有機的宇宙に解放するだけでなく、具体的な対応物として固有の舞台、つまり小宇宙としての場所(トポス)を要求するのだそうだ。(*45) 例えばそれはイタリアのコンメディア・デルラルテが、ヴェネツィアやナポリの町、街角を主たる舞台とし、バリ島のバロン劇などが寺院の前庭の広場で、聖なる山を象った割り門を背景にして演じられることである。