見出し画像

賢いと人間もぞうも婚活が難航する

市原ぞうの国、という動物園に行ってきた。
今年で3回目の来園である。年パス買った方がいいかもしれない。

「ぞうの国」というだけあって、国内の動物園のなかでぞうの数が一番多いそうだ。おそらく、10頭ぐらいいる。

「ぞうはね、賢い動物なんですよ。だから相手探しが難しい」

動物園のおじさんはいう。

にんじんとバナナが入ったバケツを購入し、動物たちに餌をあげられる。
一人で来園して動物との触れ合いを楽しむ高齢者もちらほら。

バケツを購入すると職員の人が「これもあげるよ」と1つえさバケツをサービスしてくれた。

うちの子はもらったバケツをもって動物のもとへダッシュしたが、
おじさんがぞうについて語り始めた。

サービスされたえさの手前、立ち去るわけにもいかず、話を聞くことに。
ぞうの排卵期は3ヶ月に1回のため、交配が難しいそうだ。ちなみに、マウスは4日に1回だそうで、繁殖能力がめちゃくちゃ高いなと感心した。

メスのぞうが基本的には芸を行い、オスのぞうは檻に入れられたまま。
常に発情しているわけではないが、興奮したら止められないのでオスはショーに登場しないという。

「この動物園で生まれた4頭の父親は、みんなテリーだよ。異母兄弟。
若いユウキってぞうはね、そろそろ父親になれる年齢だね。

僕の見立てではね、ユウキの相手はりり香だと思うんだよ。生まれた時期も近いし仲良いんだよ」

まるで親戚の話でもするようにぞうの婚活について話をはじめるおじさん。

「ユウキはさ、母親が事故で亡くなって。りり香の母親は育児放棄でダメだったから実家に帰しちゃったんだよ。どっちも同じ乳母のようなぞうにお乳もらって育ったからさ、兄妹だと思ってるかもしれない。相性はいいはずなんだ」

ぞうの世界でも育児放棄問題が深刻なようだ。
さらに・・・

「ゆめ花がね、本当は適齢期なんだけどね。いいオスがいるっていうから沖縄まで行って、同棲させたんだけど、なかなか子どもができなくて。結局、数ヶ月してこの動物園に帰ってきたんだよ」

私「相性とかあるんですね」

「そりゃそうだよ! ぞうはね、賢いから。他の動物とか人間だったらさ、相手なんて関係なく行為できちゃうけどさ、ぞうは頭がいいから相性の悪い相手とはしないんだよ。だからね、相手探しが難しいんだよ」

とのことだった。

賢いと婚活で苦労するのは、ぞうも人間も同じ・・・。
兄妹のように育った2頭のぞうが、周囲の大人たちから「結婚」するように望まれている様子は、戦前などの男女を彷彿とし萌えた。

幼馴染で、ときに意地悪ででもいつもいっしょにいたアイツ・・・。
最近はめっきり男(女)っぽくて、これまで見てきた表情と違い、ドキっ。
でも、アイツは妹(弟)みたいな存在だから!
とか心のなかで言い訳しちゃったりして。
そしてこの思いは特別な感情に発展し・・・

とおじさんの話と別のところで脳内恋愛がスタートしてしまった。
あまりに暑くて幻覚が見えたのかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?