自粛下の出来事

 ある日、駅前のカリカリチキンが美味しい有名店に並んでいると、食事宅配サービスのお兄さんが入ってきて「◯◯◯◯◯です。」と、英語と数字の混ざった受付番号を言ってレジ脇に立った。厨房から出てきた店員さんが「え、何番ですか?」と聞き返した。すると「今、言いましたよね?」と宅配のお兄さんは不機嫌そうに返答。困った店員さんは手元のタブレットに表示されたリストをじっと見つめている。
雑踏の中、しばし沈黙、、、
そばでやりとりを聞いていた私は勝手にいたたまれなくなって、思わず全然関係ないのに、「◯◯◯◯◯だそうです。」と、店員さん伝えてしまった。すると、イライラしていた宅配のお兄さんがハッとした顔をしてこちらを向き「すみません、ありがとうございます。」とお礼を言った。
多分お兄さん、コロナ自粛で注文も多いし、忙しくて相当疲れてたんだろうな。誰しも心に余裕がない時は、やさぐれた対応をしてしまう時もある。食事の宅配サービスは便利だし、玄関先に置いておいてくれるし。利用する側はとても助かるけれど、そこには、働く人の労力があることを忘れてはいけないなぁ、などと改めて感じた。
宅配のお兄さんは、無事に注文の品を受け取り、黒いボックス型のバックに商品を入れて店を出た。その時また、「ありがとうございました。」とぺこりと会釈してくれた。
なんかちょっといいことした気分半分と、あー私どんどんお節介なおばちゃんまっしぐらだわぁと言う自責の念半分を芳ばしいチキンと共に抱えて帰宅しました。

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