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現代アートが嫌いな人達へ

「今の時代は、アーティストが独創性に走り出している。そんなもの藝術じゃない!!!現代アートは嫌いだ!」っていう声をとてもよく聞く。

勿論、伝統的な絵画も素晴らしい。だけど、どんなジャンルのアートが好きかは、価値観の違いや好みだと思う。

私は、誰か一人でも作品に価値があると思ってくれる人がいるなら、たとえ100人中99人に嫌われようが、アートなんだと思う。

それに、伝統だって始めから存在するわけではない。誰かが、異端だとか変わっているとか批判されながら生まれたものかもしれない。それが、偶然か権力の象徴のための手段として意図的に引き継がれたかにせよ、伝統と呼ばれるまでになったのだと思う。私は以下の言葉に強く共感する。

心地良さに満足している人間が革命家になどなれるはずがない。」
モス・デフ
【自由な反逆のすヽめ】p120より

そもそもアートとは何だろうか。著者huckの【自由な反逆のすゝめ】p96より引用すると、

「ある人たちは僕の作ったものをとても気に入ってくれる。だがもちろん気に入らない人だっている。それでも、そこでなんらかの対話は間違いなく生まれる本質は、他人と関わっているということにある。」ストリート・アーティスト シェパード・フェアリー

ストリート・アーティストのシェパード・フェアリー氏は、
アートとはいい反応か批判的反応かに関わらず、作品を通して
対話が生まれる事〟が重要だと述べている。

作品を通して、コミュニケーションが生まれる事こそがアート作品の醍醐味なのではなないだろうか。

権力の象徴、国の繁栄として芸術は存在してきた時代もある。だが、現代は王(権力者)が芸術家を支えるという時代から抜け出したからこそ、アートは新しい表現技法を模索する時が来たのではないだろうか。

今こそ、新しい表現を研究していくタイミングだと思う。以下、【自由な反逆のすゝめ】の引用だ。

「言語的な制約はあれど、作詞家として新しいことを伝えるためには、使い古されたり聞き飽きたりするような伝え方を避けなければならない。」ミュージシャン、ベック

現代アートは確かに、今までの伝統芸術のような繊細さ、美しさ、洗練さが足りていないかもしれない。デッサン力が高い作品ばかりではない。

ただ、現代アートが嫌いだというのは、現代アートを知らないからではないだろうか。

人は、「知らないもの」に拒否反応を示す。本当に現代アートが嫌いなのではなく、知らないから「現代アートなんて嫌いだ!」というのではないだろうか。実は食わず嫌いなのではないだろうか

今はITなどのテクノロジーが凄まじい勢いで進化している。様々なサービスが生まれている。その一方で、アートも新しい時代を切り開こうとしている。テクノロジーの進化に応じて、アートの表現も多様化している。VRやAR、3Dプリンターを用いた作品など。私は、アーティストは起業家に少し似ていると思う。今の時代を読み解きながら、独自の表現を模索しながら葛藤している。だから、「知らない」という理由だけで現代アートを拒絶しないでほしい。

以下は著者huckの【自由な反逆のすゝめ】p132の言葉だ。

「アーティストを興味深い存在にするのは、人が知らない何かを知っているから
たとえそれが感情的な反応であっても、知的な洞察力であっても。

それに人をアーティストたらしめるのは、それが何であるかを第三者に伝えたいという意志があるから

彼は云う。

僕の目には世界はこう映っている』」

グレイス・マーカス


あなたは、現代アートは嫌いですか?

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