作品解説「The Song From The Beyond 1,2」

「Beyond」というのは「あちら側」とか「向こう側」のことです。
生と死のはざまには、どうしても超えられない壁があります。
幽霊というのは、それでもその壁を越えたいという人間の気持ちの表れなのではないでしょうか。
亡くなった人には、もう会うことはできない。
しかし、だからといって故人のことをきれいさっぱり忘れられるかと言うと、そうもいかない人の方が圧倒的に多いのです。
人の死は遺されたものにとっては、辛いものです。とても、とても辛いものです。
その日は突然やってきます。
その理由は、寿命であったり、あるいは病気、もしくは事故、自殺……そして、戦死かもしれません。
人がこの世にいられる期間は限られていて、それは、50年であろうと、80年であろうと、過ぎ去ってしまえば夢のように短く感じられるのじゃないかと思います。
故人の享年が何歳であろうと、もっと長い間一緒にいたかった――そう感じる人は多いでしょう。
だから、生と死の「はざま」が、人間には必要なのだと、私は思います。

儚いこの世を生きながら、あるいは死してなお、何かを強く恋い慕うことのできる人間を、私はとても美しいと思います。

幽霊というダークなものをテーマにしましたが、私がこのテーマを通じて表現したかったものは「幽霊」というものを生み出した人間の心の在り方です。そしてそれは、私にとって愛すべきものなのです。

それでは、これにてスピーチを締めくくります。
私にインスピレーションを与えてくれた日本の幽霊文化と、何かを強く恋する世界中の人々に、愛を込めて。

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稲場麻佑

画家。北海道在住。美しいものとおそろしいものを愛する。恩師の元で現代美術と禅を研究中。 芸術のつれづれを語るWebマガジン「ヴィーナスのスープ」はじめました。 オフィシャルサイト http://mayuinaba.strikingly.com

ヴィーナスのスープ

芸術のあれこれを語るマガジン。 創作論、エッセイ、作品解説などを掲載します。 ゆったり読んでいただければ幸いです。

コメント6件

こんばんは。
魂理論の授業で先生におススメの本を何冊も紹介していただきましたが、残念ながら、未だに読む気がしません。
なぜかを考えたら、よく生きるために、死に向き合っている方もいると思いますが、自分の場合は、よく生きるために、生と真正面から向き合いたいと思っているからだと思います。
社会の中でいかに生きていくのかを考えるのに精一杯です^ ^
なるほど、そうでしたか。
「生きること」というのは向き合い甲斐があることですしね。
生に向き合う方法は一つではないと思いますから、留学生さん(勝手に短縮してしまいましたが、よろしいでしょうか…?)が「生」に関して色々な発見をされ、その度に目を輝かせるような素晴らしい驚きを得られることをお祈りしております。
祝福をいただきありがとうございます^ ^

名前が長くてすみません。
Corailと申します。よろしくお願いします^_^
Corailさんとおっしゃるのですね。
こちらこそ、何卒よろしくお願いします☺️
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