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運動の企画

日常、何気なく行なっていること。たとえば、目の前にあるカップに手を伸ばしてコーヒーを飲むこと。多くの場合は意識されないですが、自分からどのくらいの距離にあって、カップの中身がどのくらいの量で、というのを予測した上で、それにちょうどいい力を発揮するための”運動の企画”が行われ、その行為が実行されています。カップに並々とコーヒーが入っている場合は、こぼさないように意識的にゆっくりとカップを口元へと運ぶことが多いでしょう。

わたし達の行動は、記憶や経験を元にして起こります。カップになみなみとコーヒーが入っているにも関わらず勢いよく動かしてコーヒーをこぼしてしまったという経験をしたことがあれば、慎重にカップを持ち上げます。スマホでメールをチェックしながらカップへ手を伸ばすことができるのは、コーヒーカップがどこにあり、どのくらいの重さになっているか、というのを既に知っているからでしょう。

このように、何かの運動をする時には視覚や聴覚などからの情報を受けて、何をしたいかのゴール設定がされます。身体をどの方向にどのように動かすか、という計画を立てるためには、自分の身体がどのような状態で腕や脚などがどの位置にあって、などといった体性感覚からの情報も必要です。運動前野という脳の領域では、このような感覚情報を統合・処理して動作の企画や構成に必要な情報へと変換しています。また、補足運動野では、記憶に関わる領域と連携をして、これまでの経験に基づいてスムーズな運動をするための助けをしてくれています。

脳の中にある運動に関わるこびと(一次運動野)が脊髄にある運動神経へと司令を出すためには、このような”運動の企画”が必要です。そのためには、様々な情報が統合され、どのような運動にするのか、それをいつ、何をきっかけとして運動を開始するのか、といった情報として運動前野や補足運動野などから一次運動野へと送られています。ということは、運動を変化させるためには、一次運動野へ届く”運動の企画”を変えてあげる必要がありそうですね。

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