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オーガニックを邪魔しているのは誰?

先月、用事があって久しぶりにロサンゼルスを訪れたのですが、
いちばん感動したの、何だったと思います?

スーパーマーケットです、街なかの。

LAを中心に5ヶ所で展開する「Erewhon(エアウォン)」という
オーガニックフードのスーパーを現地の方に教えてもらい、
滞在中、何度も訪れては、そのたびにうれしさと興奮に震えながら山ほど買い物しました。

「Erewhon」は、綴りを逆にすると「Nowhere(少しだけ違うけど)」で、意外なことに、日本人の尽力によって設立されたのだそうです。
“マクロビオティックの神様”と呼ばれた、故・久司道夫さん。
ウィキペディアや故人のWebサイトを拝見すると、まさに人生をマクロビやオーガニックフードに捧げた人だということがよくわかります。

このErewhon、私が行ったアボット・キニーの店は、広大な倉庫っぽい雰囲気の店内にぎっしり、ありとあらゆる商品が並んでいました。
店内入口にはカジュアルでセンスのいい花売り場があって、奥にはいわゆる“惣菜”売り場。その奥には生鮮野菜の売り場が広がり(写真)、
さらに乳製品、精肉類、お茶やお菓子、ベイクフード、日用品やコスメ、
2019年からカリフォルニア州では合法化されたマリファナに至るまで(!)、
魅力的なアイテムが勢揃いしています。

これらがすべてオーガニックだとは……。
にわかには信じられない気持ちだったのですが、何度も行って商品を眺めていると、いくつかの発見がありました。

1.オリジナル商品の多さ

「Erewhon」のロゴが入ったおしゃれなフードアイテムが異常に多いことに気づきました。
日本のプライベートブランド(PB)って、これまでの私は

安く作るにはPBっていい方法なんだろな

としか考えてなかったんですが、
オーガニックのお仕事に携わる方々とやり取りするようになってわかったのは

誰も自分たちの望むものを作ることが出来ないから仕方なくPB

という策しか持てない人々もいるということ。
望むクオリティー、望むデザイン、望む販売形態を実現するには、
自分たちがブランドクリエイターやアートディレクターになるしかないみたいです。

2.マジメさもあざとさも内包

これまでの私は
オーガニックのブランドって

融通の利かない学級委員長みたいにマジメ一徹、でもダサい
か、
とにかく意識高い系ヨガ好き女子狙いのオシャレなだけ

の二派に分かれるものだと思い込んでました。炎上しそう。ごめんなさい。

古いアタマだったもので、「学級委員長とヨガ女子が共同作業を行う」というような図が想像出来なかったんです。
また、たまに「いいなぁ」と思う商品に出合っても、その価格の意味をちゃんと理解できてなかったようにも思います。
高いですからね、オーガニック。

Erewhonの商品って、
学級委員長が青い正論も叫びつつ
ユニセックスなおしゃれ感を混ぜ込んだデザインもうまくやる
みたいな感じのものが多かった。
値段はさまざまでしたが、
値付けの感覚としてはオオゼキとかマルエツ的な良心を相当感じました。
その証拠に、買い物客も千差万別。
刺青だらけのラッパーみたいな若者がいれば、
ホームセンターにいそうな普通のおじちゃんおばちゃんもいるし、
レジでコンブチャを買うオシャレさんの後ろには、牧草牛の塊を手にする大男、
みたいな光景があるわけです。

もちろん、Erewhonが現代アメリカの食生活の象徴だとは思いません。
オーガニックでない食品を疑いも持たずに口にしている人々もたくさんいるでしょうし、
米国西海岸がヘルスコンシャスの聖地だってことは有名な話です。
でも明らかに日本のそれとは、趣きが違う。
もう少しこう、「当たり前化」が進んでるように感じられたのでした。

オーガニック化の真の邪魔者は誰?

日本が、
オーガニックフードやコスメがなかなか一般化しない
なおかつ、
学級委員長すぎたり、女子度高すぎておじさんは手を出せない
……みたいな状態を脱出するにはどうしたらいいか。
一つには、たぶんみんな気づいてるんですが、
国がハラをくくり、不思議で危険な添加物や保存料を禁止してしまうことだと思います。

それをやると食品添加物屋さんが食べられなくなる?
それをやると合成保存料屋さんが困っちゃう?

事情はもちろんあるでしょうが、
日本の食の未来に食品添加物や合成保存料が必要不可欠だとは、どうしても思えない。
それに、近い将来、本当の食糧難時代が訪れたら、
食べられなくて困っちゃうのは、私たち。

しかし、国以上にオーガニックフードの進出を阻んでいるもの、
それはおそらく個人の姿勢です。

「エアウォン、最高に良かったよ!」といろんな友人に語りつつ、
先週末も化学調味料たっぷりのラーメンを食べてしまった私……。
学級委員長&意識高い系ヨガ女子の融合を謳う前に、
まずは、夜な夜な浮気を繰り返すダメ男みたいな食態度を続ける自分を律することが
切羽詰まった至上命題だとようやく気付いた次第です。

邪魔してるのは私でした。

オーガニックフードやコスメの利用者のパイの大きさを、今後圧倒的なものにしていかないと。
ちょっと社会派な自分を発掘できた貴重なロサンゼルス旅でした。

#料理 #オーガニック #旅 #スーパーマーケット

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フードトレンドのエディター・ディレクター。 「美味しいもの」の裏や周りにくっついているストーリーや“事情”を読み解き、お伝えしたいと思っています。

ありがとうございます、これからもどうぞよろしく!
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山口繭子/食の編集・ディレクション

【食の編集&ディレクション】『婦人画報』『ELLEグルメ』(ハースト婦人画報社)編集部を経て独立。明日食べるもの、行くべきレストラン、味わう酒について伝えたいことがあります。https://www.instagram.com/mayukoyamaguchi_tokyo/

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