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料理教室で何が身につく?にアンサーです

ずっと通い続けることは忙しくて叶わないものの、
たまに単発の料理レッスンに参加しています。
和食(がいちばん多い)、中華料理、フランス家庭料理、スイーツ、パン、タイ料理、魚の三枚おろし教室、キムチ作り教室など、
なんの脈絡もないままに、いろんなレッスンを受けてきました。
参加歴の割には、何も身についてないのですが。

料理好きでなくても想像がつくかと思いますが
たった一度料理教室に参加したくらいでは正直、
料理の腕が上がるというところまでは
到底到達できません。
いろんなレッスンに数多く首をつっこむより
一つの料理教室に長く通い続ける方がおそらく、
なんらか、形になるものをゲットできるんではないかと思います。

ならば私、
なぜひとつの教室に集中して通えないのかというと
それはひとえに

レシピ以外のエッセンス

を頂きに上がっているから、だと思います。

心血注いで試作を重ね、レシピを完成させて提供してくださる料理家の方々にはほんと、
ごめんなさい、と手を合わせつつ言うのですが
それ以外の“ディテール”の面白いこと、興味深いことったら。

カトラリーの収納法、クロスのたたみ方、
口直しに出す氷水に、輪切りライムと潰したミントの葉を放り込んだり(即席ハーブウォーター)、
お米を炊く際にひとかけらの氷を炊飯器に投入したり(究極のふっくらごはんに)。

なんですかこのおしゃれさ!

……と驚くこと、しきりです。
そんな、レシピ以外のディテールをスマホで撮影し、
そそくさとメモる私を見て
料理家はみな、怪訝そうな顔で
「こんなの、そんなに面白い?」とおっしゃるのですが、
言わせてもらえばみなさん、
ご自身の実力やセールスポイントをわかっていらっしゃらない!

あぁ、もったいない。
教室紹介のウェブサイト、勝手に書き直してしまいたいくらいです。
この教室で料理の腕は上がりますが、それ以上に“料理出来そう”というイメージが板につきます」とかね。

先週は出張でパリを訪れていたのですが、
在仏18年になる料理家の原田幸代さんに無理をお願いし、
パリのマルシェで食材を調達し、それをアパルトマンに持ち帰り調理してランチという、
我ながら、なんて楽しいコンテンツだ! とわなわなするような1日がありました。
最初の写真はマルシェの戦利品たちです。

マルシェ巡りが嵩じてガイドブックを出版したほどの原田さんです。
彼女にとっては、
夏の食材を様々な店で集め、パンと一緒に持ち帰り、食事を作るというのは日常の風景。

一方、参加した我々は、
弾けるような色彩を放つフルーツや野菜を自分たちで買い求め、
スペイン産やイタリア産との味や香りの違いを教えてもらい、
つやつやと輝くハムや卵、
テーブルに飾る花まで選んだのでした。
興奮しないわけがありません。

それだけに終わらず、作業台の位置がやたら高いパリのキッチンも
鍋敷き代わりに使う古いタイルも
フランス人にとっては珍しくもないというヴェルヴェンヌの茶葉で淹れるお茶も、
何もかもが強烈なインパクト。

オーブンを使わないフレッシュでクイックな料理を
簡単すぎて申し訳ない、などとおっしゃっていた原田さんでしたが
私たちのボルテージの沸騰を見て
次第に、パリのふだん着ごはんについていろいろと話をしてくれたのでした。

再度、冒頭の話に戻ります。
プロを目指すわけではない食いしん坊にとっては、

キッチンで過ごす時間って本当に素敵

と実感させてくれる、
それこそ、料理教室で得られる最大の気づきであり、醍醐味ではないでしょうか。

料理好きも、苦手な人も初心者も、
一度ぜひ、なんでもいいからレッスンにトライして、現場の空気を吸ってみていただけたらなぁと心から思います。

#料理教室 #料理 #パリ

フードトレンドのエディター・ディレクター。 「美味しいもの」の裏や周りにくっついているストーリーや“事情”を読み解き、お伝えしたいと思っています。