ただのFormula 2が好きなオタクが2023年のF2シーズン前半について語る

みなさんお久しぶりです。まゆすちゃんです。

2023年のF2も全14ラウンドのうち半分の7ラウンドが終了しました。予想通りチャンピオン争いをするドライバー、チャンピオン候補かと思われていながらシーズンの蹴りだしがよくなかったドライバー、逆に予想外の活躍をしているドライバー、とシーズン前に予想した展開と現在とでは違っている方も多いかと思います。
F1だと「どうせ紺色のクルマに乗るオランダ人が勝つんでしょ」と予想すれば大体当たってしまいますが、そうはなりにくいのがF2です。F1でオランダ国歌とオーストリア国歌が流れ続ける今、F2の魅力を少しずつ分かってきた方も増えてきたかもしれません。

今回は2023年のF2シーズンの前半7ラウンドを終えた段階での各チーム、ドライバーについて思ったことなどを書いていきます。
合わせて、筆者が2023シーズンが始まる前に書いた記事も併せて読んでいただけると展望や予想がどうなったかというのも楽しめると思います(ダイレクト宣伝)。
これはいつもの注意書きですが、筆者はただの一般人なのでチームやドライバーの内部情報とかは扱えません。一般人が知れる情報の範囲のみで書いていきます。
では、行ってみましょう。

各種データ

各ドライバーについてお話しする前に、私がデータを集計しているスプレッドシートにあるいろいろなデータを置いておきます。レース後にいつもランキングの即時集計をTwitterに投稿しているアレがベースになっています。

ドライバーズランキング(フィニッシュ順位)

ドライバーズランキング(獲得ポイント)

チームズランキング(獲得ポイント)

予選結果(ドライバーズランキング順)

予選結果(平均結果順)

スタートからフィニッシュまでの順位変動(ポジション)

チームメイト対決(予選)

チームメイト対決(スプリントレース)

チームメイト対決(フィーチャーレース)

各セッションのデータまとめ

獲得ポイント推移(ドライバーズ)

獲得ポイント推移(チームズ)

では本題へ。今回もカーナンバー順に各チーム、ドライバーごとに書いていきます。



MP Motorsport(MPモータースポーツ)
ランキング4位 - 97pts

昨年のチャンピオンチーム。ドライバーのラインナップで行くと総合力では2022年の2人(ドゥルゴビッチとノヴァラク)を上回る予想をしていたので、トップのPREMAからほとんどダブルスコアをつけられたのはかなり意外でした。しかもよりによってこの2人は昨年PREMAに所属していたドライバー2人。チーム力よりドライバー力が反映された結果なのでしょうか。
後半戦は2人揃って優勝争いを繰り広げるレースが増えるのか、特にハウガーがチャンピオン争いにどこまで加わってくるかが注目点の一つでしょう。


#1 Dennis Hauger(デニス・ハウガー)- Red Bull Junior Team(RBJT)
ランキング5位 - 57pts

正直に言うと期待外れというか、予想外のスロースタートになった感想が第一に出てきます。そして意外にもここまで表彰台は2回のみ。

しかし、彼の場合は自分のミスもありますが、それ以上に不運により失ったポイントがかなりあります。
レースペースがよかったサクヒールではフィーチャーレース(FR)をエンジントラブルにより失い、メルボルンのフィーチャーレースではマルタンスのミスにより追突され、ほぼ手中に収めていた3位を失いました。
予選ではジェッダとモンテカルロでアタックラップ中のレッドフラッグにより予選順位を失いましたが、レースでは挽回しモンテカルロのスプリントレース(SR)以外の3レースではポイントを獲得。モンテカルロは運も味方につけましたが、F3時代にリバースグリッドでも上位に上がってきたハウガーらしさが見られたように感じます。
ただ、バクーのスプリントレースのような普通に走れば優勝だったのにクラッシュした悪い意味でのハウガーらしさはどうにかしないと、最終盤でチャンピオン争いをしている場合は響いてくるかもしれません。

MPのマシンは昨年同様レースではかなり強いパッケージに見えるので、ハウガーとしてはなんとか予選で上位のポジションを獲得することが後半戦で必要になると思っています。逆に言えば、彼が予選でARTの2人に対抗できるような形になれば、チャンピオン争いはまた面白くなってくるでしょう。

余談ですが彼は数年前からポルシェカレラカップスカンジナビアにも数戦エントリーしており、先日のル・マン24時間レースと併催だったポルシェカレラカップフランスのル・マン戦にも出場していました。ハコ車でも上位争いをしていたのでいろいろ乗れる器用なドライバーかもしれません(レースではここでもぶつかってましたが・・・笑)。

マルタンスに追突され3位を失ったハウガー(メルボルンFR)


#2 Jehan Daruvala(ジェハン・ダルバラ)
ランキング11位 - 40pts

気づけばF2で4シーズン目のダルバラ、僕が今シーズン彼に注目していた点は「去年のMPの2台の間にあった差はドライバーの力によるものなのか、チーム内の体制差によるものだったのか」が彼の成績によって判明するのではないかというところでした。
このことは結論から言うと、MPチームの2台に多少の体制差はありそうなものの、同レベルのドライバーが乗れば2台でポイントを重ねられるのかなといった風に感じました。

しかしここまでの彼個人の成績に関しては「ダルバラだな・・・」といった感想。彼が去年のドゥルゴビッチのような活躍をしたりしたら面白かったのですが、まあ予想通りといいますか・・・。バクーのフィーチャーレースでの初歩的なミスと思えてしまうオーバーシュートなどでそう思ってしまったのが正直なところです。しかしジェッダでのダブル表彰台は見事でした。
といいつつも4年やってきたF2、1度くらいは彼が完璧に支配するフィーチャーレースも見てみたいです。

そういえばフォーミュラEのマヒンドラのドライバーが1人居なくなった今、リザーブドライバーの彼に白羽の矢が立つのかと思いきやF2とFEのスケジュールとFE側のルールの都合で彼を起用しづらいというところも運がないな・・・なんて思ったりもします。



Rodin Carlin(ローディン・カーリン)
ランキング5位 - 97pts

昨シーズン終盤にかけてF2、F3でそれぞれ勢いがあった2人がレッドブルジュニアとなってF2の強豪Carlinからエントリー!ということで注目していたチーム。
開幕してみるとこれまでの強みのレースペースは健在ですが、2台そろって予選のパフォーマンスが安定せず、後方グリッドになってしまったラウンドで大きなポイントを失ったシーズン前半だったように思います。そして以外にも優勝なし。
しかし、後半戦は前年このチームの2人が調子を上げたサーキットが続くので、怖い存在だと思います。てか絶対になります。


#3 Zane Maloney(ゼイン・マローニ) - RBJT
ランキング9位 - 48pts

ザ・ボーイ・フロム・バルバドス!!
昨シーズンのF3の終盤3ラウンドのフィーチャーレースをすべて勝利しその勢いのままF2も制圧してしまうのか?と思ったりもしましたが、F2フルシーズンの初戦はCarlinで18位。そこまで簡単にいかないのがF2なんだよね・・・なんて思った矢先、日曜日のフィーチャーレースでその考えはぶっ壊されました。
「後方スタートだからレース中ずっとバトルし続けてるのに、なんで彼だけタイヤが終わらないんだ?」18番手グリッドから3位でフィニッシュ。彼の担当エンジニアは角田やサージェントも担当し、18インチタイヤの申し子とでも個人的に言いたいMatt Ogleさん(のはず)なのを考慮してもとんでもないレースを見せつけられてしまいました。

ただその後のレースは2レースともポイントを獲得するか、ノーポイントかといった極端なレースが続いています。F3のときもこんな感じのシーズンでしたが、昨シーズンの終盤のように手を付けられないパフォーマンスを今シーズンのF2でも発揮できれば、チャンピオン争いには絶対に加わってくる存在のはずです。

地元バルバドスのラリーにも参戦していて、彼のInstagramでは華麗なドリフトの映像も見れたりします。レッドブルカラーのラリーカー(詳しくないので車種がわかりません・・・すみません)、カッコいいですね。バルバドスラリーのシャツ、いい感じなのでほしいんですけど買えませんかね・・・。

マローニの怒涛の追い上げ(サクヒールFR)


#4 Enzo Fittipaldi(エンツォ・フィッティパルディ) - RBJT
ランキング7位 - 49pts

「2年目の上位チームへの移籍」、アイロットとなれるかドゥルゴビッチのようになってしまうのか、と勝手にシーズン前に見立てをしていました。
シーズン前半の成績だけを見るとあまり上手くいっていない、いわゆるドゥルゴビッチパターンに近いかなぁ・・・といった印象ですが、彼も安定感、一貫性が足りないだけのように思います。
ただ、メルボルンはスプリントレースでは濡れた路面状況の中レコノサンスラップでクラッシュし出走できず、フィーチャーレースではSC中のピットアウト直後にスピンしウォールにヒット、ダメージを追ったまま走行し、クラッシュしたニッサニーの車両を回収している場所へあわやクラッシュという場面も見られたので、彼の中の焦りもかなり見られたように思います。

予選では2度の2位、しかしそれ以外のラウンドでは13位以下という極端な成績になってしまっています。ただ、予選2位を獲得したラウンドのフィーチャーレースはどちらも2位でフィニッシュできています。
フィーチャーレースをグリッド通りの順位で終えられることはシーズンを通して非常に重要だと思っているので、チームメイトに対しても言えますが予選のパフォーマンスを上げられれば、と思うシーズン後半への展望です(まああのCharouzで予選2位に来るドライバーなので心配する必要性はないと思いますが・・・笑)。

あわや大惨事となったフィッティパルディのクラッシュ(メルボルンFR)



ART Grand Prix(ARTグランプリ)
ランキング2位 - 144pts

例年1台が優勝争いを繰り広げる一方でもう一台は不運や中段に沈むことが当たり前になりつつあったフランスのチーム。しかし昨年は中盤戦から2台が好調なパフォーマンスを発揮し始め、今シーズンは「ARTの2台目の呪い」は解けたように思いました(呪いが解けてたとしてもやらかしまくってますが・・・)。
今シーズンのこのチームの特筆すべきは予選。ここまでの6回の予選すべてでトップ10に入ったのドライバーはARTの2人のみ。プルシェールに至ってはすべて5位以内に入っています。
しかし、なぜこのような圧倒的な予選結果からフィーチャーレースの好結果にうまく繋がらないのか・・・。この状況がシーズン後半も続いてしまうとドライバーズ、チームズチャンピオン争いにとっては大きな痛手となるでしょう。しっかりと予選結果に見合ったレースをすることが彼らのミッションだと思います。


#5 Théo Pourchaire(テオ・プルシェール) - Sauber Academy
ランキング2位 - 99pts

結局3シーズン目のF2を行うことにした19歳のフランス人ドライバー。今年はチャンピオンを獲るしかないシーズンです。

開幕戦のサクヒール、2位に0.7秒差をつけての圧巻のPP、フィーチャーレースでは2位に約20秒の差をつけての圧勝。「これは3年目のF2をやって正解だったなー」、なんて思った矢先、続くジェッダではスプリントレースで明らかなオーバースピードでベアマンに突撃。「いやいやあなた3年目ですやん。」これが正直な感想。バクーのスプリントレースではハウガーとマルタンスの大やらかしの陰で彼もひっそりとターン1を曲がり切れず停車してたり。

昨年のドゥルゴビッチが3年目のF2だったので、今シーズンのプルシェールはどうしても彼と比較してしまうのですが、このままじゃチャンピオンはほかの誰かが奪っちゃうんじゃないかなぁという本音。
ドゥーハンやハウガー、上位チームのルーキーといったタイトル争いに加わると予想されたドライバーたちがスタートダッシュをうまく切れなかったのでポイントランキング上はまだまだチャンピオンを狙える場所にいますが、彼らが本領発揮してくるとなると、より賢いレースをしないといけないと思います。昨シーズンのような終盤戦を今年も過ごしてほしくはありません。

プルシェールの「焦り」が見えたようなクラッシュ(ジェッダSR)

#6 Victor Martins(ヴィクトー・マルタンス) - Alpine Academy(AA)
ランキング10位 - 45pts

2022年のF3王者マルタンス。F2でも大暴れしてくれるとは思ってましたが想像の数十倍大暴れしています。

まず、彼の平均予選順位は3.8位。これより上にはチームメイトのプルシェール(2.8位)しかいません。しかし獲得ポイントはたったの45。予選結果とフィーチャーレースの結果があまりにも結び付いていません。
サクヒールは1周目の混乱だったので正直仕方なかったです。しかし問題はここから。ジェッダではトップ走行中に単独スピン、メルボルンでは4番手走行中の残り3周でハウガーに追突し最下位へ。バクーは普通にレースしたかと思えばマシンが車検不合格で失格。モンテカルロでは2番手を走行も、あわやマーシャルを轢いてしまうという危険なインシデントでペナルティ、レースディレクターの不手際に助けられポイントは獲得できましたが、フィーチャーレースの初入賞は第6ラウンドのモンテカルロが初ということになりました。

しかし、ARTのマシン特性もあってかスタート直後の数周でガンガン順位を上げてくるのは見ていて楽しいです。サクヒールやジェッダのスプリントレースでは猛烈な追い上げでタイヤ終わらせたんじゃないか?と見ていて思っても、何故か最後までペースを維持して走りきるのはF3から変わらないですね、ピレリタイヤ七不思議の1つでしょうか。笑

バルセロナでは2レースともに3位でフィニッシュ、フィーチャーレースでは今回もタイヤをうまくマネジメントしてポジションを上げました。落ち着いてレースをすればしっかり結果を持って帰ってくることは証明できているので、後半戦も予選結果はそのままに、レースでしっかり予選に応じた結果を残すことができれば、と思います(ここまでの12レースでスタート順位からフィニッシュ順位を最も落としたドライバーはマルタンスというデータもあります)。

トップ走行中に単独スピンを喫したマルタンス(ジェッダFR)


PREMA Racing(プレマレーシング)
ランキング1位 - 180pts

F1を目指すカテゴリをあまり知らなくても名前は聞いたことがあるであろうイタリアのチーム。2022年は2人のレッドブルジュニアを擁してのエントリーでしたがシーズンを通して3勝、チームランキングは4位と、それ以前の2年と比べるとかなり見劣りした成績となってしまいました。
立て直せるかと注目の今シーズン、開幕戦のサクヒールをノーポイントで終えるというまさかの船出でしたが、そこからの10レースで6勝をマークし、バクーとバルセロナでは全セッションの1位をこのチームが記録。「はいはいプレマプレマ」といった状況になりつつあります。
後半戦もこの勢いが続くとなると、チームメイト内の激しい争いが注目されることとなりそうです。


#7 Frederik Vesti(フレデリック・ヴェスティ) - Mercedes Junior
ランキング1位 - 110pts

今シーズンが始まる前に書いた記事で、私はこんなことを書いていました。

昨シーズンで優勝争いしたラウンドのようなパフォーマンスを今シーズン常に発揮できればチャンピオンを争えると思います。

https://note.com/mayusumaple/n/n4d3e2900890b

まさにこれをしっかり実行しているのが今年のヴェスティです。現にポイントリーダーとなっていますし、昨年同じチームで走って大敗したプルシェールを上回っているのは興味深いです。

開幕戦のサクヒールでは彼らしくないミスでクラッシュの原因となってしまいましたが、それ以降のレースは冷静に、そしてフィーチャーレースでしっかりとポイントを獲得するレースをしています。
ジェッダのフィーチャーレースではマルタンス、そしてチームメイトのベアマンにプレッシャーを与えた結果きっちりと勝利を収めました(これが彼自身初のフィーチャーレースでの優勝だったのは少し意外)。メルボルンのフィーチャーレースでは予選の失敗をプライム-オプション(ハード側のタイヤでスタートし、ソフト側のタイヤを後半に使う)の戦略でカバー。モンテカルロのフィーチャーレースでは非の打ちどころがない完璧なレースでF2モナコウィナーに加わりました。

後半戦もこの調子を維持できればチャンピオンの第一候補と言えると思います。特に前半戦でレースの勝ち方を知っているのは非常に大きな要素になりそうです。
また、バルセロナがそうだったように、グリッドが前の方でもプライム-オプションのストラテジを取ってきたりと、ポイントリーダーながら守りに入らない戦い方も仕掛けてくるところにも注目していきたいですね。


#8 Oliver Bearman(オリバー・ベアマン) - Ferrari Driver Academy(FDA)
ランキング4位 - 70pts

暴れん坊なイメージがなんとなくついてしまっている気もする18歳のイギリス人ドライバー。今シーズンのルーキー最上位のドライバーズランキング4位ですが、彼のここまでのシーズンは「0か100」という言葉で表現できるでしょう。

デビュー戦のサクヒール、フィーチャーレースでは1周目の混乱の回避とピットストップのタイミングが功を奏し上位に進出も、F2ルーキーでは見慣れた光景ともいえるロックアップ連発でタイヤが終わってしまい14位、ジェッダでは3位つけながら単独スピンで獲得できたポイントは1のみ。メルボルンのフィーチャーレースではハイテックによるローテックなピット作業によりタイヤがパンクし6番手グリッドが台無しに。

ここまで不運続きのベアマンが輝いたのは彼にとって初レースのバクー。プラクティスでトップタイムを記録すると、予選ではマシンを壁にあてた際にステアリングのセンターがズレてしまうという状況の中ポールポジションを獲得。
リバースグリッドのスプリントレースは順位を上げていき、最後の「大虐殺」を潜り抜け、チームメイトをオーバーテイクし10番手から優勝。1番グリッドからのフィーチャーレースは他を寄せ付けずこちらも優勝。
2レースともに勝利は2022年にドゥルゴビッチが達成しましたがこちらは予選が10番手だったので、PPからのダブルウィンとなると2016年のバクー、プレマのアントニオ・ジョビナッツィ以来、週末の全セッションでトップとなると2012年のサクヒール(1)、DAMSのダビデ・ヴァルセッキ以来11年ぶりの記録となったようです。
モンテカルロは予選がうまくいかず無得点で終えましたが、バルセロナではポールポジションとフィーチャーレースでの優勝を再び記録しました。

彼がここまで獲得した70ポイントの内65ポイントはバクーとバルセロナの4レースのみで稼いだポイントとなります。この2ラウンドのようなパフォーマンスを常時発揮できてしまうととてもとても恐ろしい存在となるのは間違いないでしょう。

ステアリングが曲がった状態でトップタイムを記録したベアマン(バクー予選)



Hitech Pulse-Eight(ハイテック・パルスエイト)
ランキング8位 - 42pts

おそらく今一番話題のチーム。ですが話題になっている理由に関しては、そちらのジャンルに詳しい方が解説してるでしょうしここでは省きます。

今シーズン唯一のルーキードライバーを2人起用したチーム。昨シーズンは予選で上位につけるものの、ドライバーとチームのミスが重なりフィーチャーレースは0勝という厳しいシーズン、リバースグリッドを上手く活かしスプリントレースではアームストロングとヴィップスで4勝をしましたが、今シーズンも似たような成績でここまでの現状はスプリントレースでの3度の表彰台のみにとどまっています。
そして今シーズンのここまでのこの結果も、この2人のラインナップでこうなることを予想した人は多くないと思います。筆者の中ではアジャーとクロフォードの印象がF3の頃と大きく変わりました。
フィーチャーレースで大きなポイントが欲しいチームとしては、やはりピット作業の改善が必要なのではと素人目にも思ってしまいます。


#9 Jak Crawford(ジャック・クロフォード) - RBJT
ランキング15位 - 24pts

F3では正直あまり強い印象がなかったアメリカ人ドライバー、まだまだ若い18歳です。

開幕戦はレースペースも上がらず後方争い、続くジェッダでは予選の赤旗のタイミングを味方につけリバースPPを獲得するも、やはりレースペースは苦しくフィニッシュライン直前でハウガーに追い抜かれ9位、最初の4レースをノーポイントで終えることに。
しかし起点となったのはメルボルンから。ここからの4ラウンドはすべて予選で7位か9位に、すなわちリバースグリッドのスプリントレースで上位が狙えるグリッドを獲得したことで、メルボルンからの3ラウンドのスプリントレース全てで表彰台を獲得しています。

スプリントレースでうまくポイントを稼いでいるドライバーの典型的な例とも言えるので、フィーチャーレースでの好成績を残すことが彼がランキング上位に加わるために必須な要素になります(ここまでのフィーチャーレース最上位はバクーとモンテカルロの9位)。


#10 Isack Hadjar(イザック・アジャー) - RBJT
ランキング16位 - 18pts

デビューイヤーからF3でチャンピオン争いを繰り広げたフランス人。
F3とF4の間に位置する「フォーミュラリージョナルヨーロピアンチャンピオンシップbyアルピーヌ(以下FRECAと表記する)」もルーキーシーズンで年間5位、F3もデビューイヤーで4位とマシンの適応能力にも長けているといった印象を持って視聴していた今シーズンのF2。
しかしシーズン前半戦、ここまでの彼のF2シーズンは僕が思っていた、もちろん彼自身が思っていたものとは大きく違っていたでしょう。

予選でトップ10に入れたのはメルボルンとモンテカルロの2度のみ。
しかし、メルボルンではフィーチャーレースで上位につけるも、ニッサニーとの接触(「ピーーーーーニッサーニ!!!」)で後方に沈む。
グリッドが全てと言えるモンテカルロでは予選10番手でスプリントレースはポールポジションからのスタート。しかし本当に運が無い今シーズンの彼、エンジントラブルにより優勝が確実なレースを失うことになりました。

しかしレースクラフトには優れた能力を持っているはず。予選順位が後方となったサクヒール、ジェッダ、バクーのフィーチャーレースでは、優れたタイヤマネジメントで3レースともトップ10まで挽回しポイントを獲得。特にデビュー戦のサクヒールでは、ルーキーのみならず経験者すらタイヤに苦しむ展開で彼らより上の順位でフィニッシュしたことはとても大きかったと思います。

後半戦ではチームメイトとは対照的に予選での好結果を残せれば、持ち味のレースクラフト、タイヤマネジメントで優勝争いに加わってくるドライバーだと思っています。
あと印象に残る絶叫無線も、もしパフォーマンスに悪影響があるのなら感情のコントロールなどのメンタル面でも強くなる必要があるのかもしれません。

「ピーーーーーー!!ニッサーニ!!」(メルボルンFR)



DAMS(ダムス)
ランキング3位 - 118pts

岩佐歩夢とともに再び優勝戦線に帰ってきたフランスの名門チーム。今シーズンは戦えるドライバー2人を起用したことで、チャンピオン争いに加わってくるかが注目ポイントでした。
開幕前にお互いのドライバーの関係性があまり良くないのでは?という緊迫したムードも感じながらの序盤戦でしたが、現在はドライバー2人だけでランチに行くまでの関係性となっているようです。
「チームのみんなでDAMSを良くしていこう」といった雰囲気を感じ取れるこのチーム、後半戦は2人のドライバーがチームとともにさらにパワーアップしてくるのではと注目しています。


#11 Ayumu Iwasa(岩佐 歩夢) - RBJT
ランキング3位 - 82pts

DAMS復活へ重要なキーとなる人物の1人と言えるでしょう。今シーズンの彼はさらに賢く、冷静に立ち回っていると思います。それはコースの内外両方で。

大きな期待感を持って挑んだであろう開幕戦サクヒール。そこにあったのはART2台のとんでもない速さとタイヤが終わらないRodin Carlin、そして何故かめっちゃ速いボシュン。フィーチャーレースの終盤でタイヤが終わった岩佐はデビュー戦のチームメイトや、同じレッドブルジュニアのマローニやアジャーらに先行を許してのフィニッシュとなりました。
しかしここで何がダメだったのかを解決しようと懸命に努力するのが彼です。ジェッダでも状況はあまり好転しませんでしたが、自分のマシンの特性を理解し、それを最大限に活かせる走り方でスプリントレースを勝利。
メルボルンではスプリントレースは接触により後退。しかし、残りのレースを翌日へのテストと見立ててデータを集め、その結果が実を結んだかフィーチャーレースでは誰も寄せ付けない走りでポールポジションから優勝を果たしました。
モンテカルロは予選でのミスをスプリントレースの優勝でしっかりカバー、フィーチャーレースもベアマンを一発で仕留める綺麗なオーバーテイクが昨年からの成長を感じさせましたし、バルセロナではタイヤの状況が圧倒的に不利なヴェスティ相手にポジションを守り切るといった「うまさ」が光りました。

この記事を書いている際に彼がインタビューで話していた、「DAMSはPREMAやARTに比べて何が足りないのか、どうすればそこで彼らに追いつけるのか」といった内容ですが、今の彼らならこれらを実現してくると思っています。昨シーズンに調子を上げてきたサーキットが続く後半戦、日本人としても、地元が同じ守口の人間としても、世界中のファンも岩佐歩夢に注目せざるを得ないF2となること期待しています!

モンテカルロでの「メガ・オーバーテイク」(モンテカルロFR)


#12 Arthur Leclerc(アルチュール・ルクレール) - FDA
ランキング13位 - 36pts

暴れん坊のイメージがついている気もするフェラーリ育成、2人目。F2チャンピオンでF1ウィナーのチャールズの弟です。
シーズン開幕前、日本ではチームメイトとのデータ共有に好意的ではないという話で話題になるという珍しいパターン。まあチームメイトと彼のラストネームと話題になるのもわかりますが・・・。

前半戦を振り返ると以外にも予選でトップ10に入ったのはサクヒールとメルボルンのみ。メルボルンでは2レースともに入賞を果たしフィーチャーレースでは自身初の表彰台(3位)を記録しました。
F3時代からアグレッシブなドライビングをする印象がありますが、マルタンス同様彼もタイヤのマネジメントに関しては悪くないのかもしれません。サクヒールでは幾度とないロックアップも同じ戦略のチームメイトより上の順位でフィニッシュ。さらに、予選でトップ10圏外となった4レースもリタイヤしたモンテカルロ以外のフィーチャーレースでは全てトップ10まで順位を上げポイントを獲得しています。

F3時代は他車との接触のイメージがついている方もいるかと思いますが、F2に来てからはそれほど目立ったミスはモンテカルロの予選でのクラッシュくらいしかないように記憶しています。細かいミスで言うと、ジェッダの予選での壁へのヒットや、バクーのスプリントレースの「大虐殺」の1人となったくらいでしょうか。
チームメイトとともに絶好調だったメルボルンのようなラウンドが後半戦に増えてくれば、同じFDAのベアマンとの戦いも注目ポイントになってくるかと思います。

初表彰台を獲得したレース後の無線(メルボルンFR)



Invicta Virtuosi Racing(インビクタ・ヴィルトゥージ・レーシング)
ランキング9位 - 40pts

悪い意味で今シーズン最も予想を裏切ってきてしまったチーム。昨シーズンこのチームで3勝を挙げたドゥーハンとシーズン終盤にはポイント争いの常連となったコルディールのコンビは、チームランキング6位という昨シーズンの成績から向上すると思っていました。
しかし、昨シーズンPPを獲得したサクヒールでは予選は15位と17位、両レース無得点で終える悲惨な出だし。ここまでの12レースで獲得したポイントはドゥーハン1人によるたったの40ポイント。例年片方のドライバーだけが上位争いをすることでおなじみのチームですが、速いほうのドライバーも優勝争いが出来ないようじゃ・・・。
シーズン中に行われたバルセロナのテストで浮上のきっかけを見出したように思えるので、ここからの反撃ができるかが注目です。


#14 Jack Doohan(ジャック・ドゥーハン) - AA
ランキング12位 - 40pts

同じチームで2シーズン目を迎えるパターンで成功した例といえばミック・シューマッハが浮かぶでしょうか。昨シーズンと同じチーム、Virtuosiで2シーズン目のF2となったドゥーハン。2022年のF2を知る人なら彼は間違いなく今年のチャンピオン争いに加わってくるドライバーだと思っていたはずです。しかし、フタを開けてみればシーズンの半分が終わった段階でポイントリーダーとは3倍近いポイント差をつけられた状況に。

昨シーズンPPを獲ったサクヒール、もちろん今年の開幕戦のPP候補の一人として注目されて当然の彼の順位はまさかの17位。チームメイトのコルディール(15位)より下の結果に終わってしまいます。
「クルマに全く自信が持てない」という話が本人側から出るほどの状況。データを見るとシャシーを変更してみたり、インシーズンテストでもいろいろ試したりと、改善の糸口を探していることが伺えました(テストでは昨年と同じセットアップにしても同じようなデータが得られないような状況があった模様)。

インシーズンテスト後に行われたモンテカルロ、バルセロナでは問題を原因を突き止めたのか、予選は4位と3位、レースではクラッシュしたモンテカルロのフィーチャーレース以外の3レース全てでポイントを獲得しました。
ただ、このモンテカルロでのクラッシュで使用していたシャシーを壊してしまったようですが、シャシーを変更したバルセロナでも上位につけていた事を考えると、シーズン序盤の状況は改善したのではともとれるでしょう(バルセロナで使用したシャシーは絶不調だったサクヒールで使ったものと同じ025番)。ですから、ここからどこまでチャンピオン争いに加わってこれるかが注目点でしょう。


#15 Amaury Cordeel(アマウリー・コルディール)
ランキング21位 - 0pts

シーズン開幕前から法定速度違反でお騒がせしたベルギー人ドライバー。レースのライセンスに影響はなかったようでなんともなく出場しています。

昨シーズンは終盤の6レースで4回入賞、フィーチャーレースでは全てポイントを獲得しました(ザントフォールトとモンツァはリタイヤの台数やSCのタイミングに助けられた面もありますが)。
その流れを持って、チーム的にも昨年所属していたVARよりも上位とされるVirtuosiに移籍してきた今シーズン。ここまでの最上位は11人しかチェッカーフラッグを受けられなかったバクーのスプリントレースでの9位、ということで無得点でシーズン前半を終えたことになってしまいました。
チームとしてマシンが改善してきた兆しが見えたバルセロナでは予選で10位に入りスプリントレースのPPをゲットしましたが、このスプリントレースではスタート直前にまさかの雨。この雨は彼にとって恵みの雨とはならず、どんどん順位を下げ、トラックリミット違反を取られ5秒のペナルティ。さらにピット作業の際にペナルティを履行しなかったとしてさらに10秒のペナルティと、思い出したくないような展開となってしまいました。

ここは前述したとおり1人のドライバーのみが上位争いすることが定番と化しつつありますが、もう1人のドライバーが無得点で前半戦を終えることはありませんでした(昨シーズンの佐藤も前半戦終了時点で6pts獲得している)。
ただ、今シーズンの彼はまだ自らのミスでレースをリタイヤしていません(2度のリタイヤはそれぞれ接触されクラッシュとトラブル)。マシンのパフォーマンスは改善されつつあるので、ドゥーハンと同様に調子を上げ、ミスなくレースをまとめて入賞、あわよくば表彰台を争える位置に来ると面白くなってきそうです。

PPスタートもウェットコンディションに苦しんだコルディール(バルセロナSR)



PHM Racing by Charouz(PHMレーシングbyチャロウズ)
ランキング11位 - 0pts

素人目に見ても経営がやばそうだったCharouzがイタリアF4や今は亡きADAC F4、中東リージョナルなどで活躍するPHMレーシングと提携し誕生したチーム。しかし、マシンのオペレーションはCharouzが行っているままなので成績の向上はあまり期待していなかったのが正直な感想(逆に資金面などマシンオペレーション以外の運営面はPHMがやっているのかな?)。

2人のドライバーはCharouzがPHMと提携とする前に契約したので、明らかに持ち込み資金が目当てといったラインアップになっています。
昨シーズン、チームの獲得ポイント(130pts)のうち97%を獲得したフィッティパルディのようなパフォーマンスが2人のドライバーにあるかと聞かれると「Yes」とは言えないのが正直なところなので、苦戦を強いられるとは予想していましたが、予想通りといった形になってしまいました。
ただローズゴールドのカラーリングは個人的にはカッコいいと思うので、クラッシュ以外で映る機会が増えてほしいです。


#16 Roy Nissany(ロイ・ニッサニー)
ランキング20位 - 0pts

F2をあまり知らない人でも何故か名前が知れ渡っているイスラエル人ドライバー。今年はウィリアムズF1チームの開発ドライバーではなくなりました。
F2レースの出走回数はここまでで105回の歴代2位(1位は後で出てきます)、全て現在使われているシャシー「F2 2018」で出走したレースのため、このシャシーを最も知っているドライバーのはず・・・なのですが今シーズンはここまでノーポイント。

2年間在籍したDAMSでは3位表彰台と予選2位という好結果を記録してこのチームにやってきたわけですが、かなり厳しい戦いを強いられています。
チームメイトと比較するとニッサニーなりにマシンの性能を引き出していることは感じて取れますが、ポイントへの壁が厚い(ポイント圏内まであと1つの順位でのフィニッシュが3回)。
そしてドライビング。バトルでは絶対に引かないのは健在で、SCのタイミングで上位を走行していたメルボルンのFRではフィッティパルディ、アジャーに対して「抜けるもんなら抜いてみろ」とも見えるような激しすぎる戦いがありました。
それと未だに起こしてしまう単独クラッシュ。メルボルンのFRでもバクーのSRでも、レースの流れを変えるSCの原因となるクラッシュを起こしているのは彼です(ニッサニーが出したSCはリスタート明けにハウガーとマルタンスがクラッシュする、なんてジンクスが出来上がってしまっています)。

現状では彼がこのチームを引っ張っていくしかないのかもしれないので、昨シーズンのチームメイトだった岩佐から学んだものを活かしたりして、シーズン後半ではポイントを獲得するなどが考えられるミッションでしょうか。

昨年好成績を収めたイモラが中止になってしまったのは残念でした。ここなら「時々びっくりさせられるニッサニー」の通りポイントを獲れるんじゃないか・・・と少し期待していたのですが。

(アジャーの項と被りますが)ニッサニー大暴れの回(メルボルンFR)


#17 Brad Benavides(ブラッド・ベナビデス)
ランキング22位 - 0pts

F3の成績は入賞1回(8位)でF2にステップアップしてきたドライバー。AIX Investment Groupというドバイの投資会社をスポンサーにつけシートを獲得。マシンのカラーリングを変えるほどの大きなスポンサーです(「PHMレーシング」のカラーリングはF3やイタリアF4ので使われている白、紺、オレンジ)。
今シーズンの成績はというとギリギリF2レベルにいるくらい、といった見方が正直なところ。デビュー戦の予選でニッサニーを上回ったのは驚きましたが、レースではやはり差が出ました。

雨予報があったメルボルンのスプリントレースではSC中にウェットタイヤに交換。隊列に追いつこうとしている最中にクラッシュ。バクーでは予選アタック1周目のターン1でウォールへクラッシュ。
バルセロナのフィーチャーレースでは7度のトラックリミット違反でトラックリミット違反のみで10秒のストップ/ゴーペナルティまで科されてしまいました(これより重い処分は失格のみ)。

マシンに慣れてきて荒れた展開で生き残ってポイントを獲得できるようなことがあるかなといった現在の感想。ただ、昨シーズンのコルディールのように、シーズン終盤に覚醒する可能性も否めないので楽しみにしたいと思います。

ブレーキとタイヤが冷え難しいターン1でのクラッシュ(バクー予選)



Trident(トライデント)
ランキング10位 - 9pts

昨シーズンはフェシュホーの活躍で1勝を含む4度の表彰台を獲得したイタリアンチーム。しかし今シーズンはその大活躍の面影もなく、再び後方で苦戦するシーズンとなっています。

2022年はF2チャンピオンのチームメイトとして1シーズンを過ごしたノヴァラクとF3ウィナーのスタニェク、2人共にF3時代はTridentで好成績を残したコンビでここまで獲得したポイントは9ptsのみ。さらにここまでのこの全ての入賞が多数のリタイヤやレースコントロールの不手際によるアドバンテージが助けてくれたものというもので、実力で勝ち取ったものとはすんなり言いづらいものです。
昨シーズンの活躍とまでは言いませんが、2人のドライバーの力的にももう少しポイント争いに加わってほしいところです。


#20 Roman Staněk(ローマン・スタニェク)
ランキング17位 - 7pts

チェコ出身のF2ルーキーはまだ19歳。F3は3シーズン出走しましたがF4を1年しか走っていないので4輪キャリアで言うとまだ5年目です。

デビュー戦でいきなりTridentで予選9位を記録し、フェシュホーの後継者かとも思いましたが、リバースグリッドでフロントロウのスプリントレースではやはりレースペースが厳しく入賞圏外へ。
メルボルンのフィーチャーレースでは10位フィニッシュもSC中の追い越しによるペナルティで初入賞はお預けに。
フィニッシュ台数11台の大荒れのバクースプリントレースで8位フィニッシュ、初入賞を記録するもレース中のミスでポジションを下げたことによる悔しさが勝ったという本人の声もありました。
モンテカルロではSCのタイミングが味方しフィーチャーレースで初の入賞。オーバーテイクが至難なモンテカルロ、最速チームともいえるのARTのマルタンスを抑えきり7位を記録しました。

この位置を走るドライバーではないと思っているので、将来につなげるためにも今シーズンのF2は用意されたパッケージで最大限のパフォーマンスを発揮し、フェシュホーのように注目されるパターンに近いことができると面白そうです。


#21 Clément Novalak(クレモン・ノヴァラク)
ランキング19位 - 2pts

昨シーズンはチャンピオンを獲得したドゥルゴビッチのチームメイトとしてF2に参戦していた彼。ドゥルゴビッチとは予選で全敗、獲得ポイントも6倍以上の差をつけられてしまいましたが、今年のMPと彼の成績を見ていると、2022年のMPの2人のドライバーの間に力量差があったことは否めないことになります。

F3を見ていると悪いドライバーには思えなかったノヴァラク。優勝はありませんでしたがコンスタントにポイントを重ね年間3位、今年はそれを記録したTridentでのF2になりましたが、ここまでは11人しかチェッカーを受けられなかったバクーのスプリントレースでの7位で獲得した2ポイントのみ。予選もジェッダでの11位が最高位で、前半戦の正直な感想は昨年よりもインパクトの残らない結果となっているというところです。

昨年はフィーチャーレースでのプライム-オプションのストラテジでポイントを稼ぎましたが、レースペースが強力ではない今シーズンは予選トップ10に食い込んでスプリントレース上位を獲得することがポイントを稼ぐ近道かもしれません。

Screaming Mealsという動画やポッドキャストを配信しているチャンネルではインディカードライバーでF2ウィナーのマーカス・アームストロングと共にレースをはじめ様々な映像、音声コンテンツを届けています。アームストロングが参戦しているインディカー方面に舵を切る可能性もあるのでは?と個人的には思っています。



Van Amersfoort Racing(ファン・アメルスフォールトレーシング)
ランキング7位 - 55pts

F2では新顔のVan Amersfoort Racing、通称VARですが、ジュニアフォーミュラでは長い歴史を持つオランダのチームです。

フェシュホーが乗るならまあ上位争いするんじゃね?といった楽観的な予想は見事に的中。しかし大ケガから回復し4年ぶりのF2参戦となったコレアは前半戦は苦戦気味でフェシュホーのポイント差は10倍となってしまっています。昨年ヒューズ、コルディール、ベックマンと3人のドライバーが獲得したポイント数がほとんど同じだったこのチームは両方のマシンに同じような戦闘力を与えられるとも考えられるので、コレアの活躍次第ではさらにランキング上位を狙えそうです。
ここまでの3/4のレースでポイントを獲得していますが、F2では未だに表彰台を獲得できていません(厳密には表彰台には2022年のジェッダSRでヒューズが3位を獲得し登ったが、レース後の車検で失格となった)。F2での初表彰台、初優勝を今シーズン飾れるかが注目ポイントです。


#22 Richard Verschoor(リチャード・フェシュホー)
ランキング6位 - 50pts

気が付けばF2で3シーズン目のフェシュホー。MP、Charouz、Tridentとチームを渡り歩きすべてのチームでポイントを残し、1戦のみエントリーのCharouz以外では優勝も飾っている現代のF2職人はVARでもその仕事ぶりは変わりません。

彼の強みは何が起こっても絶対にフィーチャーレースでポイントを持ち帰るところです。
開幕戦のサクヒールのフィーチャーレースでは1周目の混乱に巻き込まれスピン。予選3番手が台無しになってしまったかと思いきや、とんでもない追い上げで最後尾から5番手までカムバック。
予選でスピンを喫し20番手スタートとなったジェッダでも6番手まで挽回。
モンテカルロではスプリントレース、フィーチャーレース共に4位でフィニッシュなど、今シーズンここまで6回のフィーチャーレース全てでポイントを獲得しているのはフェシュホーのみです。というか昨シーズンのブダペストから11回連続でフィーチャーレース入賞中という記録が続いています。

彼の手にかかればVARのF2初優勝もそう遠くないでしょう。VARでタイトル争いに加わってくる可能性もゼロではないので、フィーチャーレースの連続入賞記録と共にぜひ注目してみてください。

スタート直後のスピンから怒涛の追い上げ(サクヒールFR)


#23 Juan Manuel Correa(ファン・マヌエル・コレア)
ランキング18位 - 5pts

不屈の男、J.M.コレアが再びF2グリッドに戻ってきました。2019年のスパ、フィーチャーレースでの悲劇的な事故をリアルタイムで見ていたものとしては、彼にはF2初優勝を挙げてもらい天国のフランス人ドライバーにいい報告ができた、のようなストーリーにも期待しているのは確かです。

しかしここまで彼は5ポイントを獲得し前半戦を終えました。正直なところ、彼の乱暴気味なドライビングは変わっていないように思います。
メルボルンのSRではドゥーハンと、モンテカルロのSRではコルディール、バルセロナSRではスタニェクとそれぞれ接触。全てコレアが他車に当ててスピン、クラッシュに追い込んでしまっています。2019年のF2を見ていた人なら分かるかと思いますが、当時から彼は接触が多い(例としてル・カステレFRでのvs松下)ドライバーでしたし、ここ2年のF3を見ていてもそう思えるような際どいシーン(例として2022年バルセロナFRでのvsルクレール)があったかと思います。
大きな事故を経験しても本質的には変わらないのは、良くも悪くも「レーシングドライバー」なのかなとは思いますが・・・。

こうはいってもやはり優勝するところは見てみたいと期待はしています。まずは予選でトップ10に入りレースで上位のグリッドから争うところを見たいですね。



Campos Racing(カンポスレーシング)
ランキング6位 - 82pts

昨シーズンはチームランキング最下位に終わってしまったスペインの名門チーム。まだシーズンは半分しか終わっていませんが、このチームは前半戦の中にも前半と後半がしっかり分かれたようなシーズンとなった感じがします。

開幕戦のサクヒール、スプリントレースではラルフ・ボシュンが自身96レース目の初優勝。チームとして2019年のモンツァSR、ジャック・エイトキン以来79レースぶりの優勝を飾り、フィーチャーレースではボシュンが2位に。マイニも両レースでポイントを獲得し、序盤2ラウンドではチームズ、ドライバーズ共にポイントリーダーに躍り出ました。
マイニはコンスタントにポイントを獲得し続けるものの、ボシュンは開幕3レースで稼いだ33ポイントのまま前半戦を終えることに。辛いことにもチームの地元スペインでは無得点でレースウィークを終えることとなりました。

「中東マジック」と勝手に呼んでいるCamposの活躍は「ヨーロッパマジック」として再び見られるでしょうか。それとも昨年のようにこのまま終わってしまうのでしょうか・・・。


#24 Kush Maini(クッシュ・マイニ)
ランキング8位 - 49pts

今シーズンが始まる前に書いた記事で、私はこんなことを書いていました。

デビューイヤーのF2でもサプライズがあるかもしれないなと個人的には感じています。

https://note.com/mayusumaple/n/n4d3e2900890b

筆者が感じていたことはどうやら本当だったようです。F3からの昇格組ではランキング14位とかなり下の成績でF2にやってきたインド人ドライバーですが、モンテカルロまではルーキー最上位のランキングを維持していました。

サクヒール、ジェッダではボシュンと共に上位でフィニッシュしポイントを稼いだ時はCamposチーム自体のパッケージが良いのかな?といった感想でしたが、ボシュンがポイントを獲得できなくなってもマイニはコンスタントにポイントを獲得していったところで彼のF2での力強いパフォーマンスに気づいた方は多いかもしれません。

しかし、バルセロナではペースがなく無得点に終わってしまったのが気がかりです。Camposはここ2年、ヨーロッパラウンドのパーマネントサーキットでは後方に沈むことが多いため、今シーズンもこうなってしまうのか、マイニと今年のCamposのパフォーマンスでヨーロッパでも好成績を残せるかが注目です。

余談ですが、プラクティスや予選でアタックを妨害されるとすごい手を挙げてアクションをするところも注目かもしれません。笑

Kush!ブチギレてごめん(ジェッダプラクティス)


#25 Ralph Boschung(ラルフ・ボシュン)
ランキング14位 - 33pts

今回もですが、今シーズンが始まる前に書いた記事で私はこんなことを書いていました。

未だに優勝がないボシュンですが、昨シーズン序盤はかなり調子が良かったため、序盤のフライアウェイでは初優勝のチャンスがあるかもしれません。

https://note.com/mayusumaple/n/n4d3e2900890b

ついに、ついにラルフ・ボシュンがF2で優勝しました!Formula 2 winner! Ralph Boschung!!!!! 96レース目での初優勝は、勝つときは簡単に勝てる、というようなよく見かける初優勝のパターンそのものと言えるかもしれません。
マシンのサイドポンツーンに描かれている、ボシュンのスポンサーであり暗号資産インフルエンサー/YouTuberのCarl Runefelt(カール・ルネフェルト)もサクヒールに足を運んでおり、喜びを分かち合っていました(F2初優勝の舞台裏の動画はこちらから見れます)。なおカールとその仲間数名がピットレーンでいろいろ違反をしてしまったため出禁間近になっているという話もありますがここでは割愛します。

サクヒールは完璧と言ってもいい週末。スプリントレースの優勝とフィーチャーレースの2位でポイントリーダーに。ジェッダのスプリントレースでも4位に入ってポイントを積み重ねますが、現時点で最後の入賞はこのレースとなり、そこから9レース連続ノーポイントが続いています。5レース目までトップだったドライバーズランキングも、現在は14位にまで後退。

今シーズンで最後のF2シーズンとなると語っているボシュン。シーズン終了までにもう一度表彰台での笑顔の姿を、パルクフェルメでカールと抱き合う姿を見たいです。

ラルフ・ボシュン F2初優勝のシーン!(サクヒールSR)

余談ですが、ラウンドごとにサイドポンツーンのカールの写真とセリフが変わっています

プレシーズンテスト

サクヒール

ジェッダ~バクー
("RALPH IS A LEGEND!"の文字が追加)

モンテカルロ~
(カールの弟も描かれ、"WE BELIEVE IN RALPH!"の文字に)


さいごに

いかがでしたか?

ここまで読んでいただきありがとうございます!
本当はもっと早く完成させるつもりだったのですが実生活が忙しくなってしまい後半戦スタートの前日になってしまいました。あと、文字の量がかなり多くなってしまいました・・・。
ここに書いたことは僕個人の意見や感想なのであまり参考にしすぎず、みなさんもみなさんなりのF2の楽しみ方に繋がるヒントとなれば幸いです!
5か月後、誰がチャンピオンを獲得しどのドライバーがF1への切符を手にするのか?僕が書いた予想で当たっているものはあるのか?答え合わせが楽しみですね!

ではまたTwitterなどでお会いしましょう!

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