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「ファッションと自意識過剰」 ~ワタクシ宇宙 #009 あとがき~

 札幌の中心部に狸小路商店街というアーケードがあるのだが、その一角に数年前に閉店してしまったのだけれども「紅屋」という服屋があって、僕が中学生の頃そこの店頭に、黒いエナメル素材のライダースのジャケットとパンツの上下がマネキンにディスプレイされて確か12000円ぐらいで売られていて、いつか自分はアレを買って着るんだ!と心に決めていた。

 お金がなくてその夢は叶うことなく、いつの間にかそのライダーズはお店から姿を消してしまったけど、今となっては当時の自分に「エナメルのライダーズなぞ着てお前は一体何になりたかったんだ?!」と問い詰めたいところだが、そこは自分のことなので実は誰よりも分かっている。

 僕は当時読んで夢中だった上條淳士の漫画「TO-Y」の登場人物のような服が着たかったのだ。


 それってファッションじゃなくってコスプレじゃね?と、今となっては突っ込めるのだが、思春期で頭のネジが弛んだ中学生たる当時の自分がそんな冷静さを持ち合わせている訳もなく、それこそ狸小路のアーケードで、路上に毛氈を広げてぶちまけられたシルバーアクセ(実はニッケル)に目をキラキラさせて少ないお小遣いと相談しつつ、蛇やら骸骨やらがモチーフの指輪を買ったり、違う店ではスタッズが打たれたリストバンドや首輪を買ったり、オートバックスみたいなところで指抜きの皮手袋を買ったりして、真夏でもブーツ。真冬でも破れたジーンズ。タンクトップにジャケット羽織って、自分なりのキラーめスタイルなファッションを謳歌していた。勿論ジェルで(ジェル!)髪を逆立てて。


 誰かが見てると思ってた。見られてるつもりだから変な格好をしていた。
 実は他人は自分に興味なんて持ってないということを納得するのは思春期を終えてからだった。



 僕にとってファッションってそういう、自意識過剰の隣にある、ちょっと痛々しい何かだ。

 自己顕示欲が絡まない、TPOをわきまえたファッションなんて、只のファッションファッションじゃないか。わきまえようとしてもこぼれちゃう、その人のキトキトした部分が見えるのが楽しいんだ。
 そう思って現在は街中を歩くときなど、他人のファッションを観察している。
 (ヤなヤツですね)



 そういったモロモロの思いを込めたり込めなかったりして書いたのが、先日アップした漫画「ワタクシ宇宙 」#009でした。
 書きながら「そうだったな、好きな人に見られるために、服を悩んだりしたもんだったな」などと懐かしく思いました…。オッサン…。

 まあその点だけ枯れてても煩悩というのは108もある訳ですから尽きることなくわたくしなんかには悟りは遠く、まだまだ現世で自己顕示欲にまみれて痛々しく生きていくんでしょう。じゃなきゃ漫画なんざ書いてないわね。

 どうぞ俗物の書いた漫画をご笑覧下さいまし。



 近々続きも書いて、近々完結させて、近々コミックZINEにまとめるつもりでございますゆえ。…ところで近々ってどれぐらいの期間まで許される?10年ぐらい?



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川村マユ見

北海道民。カレーを愛する漫画書き。ホームページで漫画公開してます。読んでね! → http://mayutuba.g.dgdg.jp

ワタクシ宇宙

短編連作大河SF(?!)漫画! 私しか住んでいない脳内ワクセイ「ワタクシ宇宙」への旅へようこそ!
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