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カセットテープにダビングしていた頃「今夜はブギー・バック」

 「今夜はブギー・バック」
 リリースは1994年。その頃、僕は中学2年生である。

 ラジオで曲を知り、レンタルビデオ店のCDコーナーで棚をチェックすると「今夜はブギー・バック」の、ジャケットの違うシングルが2種類並んでいて混乱した。何が何だか分からず取り敢えずエイヤッ!と選んだのが「smooth rap」バージョンだった。

 お金がない中学生の頃の僕は気になったシングルは何枚かまとめてレンタルして、一緒に購入した46分ぐらいのカセットテープにダビングしていたものだ。

 カセットテープ。

 ご存知な方には説明は不要だろうし、知らない世代にしたら全く訳の分からんものかと思うが、手のひらに収まるサイズの四角いプラスチックケースの中に小さなリールがあってそれに巻かれた磁気テープに音声を記録し、専用のプレイヤーでそれを再生する、そういうメディアが過去あった。過去たってつい最近。平成初期頃の話だ。ってことは30年ぐらい前?充分過去じゃねーか。

 このカセットテープ、デジタルオーディオが普及した現代からするとやっぱり不便で、まず一番はこれかな、と思うのが、曲をスキップ出来ない。

 リールに巻いた磁気テープに記録しているので、早送りするにしたってそのリールを再生するときよりも速いスピードで回転させているだけなので物理的にどうしたって時間が掛かるし、後に技術が発達して無音部分を検知しそこで早送りが自動的に止まる、という機能を備えたプレイヤーも発売されたが、それより前のプレイヤーでは、大体これくらいかな?という勘に頼って早送りを停止して再生してみて、あー止めるのまだ先だったー。または逆に、あーやり過ぎた―、曲を通り過ぎてたー、巻き戻さなきゃー。なんてことが毎度毎度繰り返され面倒なので、カセットテープは一度掛けたら掛けっぱなし。その時の気分によって何となく聴きたい聴きたくないなんてことは二の次で、録音された全ての曲を通しでエンドレス。

 だからCD初めて触ったとき、心底感動したよ。スキップって超便利。

 あとこれもカセットテープの構造に根差した不便さなのだが、46分のカセットテープを買ったとしたって必ず46分フルに使える訳じゃなくって、A面23分、B面23分、A面B面ってのも分からない人にはなんのこっちゃ分からないかとは思うがつまりは23分がふたつ分あって合計での46分ってことになるので、例えばダビングする曲がいくつもあると、聴きたい順番というのはあるだろうがそんなことより各曲の再生時間とにらめっこして、どういう構成にすればA面の23分に収まるのか、B面の23分に収まるのか、そこに頭を悩ませることもしばしばで、どうにかこうにか編集してこれでギリギリ納まるはず!といざダビングするも、テープの始まりと終わりのリールへの接着部分(ここには音声は記録できない)に曲が掛かってしまい、曲の最後の余韻期の部分がブツ切れ。テープの再生ボタンが跳ね上がるガチャン!という無粋な音にチッキショォォォー!!!と臍をかんだことも一度や二度ではない。

 …と一応カセットテープを知らない人向けにクドクド長々と説明してみたが、この説明がカセットテープを知らない人に届くとは思えない。俺は何を書いてるのか。まあいいけど。

 そうやってダビングしたカセットテープ、めんこいめんこいカセットテープが何本もたまってくると、それを収納するケースが欲しくなる。

 個人的には100均で売ってるようなペラッペラのプラスチックのじゃなくって、中にビロード地の布か何か張ってあるようなのが好きで、雑貨屋なんかに行くとついカセットテープケースをチェックしちゃってた。…ていうかまたよくカセットテープケースが売ってたのよね。

 自分編集のお気に入りのカセットテープは、一台の車に乗り合わせて友人ら数人とドライブするときなどに持参することもあった。しかしてそうやってご開陳したマイフェイバリットがお互いの心に刺さることってまずなかった。そういうもんです。

 「nice vocal」バージョンをちゃんと聴いたのは初めての彼女が出来てそのコから小沢健二のアルバムを貰った20歳。
 「smooth rap」バージョンをダビングしてから5年の月日が経っていた。

 「その頃の僕らといったら いつもこんな調子だった 心のベストテン第一位は こんな曲だった」という歌詞は、口ずさむだけで初めてこの曲を聴いた頃にタイムスリップ出来る、パワーのある一節だ。

 通勤に使ってるマイカーの、オーディオに差してあるSDカードには「今夜はブギー・バック」が入っていて、僕は今でもこの曲を聴いている。



 「今夜はブギー・バック」のタイトルを拝借した漫画「ワタクシ宇宙」第9話は近日公開!
 ここまでの話はマガジンで読めます!


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川村マユ見

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ワタクシ宇宙

短編連作大河SF(?!)漫画! 私しか住んでいない脳内ワクセイ「ワタクシ宇宙」への旅へようこそ!

コメント2件

白い透明なリーダーの部分、懐かしい。オートリバースが速いデッキが欲しかったなぁ。
そういやオートリバース機能ってありましたね!
カセットテープといえばイジェクトして裏返すイメージが強力にこびりついてるので忘れてました!
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