人生の原動力、突き詰めていったらあらかた「恐怖」

こないだTwitterで、「今の若い人はみんな『不安』だから動いている」みたいなのを見たのよ。ちょっとどこで見たか忘れてんけど。
確かに「不安」もあると思うけど、私は「恐怖」やと思うな。日々生きている原動力って。

めちゃくちゃおおまかに言うたら、全員「死ぬこと」への恐怖で生きてると思ってる。やっぱ「死」って、今生きてる人間は絶対に味わったことのない未知のものやからさ。「未知のもの」ってめたくそ怖いよね。
そっから細分化していって、全ての行動は「恐怖」に繋がってると思うんよな。

例えば、一日のスケジュールを考えてみる。
朝、まあ8時に起きるとしようや。じゃあなんで人間の大多数は、眠たいのに決まった時間に起きるのか。それは、「遅刻するのが怖いから」、もっと言えば「上司や先生や親に怒られるのが怖いから」。起きたくて起きてます! って人は少ないやろ。だって朝なんか眠いんやもん。欲望に忠実な人間は寝続けるもん。怖いもん無い人間は寝続けるよ。
朝起きて、歯を磨く。じゃあなんで人間の大多数は、めんどくせえなって思いながらも歯を磨くのか。「虫歯になるのが怖いから」、「痛いのが怖いから」。
飯を食うのも「エネルギー不足でぶっ倒れるのが怖いから」やし、会社や学校に可能な限り休まんと行くのも「怒られるのが怖いから」、「仕事がクビになるのが怖いから」、もっと言えば「居場所を無くすのが怖いから」かもしれん。泣きたくても我慢するのは「引かれるのが怖いから」やし、行きたくなくても飲み会に行くのは「友達を失うのが怖いから」、結婚するのは「孤独が怖いから」で、全部を諦めてしまわないのは「死という状態が怖いから」。

そう思ったら人間って割とがんじがらめなんやな。面白。
「何にも縛られず自由に生きてます!」って思ってる人間も、心のどっかでは何かを怖がって生きてるはずなんよ。自分自身に害が及ぶこととか。当たり前やけどさ。

ふと思い出したけど、先日車で道走っとったらさ。ドラッグストアから出てきた白タンクトップのお爺ちゃんが、おもむろに30㎝はありそうなクレープ的なものを歩きながらバカ食いしだしたんよね。あん時は「さすが、お爺さんって怖いもんあらへんのやな」って思ったけど、今思えばあのお爺さんも何かに怯えて暮らしてるんかもしれんよね。あの場所で、あの時間に、あのタイミングででけえクレープを食わんといけん何か理由があったんやろか。ああいう「怖いもんあらへんで」みたいな顔をしてチャリで道路をふらふら走っとるお爺さんとかおばあさんに一回インタビューしてみたい。あなたの怖い物はなんですかって。何て答えはるんやろ。「痛み」とかかな。無難。

私も毎日怖い怖いって言いながら人生というもんを食い潰してる人間やけど、すれ違う人みんな何か怖い物と必死で戦って生きてると思たらなんか愛らしくなってくるな。心の中にフワちゃんが住み着いたような気分。あの人、全世界を愛してそうやん。嫌いな人とかはおるけど、人類のことは無条件に愛してそう。オードリーの若林のこと「赤ちゃん」って呼ぶし。

この漠然とした「怖さ」って、みんなどうやって押し込めてるんやろうな。隠して気付かんふりをするのが上手な人もいれば、私みたいに「恐怖」に完全に支配されとる人もおるわけで。その境目がどこなのか知りたいわな。おそらくあのクレープ爺ちゃんとフワちゃんは、「恐怖」に対する耐性がめちゃくちゃ強いんやと思う

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