人生を彩った神ゲーの話 「トルネコの大冒険3」

 

始めてのゲームは武器商人の物語


私がゲームというものに初めて触れたのは幼稚園生のころ。記憶が正しければ多分5歳のころだったと思う。その頃はプレステ2が全盛を迎えていたころで、家には何十本というゲームソフトが存在していた。
 二十歳になった今でこそ「おい。マジかよ」と言いたくなるが、弱冠5歳にして私はプレステのコントローラを握りしめていたのである。よく親、何も言わなかったな。さすがにCERO B以上の暴力表現や性的表現の含まれるようなゲームはやらせてもらえなかったが、5歳のガキにそもそもゲームをやらせていたうちの親はかなり寛大だったのだろう。
 人生で初めて遊んだゲームは何か?と言われれば、記憶に残っている限りでは『トルネコの大冒険3』だと思う。

 風来のシレンやポケモン不思議のダンジョンなどに代表されるいわゆる「不思議のダンジョン」系統のゲームで、個人的に、未だに続編を待ち望んでいるゲームでもある。子供ながらなぜこれにハマったのかはよく覚えていないが、家族が結構な勢いでこれをやっていたので、「プレステを起動したら大体メモリーカードが刺さってるゲーム」だったからだろう。
 ではこのゲームについて説明を。「3」というからには当然1と2がある。シリーズ愛好家の中では2が好きだという人が多いイメージだ。3の最大の特徴は、「ダンジョンから出てもレベルが引き継がれる」点だ。過去作では、ダンジョンに出入りすると、レベルがリセットされて1からとなってしまうが、3ではダンジョンを出てもレベルが継続される。これによってゲームとしての難易度を緩和するとともに、ダンジョンの序盤からある程度強いモンスターを配置できるようになったり(これは制作上のメリット)、敵が強くて進めない状況に陥っても別のダンジョンでレベリングや装備の強化を行って再挑戦したり(これはプレイヤーのメリット)、といったことができるようになっているのだ。シナリオ全体が巨大なダンジョンで、道中にセーブしたり装備を買える街があって休憩できる、といった感じだろうか。とにかくこのレベル継続システムは当時の自分にとっては不思議のダンジョンを遊びやすいものとしてくれていたのだ。
 肝心のゲームのストーリーについて。ドラクエ4に登場していた武器商人のトルネコが、妻のネネと息子のポポロを連れて旅行に出る。その船旅の途中でポポロの誕生日を祝おうとしたとき、ポポロが世界が闇に包まれる不吉な夢を見たと話す。その直後、船は高波に襲われ、気が付くとトルネコたちはバリナボという謎の島に流れ着いており、ポポロは悪夢から覚めないまま眠り続けることになってしまった──というのが物語冒頭の流れとなる。トルネコはポポロを目覚めさせてくれる可能性があるという占いババを探すため、再びダンジョンに挑むことになるのだ。

プレステ2画質で敵が立体的に、ダンジョン自体も美しく描画されている

 肝心のダンジョン攻略について。この手のゲームを遊んだことのある人なら聞き飽きたであろう、不思議のダンジョン系ゲームの特徴は、「ダンジョンの構造が入るたびに変わる」ということだ。一度として同じ構造のダンジョンを冒険することはできない。毎回敵やアイテム、罠の配置が変わるため、冒険するたびに新鮮な体験をすることができる。一回クリアしたダンジョンだからと言って油断はできない。罠で眠らされた後にタコ殴りにされたり、ばくだん岩やキラースターといった自爆するモンスターから立て続けに爆破されたり、今となってはいい思い出である。
 さてそうしてダンジョンをいくつも抜けた先にはグレートバレイナ島という巨大な島があり、その島の奥地に占いババがいるという情報を得ることができる。グレートバレイナ島での行動拠点となるのが「コスタリベラ」という港町だ。街としての規模はゲーム中最大級で、冒険に役立つアイテムを多数購入できる。
 しかしこの街にこそ、ポポロを救う旅を進める上で最大の障害が存在しているのだ。



カジノである(大真面目)


息子を救うために旅に出た父親(プレイヤーは幼稚園児)
ここでギャンブルにハマり出す。
どうしてこうなってしまったのだろうか、プレイ時間数十時間のうち半分以上をカジノに費やす始末。

モンスター達が殴り合うモンスター闘技場

特にハマっていたのは「モンスター闘技場」で、マップに放たれた最大十体のモンスター同士を戦わせ、誰が最後まで生き残るか予想する今流行りのバトロワの先駆けだ(違う)。やはり今までのダンジョンには登場しなかった強力なモンスターがポンポン出てくることもあって新鮮さがあったのはもちろん、戦うマップは毎回ランダム生成されるため色々な「事故」というべき要素がたくさんあったのが面白いポイントだったと思う。部屋で死んだモンスターが大爆発する「メガンテの石像」が置かれていて塵一つ残らないほど爆発が起こったり、踏んだ罠が絶対に発動する「重力の石像」で強力なモンスターが罠で即死したり……(事故の原因は大体石像である)
高耐久+高速で逃げ回りタイムアップ勝ちを狙えるメタルキングがオッズに上がった時は大喜びで最大枚数のチップを賭け儲けを狙ったものだ。世界広しといえど幼稚園児でモンスター闘技場にハマったのは私くらいのものだろう。

トルネコ編をクリアしたご褒美ポポロ編

トルネコ編をクリアし、ポポロの目を覚まさせると、今度はポポロで冒険するポポロ編を遊ぶことができる。ポポロの最大の特徴は倒したモンスターを一定確率で仲間にできることだ(悪夢の治療に使った薬に惚れ薬が混ざっていたのが原因といわれている……)。いくら武器商人トルネコの息子といえどポポロは子供である。トルネコが使うような剣や盾、弓は使うことができない。加えてフィジカルでもタルのようにでかいトルネコに大敗しているので、一人でダンジョンを突破するのはとても厳しい。
 ここで頼りになるのが仲間モンスターだ。仲間とともにダンジョンを冒険すれば前述の問題点は解決される。回復をしてくれるホイミスライムや遠く離れてしまった仲間を呼び集めることができるエビルポット、純粋にフィジカルが激ツヨなシルバーデビルなど……個性豊かなモンスター達を冒険に連れていくことでダンジョン攻略を楽にしていくのだ。

 まあ仲間が役に立つかどうかは結構個体差があるのだが。

弓を撃つリリパットや火を吹くドラゴンなどのモンスターは射線上にポポロがいてもお構いなしに攻撃を放つ。
ポポロの背中は矢で蜂の巣にされ重篤な火傷を負っているに違いない。他にもルカナン(守備力を下げる呪文)だけ打ち続けて攻撃してくれないキラープラスターやチカラを溜める行動のせいで攻撃が一手遅れるおおきづちなどは意外と足手まといになることがあった。
仲間にした中で印象的なのはメダパニシックルだ。

みよ、この自信に満ち溢れた顔を

デフォルトで2回攻撃を搭載しており、加えて本人の耐久力が非常に高い。さらに攻撃を受けると一定確率で相手を混乱状態にするというパッシブスキルまで持っている。弱いわけがねえ。敵として対峙した時は葉っぱや巻物を切り刻んでくる厄介な存在だが、仲間にするとこれ以上なく頼もしい。

クリア後も遊べる要素が大量に

このゲームの凄いところは、クリアした後も新たなダンジョンが開かれ、文字通り永遠にあそべてしまうところだ。前作がレベルリセットのこともあって無限に遊べると評されたが、今作でもそのコンテンツ量は健在である。一度でも死ぬとシナリオを最初からやり直すことになるバリナボチャレンジモードや、全99Fのダンジョンが4つあらたに遊べるようになったり、とにかく飽きないのだ。

ここまで「トルネコの大冒険3」について語ってきたが、人生で最初に触れたゲームとして、現在でも非常に記憶に残っているゲームだ。特に先ほど触れた全99Fのダンジョンは今でも盛んにRTAが行われており、ランダム性とプレイングが高度に絡まり合い見応えのあるものとなっている。興味があれば、ぜひ一度見てもらいたい。



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