決定権が誰にもないよ

東芝の粉飾決算に学ぶ-決算書の読み方-

東芝の粉飾決算問題(2015年)

東芝と言えば「大企業」「総合家電メーカー」「就職希望ランキング上位」の優良企業だったのも今も昔・・?

下記、「東芝系社員が退職を拒み単純作業を強いる追い出し部屋」問題に揺れている記事をみて、東芝の粉飾ってなんだっけ?いまだにヤバいんだっけ?と思ったので、自主的に調べることにしました。

同様の感想を持つ方の参考に少しでもなりますと幸いです。


東芝の決算(最新)

感想として、前年度現役ですが、経常利益プラスで配当も出しているんですね。

営業利益については、株式市場全体の急激な株価下落の影響により、当社連結子会社である(株)ニューフレアテクノロジー(以下、「NFT」)の株価も下落したことから、会計基準に従い減損の兆候判定を行ったところ減損の兆候を認識したため、減損テストを実施し、第3四半期にのれん減損を98億円計上しました。

なかなか苦しい決算状況といえそうですが、日本の家電メーカー全般にその苦しさはあると言えるので、東芝だけの問題だけでもないのかもしれません。家電メーカー以外でも、日本企業で増益増収を継続していくこと自体が難しくなってきていますしね・・。


東芝の粉飾決算を振り返る

大企業の粉飾決算が明るみに出た事例として記憶が鮮明なものに、以下のようなものがあります(個人的に)。

・西武鉄道

・カネボウ

・ライブドア


上場廃止や経営者の逮捕などに発展して、株式市場のみならず日本経済全体に与えた(負の)影響は大きかったですよね。

堀江貴文(ホリエモン)のように、見事にカムバックして現在、経済界の第一線で活躍をしている稀有な例もありますが、粉飾=レッドカードという認識です。


東芝と言えば、経団連会長や副会長を多数輩出するなど、老舗名門企業でした。東芝の粉飾決算のニュースを見た私の感想は「あの東芝までもが・・・」でした、皆様も同様だったのではないでしょうか。


粉飾の4つの手口

思い出していきましょう。自分の会社は大丈夫なのかと、B/S(バランスシート)やIS(インカムステートメント)を無性にチェックしたくなるのは私だけでしょうか。

①部品取引(PC事業)での592億円かさ上げ

・部品支給時に組み立て会社との値差(提供額-仕入れ先からの調達額)の不正計上

②インフラ関連事業での477億円かさ上げ

・複数年の工事で、工事原価の過小見積もり、工事進捗の過大評価

③半導体在庫での360億円かさ上げ

・不適切な在庫計上、標準原価を厳しく設定して原価差異を資産計上

④経費計上で88億円かさ上げ

・発生主義(未い費用)が正しいところ、現金主義として経費発生を遅らせて利益をかさ上げ


・・・部門をまたいで組織ぐるみでよくもここまでと思わるくらいかさ上げをしまくっていますね。歴代3社長が「チャレンジ」と称して現場に圧力をかけまくってこうなったんですよね。上司に逆らえない企業風土では、トップダウンでの命令は絶対服従なのでしょうね。私の勤め会社は・・・回答保留。笑


利益かさ上げは2248億円

もはや、東芝の決算の何を信じればよかったのかクラスの粉飾ですね。会計監査人が気づけなかったのかはいまだに疑問ですが、部門をまたいで企業ぐるみで本気を出されると粉飾をやろうと思えばできてしまうんですね。後で、必ずしっぺ返しがくるのは当然のこととして。

東芝は自己資本の急減により「債務超過」の危機に直面しました。

回避方法として、東芝メディカルをキャノンに売却。6655億円のキャッシュを得ることができました。一方で、営業利益200億円を稼ぎ出していた、優良事業を手放すことになり、東芝の成長エンジンも失うことになりました。

更に、冷蔵庫、洗濯機、エアコンといった家電事業も売却します。東芝ライフスタイルを中国の美的集団(Mideaブランド)に537億円で売却して、キャッシュを獲得しました。東芝ブランドは中国資本により販売継続されていますが、売れてももはや東芝の決算には影響を与えないのですね。

他に、フィンランドのエレベーター事業の売却益1180億円等、7000億円のキャッシュ(現金)をインフローして、債務超過を免れたのでした。という、一連の流れを思い出しておきましょう。

米国原子力事業

もう一つ、東芝の失速に追い打ちをかけた事業が「原子力」ですね。2016年12月に米国での原子力事業で数千億円規模での損失計上の可能性が年末に報道され、本当に倒産するのではないか?と感じたのを鮮明に覚えています。

またしても、原子力事業での損失による債務超過を回避するために、虎の子のメモリー事業を売却の話が浮上する等、再建はガタガタに。東芝のガバナンスはどうなっているのかと、いち消費者として疑問に思いました。

東芝メモリは存続するも、直近では苦戦中の様子。

東芝メモリ、1―3月期は284億円の営業赤字。上場見直しの可能性も


最後に

東芝の事例を参考にして、

①自分の勤め先の企業の財務諸表(貸借対照表、損益計算書、喝取フロー計算書、株主持ち分計算書)をしっかり読み込めるようになりたいと思います

②株式投資をする際に、他社の決算をしっかり確認してバリュー投資をしていきたいと思います。

上記①、②を目指すべく、経理素人ですが、決算書の勉強はしていこうと思います。素人目線で調べたことをnoteにもUPしていこうと思いますので、玄人以外の皆さまに参考になりますと幸いです。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

Thank you and Best Regards,

Tony@MBA損保マン


Reference:

「ヤバい決算書」 長谷川正人

「会計士は見た!」 前川 修











この記事が参加している募集

コンテンツ会議

お金について考える