J2-第22節 ヴァンフォーレ甲府対愛媛FC 2019.07.13(土)回想

 愛媛FCは相手の出方によってビルドアップの仕方をかえて応じられるようになってきている。
 この試合も序盤はヴァンフォーレ甲府のフォアチェックに苦しんだものの、ロングボールを駆使して堪えしのいだ。そしてプレッシングが弱まってくると、甲府の1トップ2シャドー+2ディフェンシブハーフで形成される1-2列めの隙をついて2ライン間を突くようになっていく。
 特に田中裕人選手のポジショニングによって甲府の選手たちを翻弄していた。
 田中選手が最終ラインへ下りれば左右のセンターバック(山﨑浩介選手と前野貴徳選手)が大外にひらいて高い位置をとれる。すると対面する彼らをマークしていた甲府2シャドーがポジショニングで影響を受ける。山﨑選手が大外にひらくとドゥドゥ選手もついていくみたいな。するとディフェンシブハーフとの距離がひらく。愛媛はそこを突いて最終ラインから2ライン間へ縦パスをとおせるようになる。
 また田中選手が甲府の1-2列めにいると、今度は相手ディフェンシブハーフの選手に影響をあたえていた。やはり田中選手を見るために相手ディフェンシブハーフが動かされて、ユトリッチ選手から吉田眞紀人選手へ縦パスがとおる場面が29分にあった。
 甲府は1トップにはいったピーター・ウタカ選手の個の力がやはり段違いだった。甲府は愛媛の中央を固める守備によってビルドアップがうまくいっていなかった。だがロングボールやカウンターでウタカ選手が圧倒的なボール保持力と裏抜けの巧みさをみせて愛媛ゴールに迫った。前後半あわせて3度あったウタカ選手の決定機を防いだGK岡本昌弘選手が尊かった。
 愛媛は後半たちあがりも甲府に圧されたが、なんとか耐えて60分過ぎ以降はボールをもつ時間が増えていった。
 しかしゴールを決めたのは甲府だった。愛媛が中盤でプレッシングをかけた際、空いてしまった2ライン間を曾根田譲選手に使われてしまう。ボックス手前までドリブルで運ばれ、最後は横パスを受けたドゥドゥ選手が得点。前半に愛媛の神谷優太選手が似たような場面をつくったのを思い出させる。愛媛にとってつらい失点は、今後神谷選手の推進力を活かすための授業料になったかもしれない。
 試合は1-0のまま終了。愛媛FCは前節モンテディオ山形戦につづいて安定した戦いをみせたものの勝利できず。残念無念。2ライン間を突くところまではいけているので、ラスト30メートルのところ、ボックス手前からさきへ進入していくことがもっとできるようになれば、僕らが見ている景色も違ったものになるのだろう。
 というところで回想終了。
 最後までお読みいただきありがとうございました。

 試合結果
 ヴァンフォーレ甲府 1-0 愛媛FC @山梨中銀スタジアム

 得点者
  甲府:ドゥドゥ、75分
  愛媛: